- はじめに
- Chapter1 国語授業の「言い換え」3つのポイント
- POINT01 そもそも指導言とは?を押さえる
- POINT02 国語授業における説明の役割
- POINT03 国語授業における発問の役割
- Chapter2 場面別 国語授業の「言い換え」事例
- Part1 導入
- CASE01 子供の思いや願いが生まれる場の設定(話すこと・聞くこと)
- 友達にインタビューしよう⇒記者になって○○さんの魅力が伝わるインタビュー記事を仕上げよう
- CASE02 子供の思いや願いが生まれる場の設定(読むこと)
- 音読劇をしよう⇒お話の様子が伝わるように音読劇をしよう
- CASE03 子供の思いや願いが生まれる場の設定(書くこと)@
- 相手にわかりやすい案内のお手紙を書こう⇒○○さんに××を知らせる案内のお手紙を書こう
- CASE04 子供の思いや願いが生まれる場の設定(書くこと)A
- かんさつ名人になろう⇒育てている野菜のかんさつ名人になろう
- CASE05 教材との出会い
- 今日から「じどう車くらべ」の授業に入ります⇒学校前の道路では,どの車が一番多く通っているのか調査をしよう
- Part2 展開
- CASE06 初発の感想を書くとき
- 初めて読んだ感想を書きましょう⇒思ったこと(疑問も含む)や考えたことを自由に書きましょう
- CASE07 初発の感想の交流をするとき
- 書いた感想を友達と交流しましょう⇒似ているところや違いはないか,自分と比べながら読みましょう
- CASE08 子供の問いで授業をつくるとき(物語文)
- 疑問に思ったことを書きましょう⇒思ったことや考えたことを自由に書きましょう
- CASE09 子供の問いで授業をつくるとき
- 問いをつくりましょう⇒不思議に思ったことはありますか?
- CASE10 教材文と対話する一人学びの時間
- 大切だと思うところに線を引きましょう⇒不思議に思ったことや気づいたこと,考えたことなどを教科書に書き込みましょう
- CASE11 困り感をもつ子を把握したいとき(低学年)
- では豆太の人物像について考えてみましょう⇒豆太ってどんな子かよくわからないっていう子いる?
- CASE12 困り感をもつ子を把握したいとき(高学年)
- 自分が考えたい問いについて考えていきましょう⇒今日何を考えるか決まっていますか?
- CASE13 グループ交流のとき
- 自由に交流しましょう⇒グループの人や近くの人と交流しましょう
- CASE14 指名をするとき(読むこと)
- 誰か答えられる人はいますか?⇒○○さんお願いします
- CASE15 その日に学ぶことに入っていくとき
- はい,では今日のめあてはこれです⇒今日は○○さんの振り返りから授業を始めます
- CASE16 板書をノートにまとめるとき(低学年)
- ノートに写しましょう⇒丁寧にノートに写しましょう
- CASE17 板書をノートにまとめるとき(高学年)
- ノートに写しましょう⇒必要だと思った子はノートに写しましょう
- CASE18 机間指導で声をかけるとき(読むこと)
- ここがわからないんだね!⇒何に困っているの?
- Part3 終末
- CASE19 振り返りを書かせるとき
- 振り返りを書きましょう⇒わかったこと,考えたこと,友達から学んだことなどから振り返りを書きましょう
- Chapter3 教材別 国語授業の「言い換え」事例
- Part1 低学年
- CASE20 「たんぽぽのちえ」(2年光村図書)の授業で
- 今日から「たんぽぽのちえ」のお勉強に入ります⇒たんぽぽがたくさん咲いていたので観察に行こう!
- CASE21 「お手紙」(2年光村図書)の授業で
- がまくんとかえるくんの気持ちについて考えよう⇒どうして4日間も幸せな気持ちでお手紙を待てたのだろう?
- CASE22 新出漢字を学習する授業で
- 新しい漢字を覚えましょう⇒似ている漢字はありますか?
- CASE23 「ようすをあらわすことば」(2年光村図書)の授業で
- 雨がたきのようにふっているってどんな感じがする?⇒ 「雨が( )ふっている」みなさんならどんな言葉を入れる?
- CASE24 「スーホの白い馬」(2年光村図書)の授業で
- 心に残ったことを話し合おう⇒心に残った場面や言葉はどこですか?
- Part2 中学年
- CASE25 「モチモチの木」(3年光村図書)の授業で
- 感想を分類しましょう⇒何だかみんなの感想,仲間分けすることができそうじゃない?
- CASE26 「ちいちゃんのかげおくり」(3年光村図書)の授業で
- 話し合いたいことはありますか?⇒何かまだモヤモヤしてて,みんなと話し合いたいことはありますか?
- CASE27 「アップとルーズで伝える」(4年光村図書)の授業で
- 筆者が一番伝えたいことは何だと思う?⇒筆者が一番伝えたいことが書かれている段落は?
