全小国研シリーズ6「伝え合う力」で確かな自己を創る総合的学習の視点に立つ授業

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国語科の新しい目標となった「伝え合う力」の育成を話すこと、聞くこと、書くこと、読むことの実践で検証した画期的な問題提起。特に総合的学習の視点に立つ実践例が豊富。


復刊時予価: 2,101円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-479307-X
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 96頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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序 文 /小森 茂
まえがき /瀬川 榮志
発刊に寄せて /中村 明人
第一章 「伝え合う力」で確かな自己を創る
T 時代,社会の要請
U 豊かなことば,豊かな心を育てる
V 研究の全体構想図
1 研究構想図
2 主体的な言語活動
3 伝え合う力
W 研究内容
1 豊かな関わり合いをつくる【話すこと・聞くこと】
2 情報を分かりやすく発信する【書くこと】
3 確かな自己を創る【読むこと】
4 子供の言語生活に基づく学習の場
5 単元・学習材の開発と学習形態・方法の工夫
第二章 総合的学習の視点に立つ授業
T 話すこと・聞くこと
1 【低学年】―自分の思いが相手に分かるように話したり聞いたりする力を育てる
・ 「おもちゃの作り方おしえてあげるよ」
・ 「ひじきのコマーシャルビデオを作ろう」
・ 「たからものっていいな」
・ 「インタビューごっこをして伝え合おう」
・ 「ザリガニくんから一言」
2 【中学年】―互いの考えが正しく伝わり合うように話したり聞いたりする力を育てる
・ 「生き物の優れた力を伝え合おう」
・ 「身の回りのさまざまな場面でお話をしよう」
3 【高学年】―互いの考えを尊重し合い,目的意識をもって話したり聞いたりする力を育てる
・ 「自己学習による『大造じいさんとがん』の話し合いをしよう」
・ 「討論会をしよう」
・ 「どんと来なさい! わたしが○○博士だ」
・ 「人類の未来会議を開こう」
U 書くこと
1 【低学年】―伝えたいことを,自分なりの方法で書き表す力を育てる
・ 「おもい出して かこう」
2 【中学年】―伝えたいことをはっきりさせ,生活に役立つ言語表現力を育てる
・ 「『生き物のひみつ』の本を作ろう」
3 【高学年】―自分の考えを深めながら,効果的に伝える方法を工夫して表現する力を育てる
・ 「地域情報冊子『清海ウォーカー』を作ろう」
・ 「森林のすばらしさを知ろう」
V 読むこと
1 【低学年】―想像力豊かに楽しみながら読む力を育てる
・ 「鳥のちえを4コマまんがで表そう」
2 【中学年】―自分のめあてにそって読み調べたり,互いの考えを確かめ合ったりしながら読む力を育てる
・ 「『アーチ橋の仕組み』のリレーレポート式発表会をしよう」
3 【高学年】―よりよい生き方を目指し,自分の課題解決のために必要な情報を読み,活用する力を育てる
・ 「ぼくも,わたしも特派員」
あとがき /西村 佐二

まえがき

 新世紀の国語教育の道を拓く高い理念と研究構想
   ――生きて働く言語行動力を獲得する研究法の開発――
      中京女子大学名誉教授・全小国研名誉顧問 /瀬川 榮志


 「豊かなことばは豊かな心をはぐくみ,豊かに生きる力を育成する」つまり,ことばで心を耕し,確かな思考力と的確な判断力で自己実現を図り,主体的に生きていく子供の教育を目指すことが,21世紀を拓く国語教育の課題であると考えます。しかも,ことばの機能を最大限に発揮して,心と心を結ぶ「伝え合う力」を高め協力・強調しながら共生する人間力を獲得して「生きて働く言語行動力」を駆使することが新教育課程の理念に基づく,新しい国語教育の在り方であると思います。

 全小国研千葉大会で設定した研究主題〔豊かなことば・豊かな心を育てる国語教育〕には,前述のような深い意味を含む価値があり,重要な課題でもあると解釈し敬意を表します。

 この高い教育理念と未来を拓く国語教育の本質に基づく言語力をどのように,「総合的な学習」や「他教科の学習」あるいは,日常生活に波及・応用できるかを吟味し,言語行動力を完全に獲得させるにはどうすればよいか――という実践的課題として把握し,究明していることも千葉大会の特色と言えます。

 このことは「大会主題解説の結び」に,次のように述べられています。

 「―国語教育の「話すこと・聞くこと』『書くこと』『読むこと』」は,教科の学習に欠かすことのできない,基礎となるものです。国語学習で習得した力が生活に活かされなければ,豊かなことばが身に付いたとはいえません。自分の疑問や課題を追究するために,また,目的や場面・状況などの必要な条件の中で活用したり応用したりする,できる力へと高めることが必要です。つまり,生活のあらゆる場面で,確かな言語行動ができるようにすることが,社会生活に必要な表現力・理解力を育てることなのです。―」この文言は,戦後50余年,授業時数が他教科よりも多く「国語科は他教科の基礎」とまでいわれているにもかかわらず,国語科で培った言語力が「生きて働く言語行動力」として指導されていなかったことへの解明に深くかかわることではないでしょうか。

 この今日的課題に取り組み,授業を通して解決し,その研究成果を千葉の子供たちが,「生きて働く言語力定着」の向上的変容で実証していることも,本大会の大きな特色であると信じています。

 全小国研千葉大会は,昭和51年度にも開催され,宮内胤治郎先生・高橋金次先生をはじめ,多くの先達によって国語教育研究史に貴重な足跡を刻み輝く伝統を築きました。

 本大会においては,県小国研関係の白井義章先生・富澤幸三先生・秋葉四郎先生・鈴木幸子先生方が全国大会開催への道を拓き,大会実現の基盤をつくってくださいました。

 また,現職の中村明人大会運営委員長,伊藤節子大会実行委員長には,明確な研究理念と構想に基づいて授業研究を軸に推進し,関係役員・委員・会員の方々のご努力によって,新国語教育の実践理論を確立し,意義ある大会が実現しました。心からお礼を申し上げます。

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