- 第1章 学習指導要領と教科書
- 01 学習指導要領とその解説を読み解く
- 02 教科書の多様な役割を理解し,活用する
- 03 教科書の構成を読み解く@ 課題設定から生徒実験まで
- 04 教科書の構成を読み解くA 生徒実験・図示実験
- 05 教科書の構成を読み解くB 生徒実験からまとめまで
- 06 教科書の構成を読み解くC 様々な構成要素
- 第2章 指導計画
- 07 3年間の見通しをもって年間指導計画を立てる
- 08 単元を構想する@ 課題解決を意識して
- 09 単元を構想するA 習得と活用を意識して
- 10 多様な展開を想定する
- 11 やりたいことを絞り込んで本時を構想する
- 12 必要に応じて実験教材を選択する
- 13 3つのポイントを押さえて予備実験を行う
- 14 ものづくりを取り入れる
- 15 場面や役割に応じて観察,実験を位置づける
- 第3章 探究的な過程
- 16 探究的な過程を通した学習の意義を考える
- 17 いろいろなレベルで探究的な活動を行う
- 18 課題を設定し,仮説や予想を立てる
- 19 実験の計画を立てる
- 20 実験の結果をまとめる
- 21 実験の結果を基に考察する
- 22 考察の構造を意識する
- 23 きまりや法則を事象に適用する
- 24 正解がわからない課題を探究する
- 第4章 授業実践
- 25 机間指導を充実させる
- 26 演示実験の効果を高める
- 27 生徒実験を指導,支援する
- 28 生徒の多様な反応を想定し,発問を構想する
- 29 生徒の考えを整理し,深める
- 30 より多くの生徒の考えを議論の俎上にあげる
- 31 動画や動画を用いたアプリを活用する
- 32 表やグラフを自分で作成する技能を育成する
- 第5章 学習評価
- 33 指導,学習が改善されるような指導と評価の一体化を図る
- 34 各時間の重点を意識して単元の評価計画を作成する
- 35 指導に生かす評価と記録に残す評価を組み合わせて段階的に評価する
- 36 長短,限界を踏まえて評価方法を選択する
- 37 主体的に学習に取り組む態度を適切に評価する
- 38 手順と鉄則を押さえて定期テストの問題を作成する
- 第6章 板書とノート指導
- 39 導入の板書の工夫で,生徒の気づきや疑問を誘発する
- 40 観察,実験の構造を図式化しながら示す
- 41 結果と考察の板書は,生徒の実態に応じてサポートする
- 42 観察,実験で見いだしたことと単元のまとめを区別する
- 43 学んだことを活用する場面で,自分の言葉での言語化を促す
- 44 状況に応じて有効に黒板を利用する
- 第7章 理科室経営
- 45 理科室内外を演出する
- 46 理科室と理科準備室を整理する
- 47 薬品を安全に管理する
- 48 理科室で出た薬品を安全に処理する
- 49 6つの視点で理科室の約束を指導する
- 50 場所による特徴を考えて机と生徒の位置を決める
はじめに
私は,中高生のころ,実験レポートの考察を書くことがあまり得意ではありませんでした。当時の理科の先生に考察をどう書けばよいかをたずねたことがありましたが,
「実験からわかったことを書こう」
とアドバイスをいただくばかりで,すっきりしない気持ちが残っていたことを思い出します。
そして,中学校の教員になり,考察を書くことを指導する場面に直面しました。
そんなとき,ある研究会に出合いました。その研究会では,考察を結果と結論と根拠で構造的に捉え,生徒に定型文を示して記述指導することについて,実践的な研究を行っていました。
生徒は定型文を用いることで考察の記述に慣れ,やがて自分の力で考察の記述ができるようになっていきます。考察を構造的に捉えることで,これまで感じていたもやもやが一気に晴れていく気がしました。
今回の書籍で「図解」というテーマをいただいたとき,真っ先にこのことが思い出されました。まさに,考察の構造が頭の中で図解のように描かれ,整理されたのだと思います。この図解については本書の中でも触れていますので,ぜひご覧ください。
仕事柄,これまでに様々な学校を訪問し,多くの授業を参観させていただきました。協議会が設定されていれば,可能な限り参加させていただき,協議にも加わらせていただきました。
授業参観はもちろん興味深く楽しい時間なのですが,協議会も有意義な時間です。工夫されたスライドやプリントなどで,授業者が教科や単元,本時の授業をどう捉えているのかが語られます。それに対して,協議会の参加者からは様々な意見が出されます。その経過の中で,自分が構造化していたものが修正されたり,新たな知見が加わったりするなどして再構築され,より豊かなものになっていきます。とても幸せな時間だと思います。
今回,本書を執筆する機会をいただき,理科の授業づくりで大切にしてきたことを改めて「図解」という切り口で考えることができました。自分がもっている知見を構造的に捉えることは,授業実践においても,その振り返りにおいても意義があるということに気づかされました。
本書では,私の考える図解をお示ししましたが,これらは1つの提案と捉えていただき,読者の皆さんの知見を加えながら,ぜひ新たな図解を描いてみてください。
教職志望者をいかに確保するかが社会的な要請となっています。制度的な枠組みはあるものの,授業づくりは極めて創造的な営みであり,教員のやりがいにもつながっていると強く感じます。授業づくりのおもしろさが,若い世代に広がっていくことを心から願っています。
2025年7月 /宮内 卓也
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明治図書















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