鼎談・中学校新教育課程数学科の授業をどう創るか

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鼎談という話形式により目標や内容の改善等、指導要領の文言からだけでは読み取りにくい、その背景や趣旨の微妙なニュアンスを伝える必読の書。


復刊時予価: 2,563円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-501028-1
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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はじめに
鼎談
文部省初中局中学校課教科調査官 /根本 博
国立教育研究所科学教育研究室長 /長崎 栄三
前東京都港区立芝浜中学校長 /中野 和也
第1章 改訂のねらいは何か
改訂の経緯
第1節 中央教育審議会第一次答申の基本的な考え方
[生きる力]
第2節 教育課程審議会答申における改善の基本的な考え方
学校への期待
中学校の役割
数学教育にとっての課題
ゆとりをもった教育を
第3節 中学校での大きな変更点は何か
内容の厳選
自ら学び,自ら考える教育へ
第2章 改訂の重点課題は何か
第1節 数学科の改善の基本方針
創造性の基礎,多面的にものを見る力,論理的に考える力
数学と社会,自ら課題を見つけ…
数学を学ぶことの楽しさ
第2節 数学科の改善のポイント
自分で課題を見つける
意味をよみとり表現する
論理的に考える
物事の変化をとらえる,不確定な事象について判断する
答えを出して終わりというのではなく,その先を考える
内容の削減
中学校数学の在り方
実生活との関連,論理的な思考力,将来への準備
今回の改訂における中学校数学の内容
二次の世界への目覚め
分数は小学校で
学力観の転換とその評価
第3章 改訂の内容を解説する
第1節 学習指導要領(数学科)はどのように変わるか
指導事項のすべてを文章化(学習の目標を明確にする)
数学的能力の系統化
知ること
理解すること
できること
「利用できること」と「活用できること」
意味・意義の重視
第2節教科目標はどのように変わるか
数学的活動の楽しさ
第3節内容はどのように変わるか
★「数と式」領域
文字の指導
二次方程式の指導
数と式の指導での配慮事項
★「図形」領域
図形指導の流れ
円周角の定理
相似
図形指導での配慮事項
★「数量関係」領域
比例,反比例
関数 y = ax^2で事象をとらえる
関数の定義
確率
★課題学習
全学年で課題学習
課題の工夫
★テクノロジーの利用,コンピュータ等の活用
情報通信ネットワークの活用
電卓の利用
コンピュータの利用
選択教科としての「数学」
全教科での選択学習
選択数学の内容の拡大
数学を選択する生徒を増やす
第4章 改訂で授業はこう変わる
第1節 ゆとりが授業を変える
第2節 生徒が変わる
観察,操作や実験を行う
自ら考える
考えたことを表現する
数学を使う
よさに気付く
能動的に学ぶ
共同的に学ぶ
自主的に学ぶ
自分で課題を選んで学ぶ
学び続ける
第3節 教師が変わる
数学を学習することの価値を考える
生徒に学ぶ
生徒に挑戦する
評価観を変える
評価方法の工夫をする
第4節 数学的活動
数学的活動とは
誰でも参加できる学習――三平方の定理,比例の話
比例の学習では
外的行為と内的行為
折り紙の例で
三つの正方形の話
結果としての数学だけでなく,過程としての数学を
第5節「総合的な学習の時間」とは
[生きる力]を育てる
道具としての数学
数学での総合
環境教育との関わり
第5章 改訂で求められる研究課題は「数学的活動」の充実
数学的な能力を漸次高める指導
必修の内容を指導する視点
各領域の内容の改善点,再編への対応
課題学習の展開,充実
電卓・コンピュータや情報通信ネットワーク等の活用
選択「数学」の内容,展開
「総合的な学習の時間」での数学学習
学力観の転換とその評価
まとめ
数学の学習を通して自立心を養う
[付録1] 教育課程審議会への諮問文
[付録2] 中学校学習指導要領・総則
[付録3] 中学校学習指導要領・数学

はじめに

 昨年(平成10年)12月14日に新しい「中学校学習指導要領」が告示された。この新学習指導要領は,[ゆとり]の中で子供たちに[生きる力]を育む教育を目指すことを提言した中央教育審議会の第一次答申(平成8年7月19日),そして,この答申を受けての教育課程審議会答申(平成10年7月29日)を踏まえて定められたものである。

 中教審答申では,学校と家庭と地域社会が互いに手を取り合い,激しく変動することが予想される21世紀の社会を担い,逞しく生きていける子供たちを育てる教育の実現を求めている。中でも,その豊かな未来を築く原動力として科学技術の発展が不可欠であり,これを叶えるのが人間の知的創造力であるという認識を明らかにしている点は,数学教育で見逃すことができない事項である。

 これを受けた教課審答申では,「自ら学び,自ら考える力」の育成,「ゆとりのある教育活動で基礎・基本の確実な定着を図ること」など,教育課程の基準の改善のねらいを示し,特に,「自ら学び,自ら考える力」の育成に関わっては,「知的好奇心・探究心をもって,自ら学ぶ意欲や主体的に学ぶ力を身に付けるとともに,試行錯誤をしながら,自らの力で論理的に考え判断する力,自分の考えや思いを的確に表現する力,問題を発見し解決する能力を育成し,創造性の基礎を培い,社会の変化に主体的に対応し行動できるようにすることを重視した教育活動」の積極的展開を訴えている。

 同時に,「学力を単なる知識の量ととらえる学力観を転換し,教える内容をその後の学習や生活に必要な最小限の基礎的・基本的内容に厳選する」と教育課程の改善に当たりその原則が示されたことは,周知の通りである。

 本書は,こうした経緯で生まれた改訂「中学校学習指導要領」,特に,数学科の精神を多くの先生方に理解していただき,新たな数学教育の実現に向け,授業を創造する手掛かりが得られるようにと願って編集されたものである。

 目次を見れば分かる通り,通常の書物のように各章を設けての構成にしてはいるが,いわゆる解説書というのではなく鼎談という体裁になっている。これは,中学校数学科の目標や内容の改善など,「中学校学習指導要領」の文言からだけでは読み取りにくいようなこと,その背景や趣旨の微妙なニュアンスが先生方に伝わるようにしたかったからである。

 また,話の中での内容や課題がはっきりと把握できるように,各章各節に小見出しを設けている。索引のようにご活用いただければと思っている。さらに,議論の根拠を明確にするために,少々長くなる箇所もあったが各種審議会の答申等を枠囲みで引用している。

 本書のこうした意図と工夫を汲んで,生徒が[ゆとり]の中で数学を学ぶことを楽しみながら基礎的・基本的内容を確実に身に付けていけるように,これからの数学教育の実践に役立てていただければ幸いである。


 最後になったが,お忙しいところご協力いただいた国立教育研究所科学教育研究室長の長崎栄三先生,前港区立芝浜中学校長の中野和也先生,そして,直接編集に当たり何回となく文部省にも足を運んでいただいたり,引用部を含め細部に及ぶ校正等に骨を折っていただいたりした明治図書教育編集部の石塚嘉典,三橋由美子両氏に心から感謝申し上げたい。


  平成11年6月   著者代表 /根本 博

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