「伝え合う力」を育てる指導細案 小学1・2年編

「伝え合う力」を育てる指導細案 小学1・2年編

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新学習指導要領国語科の最重要課題「伝え合う力」を育てるための手引き。1〜2年生の話題・題材一覧。年間指導計画の作成と指導法の開発、1−2年の指導細案と展開例。


復刊時予価: 2,211円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-479505-6
ジャンル:
国語
刊行:
11刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 112頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき /瀬川 榮志
T 「伝え合う能力」とその発達系統
一 「伝え合う能力」の意義・実体・構造とは
1 「伝え合う能力」育成の今日的意義
2 「伝え合う能力」と国語教育の改善の方向
3 「伝え合う能力」の実体
4 「伝え合う能力」の能力構造
二 第一・二学年の「伝え合う能力」の発達
1 低学年の「伝え合う能力」の発達
2 『第一学年・第二学年の「伝え合う能力」の発達系統表』の見方
三 第一・二学年の話題・題材一覧表
U 年間指導計画の作成と指導法の開発
一 「話すこと・聞くこと」の年間指導計画の作成と活用
1 年間指導計画作成の留意点
2 年間指導計画表について
二 「話すこと・聞くこと」指導・授業創造の要点・秘策
1 「楽しく」「易しく」そして「正しく」
2 何でも話せる学級づくり
3 教室に声の文化を作る
4 「話す・聞く」と「書く」
5 一つのことについて話す
6 実態に合った年間指導計画を
V 基礎・基本が定着する第一学年の指導細案と授業展開
一年1 声を出そう:「あそぼう・こえのパズル」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面
一年2 順序を考えて:「話すの大すき」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面〜発表〜
一年3 よく分かるように話そう:「わたしは誰でしょう!」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面〜発表〜
一年4 大事なことを落とさずに:「透明人間あらわれる」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面
一年5 お話いっぱい:「大すき お話ランド」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面
W 基礎・基本が定着する第二学年の指導細案と授業展開
二年1 声を出そう:「あそぼう・こえのボール」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面
二年2 順序を考えて:「わたしが生まれた日」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面
二年3 よく分かるように話そう:「なりきりトーク」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面
二年4 大事なことを落とさずに:「お話を絵でキャッチ」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面
二年5 こんなお話見つけたよ:「友だちいっぱい、生きものいっぱい」
1 基礎・基本を定着させるために
2 繰り返し学習を取り入れた授業展開
3 獲得した基礎・基本が生きて働く場面
X 伝え合う力が生きる学級経営
一 第一学年の伝え合い活動:「心が響き合う学級づくり」
1 はじめに
2 実践経過
3 心が響き合う学級づくり
4 実践例「わたしのたからもの」SHOW&TELL
5 おわりに
二 第二学年の伝え合い活動:「心をつなぐコミュニケーション」
1 はじめに
2 伝え合う心を育てる場の工夫
3 年間計画
4 実践例
5 心をつなぐコミュニケーション
あとがき /山本 章

まえがき

 ――伝え合う技術が獲得される活動の組織化――
   中京女子大学名誉教授 全国小学校国語教育研究会名誉顧問 /瀬川 榮志


 新しい学習指導要領(国語科)では、音声言語による表現力が重視されている。

 「第1の目標」には、「伝え合う力を高める」活動目標が掲げられている。「第2の3内容の取扱い」には、「活動」を例示している。例えば、第一・二学年においては、「『尋ねたり応答したりすること』『経験した事などについて話すこと』『友達の話を聞くこと』『読んだ本の中から興味を持ったところを紹介すること』」などが挙げられている。つまり、低学年では、「応答・体験を話す・聞く」「紹介する」などを具体的に示しているのである。このことは、三・四年、五・六年においても同様で、活動を具体的に例示している。