- CASE28 「風船でうちゅうへ」(4年光村図書)の授業で
- お話を要約しよう⇒実験調査レポートをつくろう
- CASE29 「もしものときにそなえよう」(4年光村図書)の授業で
- 今日から書く単元に入ります⇒社会科で学習した防災についてわかったことを報告文にまとめよう
- CASE30 「スワンレイクのほとりで」(4年光村図書)の授業で
- 題名について話し合おう⇒どうして心にぱっと浮かんだのが湖だったのかな?
- Part3 高学年
- CASE31 「銀色の裏地」(5年光村図書)の授業で
- 題名について話し合おう⇒どうして銀色なの? 金色や白色じゃだめなの?
- CASE32 「たずねびと」(5年光村図書)の授業で
- 気になったことや考えたいことについて自由にまとめよう⇒この中でどれについて考えたい?
- CASE33 「固有種が教えてくれること」(5年光村図書)の授業で
- @〜B段落について気づいたことを話そう⇒@〜B段落の役割は?
- CASE34 「やなせたかし」(5年光村図書)の授業で
- 考えたいことについて考えましょう⇒この中から今日考えたい課題はどれですか?
- CASE35 「報告文を書こう」(5年光村図書)の授業で
- ユニバーサルデザインについて調べて報告しよう⇒対馬丸事件について調べて多くの人に伝えよう
- CASE36 「海の命」(6年光村図書)の授業で
- 個人探究で考えたことをグループで共有しましょう⇒個人探究で考えた問いが同じ子たちと共有しましょう
- Chapter4 学びの土台をつくる 国語授業の「言い換え」事例
- 学びを支える土台
- CASE37 「聴く力」を高めたいとき
- 友達の話を聞きましょう⇒相手の話をいったん受け入れましょう
- CASE38 「話す力」を高めたいとき
- 自由に話しましょう⇒トークテーマについて話しましょう
- CASE39 国語辞典を使って語彙を増やしたいとき
- 国語辞典を使って調べてください⇒コトバトゲームをしましょう
- CASE40 子供の表現や創作につなげたいとき
- お話の作者になって本を書きましょう⇒がまくんとかえるくんならどんなお話ができるかな?
- CASE41 実のある読書指導にしたいとき
- 読みたい本を選びましょう⇒○○について書かれている本を1冊選びましょう
- CASE42 読書の幅を広げたいとき
- 本を紹介し合いましょう⇒4年3組CUPビブリオバトル大会を開きたいと思います
- CASE43 並行読書につなげたいとき
- 新美南吉の本を探しにいきましょう⇒新美南吉の本を読んでみましょう
- CASE44 図書室を有効に活用したいとき
- 本を借りに図書室に行きましょう⇒今日は図書室で授業をします
- CASE45 音読を楽しく取り入れたいとき
- 音読をしましょう⇒今日は追いかけ読みをしましょう
- CASE46 単元終了後に自分の学びを振り返るとき
- わかったことを書きましょう⇒この単元を通してどんな力が身に付いたと思いますか?
- CASE47 家庭学習との連動を図りたいとき
- 自由に取り組んでいいですよ⇒8・9段落の役割と資料について気づいたことをまとめてきてね
- CASE48 子供の読解力を高めたいとき
- 豆太の行動を読み取りましょう⇒どうして豆太は昼間はいばっているのに,夜はおくびょうなんだろうね?
- CASE49 学級通信を配るとき
- 今週の学級通信あとで読んでくださいね⇒今週のキラビトは,○○さんです。いいねがんばりは,○○さんです
- CASE50 類語辞典の活用を促すとき
- 似た意味の言葉を考えましょう⇒類語辞典で「美しい」を言い換える言葉を探しましょう
- CASE51 子供の成果物を掲示するとき
- みなさんの環境レポート読みました⇒○○さんの環境レポートがとてもよいからみんなも読ませてもらってね
- CASE52 子供の学びを意味づけるとき
- 違いによく気づいたね⇒どうしてたんぽぽの茎には違いがあるのかな? 図鑑で調べてみるとわかるかも
- CASE53 グループ交流後に発表を促すとき
- 話し合ったことをまとめて発表してください⇒誰でもいいので,話し合ったことを発表してください
- CASE54 授業への集中ややる気が高まらないとき
- ○○さんは,××だからやらないんだね⇒今日の授業どうだった? 難しかった?
- CASE55 子供を見取るとき
- ○○さんは××だと思ったからこう書いたんだね⇒○○さんはどうしてこう書いたのかな? 教えてくれる?