 このような諸活動を通して、「伝え合う技術」が一人一人の子供に確実に定着し、その技術が、相手・場面・目的に応じて駆使・運用・波及される方法の具体策を講じることが、それぞれの学校・学級における重要な課題である。

 つまり、活動を重視するあまり、その活動を通して、伝え合う技術をどう獲得するかを明確にしないと、単なる活動の空転になって「活動あって学習なし」という最悪の状況を露呈することになりかねない。

 よい学習とは、「生き生きと活動を展開する過程で確実に基礎・基本が定着する」ことが原則である。

 このことを前提として、「『伝え合う力』を育てる『子供が創る学習』」には、次の事項が必要である。

一 学習者が「興味・関心」を持つ話題・題材の精選と系統化

 伝え合う活動は、話題・題材を中心に展開される。したがって、軽薄なものではなく「人としてどう生きるか」という「生きる力」に連動する価値ある主題・内容を含むものであることを考慮し、精選・系統化する。

二 伝え合う「活動」と「技術」が組織化された言語行動力の系統化

 活発な伝え合いの活動があっても、そこで、要点をおさえて話す・聞く→中心点や段落構成をおさえて話す・聞く。あるいは、指示語・接続語・文末表現などを正しく駆使して話す・聞く……などのように、伝え合う活動に、上位・下位技能を組織的に構成することが重要である。

三 生きて働く「伝え合いの力」を「繰り返し学習」で獲得

 国語科学習で、基礎・基本を定着しないと、他教科は勿論、総合的学習においても充実した内容にならない。その基礎・基本も「情報発信能力」や「コミュニケーション能力」を組織化した「総合的能力」として能力開発をし、繰り返し学習で獲得させなければならないのである。単なる練習でなく、易から難への段階的な学習訓練を導入し、一単位時間での学習過程に沿った繰り返し学習、低・中・高と段階を追って、螺旋的に繰り返し学習を創る方法を開拓する。

四 「心の教育」に連動する「伝え合う力」を育てる学習法研究

 伝え合う力を育てる原点は何か。――それは相手の立場・人権を尊重することである。心と心を結ぶには、伝え合う技術が密接不離の関係にあることを念頭において、思いやりのある優しい心を育む必要がある。すなわち、「心技一体」の教育の強化である。誠実に聴く心なくして、伝え合う価値ある言語行動は実現できないのである。

五 「生きる力」を育む「伝え合う力」の駆使・運用力

 学習者が解決すべき課題を発見・設定し、練り合い・磨き合い・学び合いながら、問題解決学習を連続し、価値生産に到達する。このような伝え合いを子供が自らの力で思考し、判断し、表現・行動していく学習法を開発する。「生きる力」は自己教育力で育つ。「子供が創る学習」を教師の徹底した厳しい指導と、温かい心、深い教育愛で支援していきたいものである。


 教育課程の精神や学習指導要領の趣旨・内容を的確におさえながら、現場の実情に応じて 世紀を拓く教育を構想していく時代の到来である。つまり、教育における地方分権の流れを重視することは、地域・学校・学級の実情や、子供の実態に即して、特色のある学校教育、並びに国語学習を創造することである。

 教師が高い教育理念と確かな理論を追究し、一人一人の子供の幸せの実現につながる教育立国論を念頭に、「国語教育実践理論」を構築していくことが価値ある研究課題となる。

 本書三巻は、以上のような願いで企画・編集したのである。大阪府小国研・山本章先生(低学年)、千葉県小国研・大土かず子先生(中学年)、滋賀県小国研・吉永幸司先生(高学年)には、企画から編集まで、全力投球でご協力いただいた。心からお礼を申し上げる。千葉県・滋賀県・大阪府では、これから連続して全小国研大会を開催する予定である。

 明治図書出版企画開発室長の江部満様には、編集・出版について特段のご高配をいただいた。また、全小国研の充実発展のために、常に温かいご支援を賜っていることにも深く感謝している。


  平成12年1月

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      明治図書

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