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
本書は,若い先生方やこれから教師を目指す学生さんへ向けた本です。この本を手に取ってくださるみなさんは,もしかすると国語授業に困り感をもっていたり,これから国語授業を頑張りたいという思いをもっていたりするのかなと想像しています。そして,もしかすると,本書を書いている私のことをすごい先生だと思ってくださるかもしれません。しかし,私もみなさんと同じです。日々の授業に悩み,どうすれば目の前の子供たちに寄り添った授業ができるのだろうと試行錯誤している最中です。だから,本書は,まだ道半ばの本です。これまで私が歩んできた教員人生で,「こうするとよさそう」「こうするとけっこううまくいった」ということをまとめて,本にしました。今回は特に言い換えに絞って,「言い方一つで授業がうまくいくかもしれない」をまとめてみました。でもそれぞれの先生方が向き合っている子供たちは違うので,すべてがうまくいくことはないのかもしれません。だから先生方お一人おひとりがカスタマイズして,バージョンアップして使っていってほしいなと願っています。
本書では,4つの章に分けて国語授業における「言い換え」を解説しています。
Chapter1では,国語授業の「言い換え」3つのポイントとして,大西忠治先生の理論をもとにご説明しています。大西先生が『発問上達法』という著書を書いたのが1988年,今から38年前です。この著書では,発問,説明,指示の基本原則についてわかりやすく説明されています。私はこの3つの機能を知ることが,授業づくりをする上で大変重要だと考えています。子供主体を考えるときにも,子供が自ら自走できるようにするために,どこまで足場をかけるのか,そのために発問,説明,指示どれを選ぶとよいのか,など授業づくりをする上では大切な視点となってきます。
Chapter2では,場面別に言い換えの具体例をまとめています。1〜19の場面があり,国語授業のいろいろな場面において言い換えができるようにしています。Part1導入では,「子供の思いや願いが生まれる場の設定」として「話すこと・聞くこと」「読むこと」「書くこと」の場面での言い換えが紹介されています。基本的にどれも子供が「やってみたい」と思えるような発問や活動を工夫して取り入れました。Part2展開では,様々な場面を想定し,「〜をするとき」として紹介しています。低学年と高学年に分けて示したことも,本書を使いやすくするために工夫した1つの方法です。
Chapter3では,言い換えの具体例を教材別に紹介しています。これも絶対的な正解ではありませんので,こちらも子供たちに合わせてカスタマイズしていただければと思います。Part1では低学年,Part2では中学年,Part3では高学年の実践を紹介しています。板書や子供のノートも紹介していますので,こちらも併せてご覧いただければと思います。実践編でよく出てくる言葉に「個人探究」という言葉があると思います。「個人探究」とは,一人で教材文と向き合う時間のことを指しています。子供が思考を深めていく過程には,「自己内対話」「他者との対話」「教材との対話」と多様な対話が必要です。その中の「教材との対話」が「個人探究」にあたります。この時間を授業内で多く取り入れることができればいいのですが,時間的な制約もあり,なかなか多くの時間を割くことができません。そこで本書では,家庭学習との連携を提案しています。「個人探究」は積み重ねが大切です。そのため,低学年・中学年から少しずつでも取り入れていくことが大切だと考えています。
Chapter4は,学びの土台をつくるための言い換えの具体例を紹介しています。国語授業をつくる上で大切な学級経営に視点を置いており,本書の最大の特徴です。国語の授業は言葉の学びであり,言葉への見方・考え方を働かせて学んでいきます。その際には自分の考えと違う他者の考えを取り入れ,自分の考えを更新していくことで,言葉の学びが広がったり深まったりしていきます。他者の考えを受け入れることは,国語授業においてはとても重要な要素です。そこで「『聴く力』を高めたいとき」のように題して,学級経営において私が大事にしていることを紹介しています。こちらは4月だけではなく,何度も繰り返し,子供たちに伝えていることです。
また国語教師としては,子供の読書生活を豊かなものにしていきたいという思いをもっています。そこで,読書に関わる取り組みについても紹介しています。読書は子供任せにしていて深まるものではありません。やはり教師が意図的に読書の時間を設定したり,読書の幅を広げたりするような仕掛けが必要になってきます。その方法について詳しく説明しています。
ほかにも,子供の見取りや価値づけについても詳しく説明しています。私たち教師は,日々子供たちと向き合うからこそ,一人ひとりの子供に適切なフィードバックをしていくことが重要だと考えています。「教育的瞬間」という言葉があるように,その瞬間を逃さず,子供の一瞬一瞬に立ち会いたい,そのような思いから書かせていただきました。
本書は,CASEを55に分けて示しており,それぞれ興味のあるところからお読みいただけるように,見開き1ページで完結するようになっています。どのCASEからでもよいので,読んでいただけると幸いです。
冒頭でも述べたように,私は決して特別な教師ではありません。みなさんと同じように,日々の授業に悩み,試行錯誤している仲間の1人です。子供が変われば方法が変わると言われるように,絶対にうまくいく指導法なんてありません。だから私たち教師は,日々悩み,苦しみ,それでも子供と向き合うことが大切なのです。そして困ったときには,シンプルに子供に聞いてみましょう。「どこがわからなかった?」「どうやったら授業が楽しくなると思う?」そのようにして,先生自身が,子供と一緒に,国語授業をカスタマイズしていただくことを切に願っています。そして,本書がその一助となれば幸いです。
2026年3月 /上地 真理子
-
明治図書

















