新学力観に立つ国語科授業の改革14「関心・意欲・態度」の評価に役立つ補助簿

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「関心・意欲・態度―評価補助簿」/国語科「関心・意欲・態度」の評価補助簿/「関心・意欲・態度」を育てる評価補助簿の活用による授業創造


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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-478106-3
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 168頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
関心・意欲・態度の「評価と支援」を軸に授業を展開 /瀬川 榮志
序章 「関心・意欲・態度
―評価補助簿」
一人一人の子供たちの生きる力を育成する国語科授業の展開のために /小森 茂
第T章 国語科「関心・意欲・態度」の評価補助簿
1.新しい学力観に立つ国語科「関心・意欲・態度」の評価
[1] 子供の主体的な生き方につながる「関心・意欲・態度」の評価
[2] 「関心・意欲・態度」の評価の規準や方法の明確化
2.読みの学習における「関心・意欲・態度」の評価方法
[1] 子供の主体的な学習が「関心・意欲・態度」の評価につながる
[2] 「関心・意欲・態度」の評価は,評価補助簿を作成して記録する
[3] 読みの評価観点を押さえ,主体的な学習を組み立てる
3.評価補助簿の必要性その作成手順
[1] 評価補助簿の必要性
[2] 評価補助簿の具備すべき条件
[3] 「関心・意欲・態度」の評価にあたって
4.評価補助簿の作成手順
第U章 「関心・意欲・態度」を育てる評価補助簿の活用による授業創造
1.「関心・意欲・態度」の診断的評価補助簿
[1] 「関心・意欲・態度」の診断的評価は児童の主体的学習を保障する
[2] 診断的評価の方法は観察や調査,テスト,話し合いなどがある
[3] 「関心・意欲・態度」の診断的評価の方法と評価補助簿への記入
2.文学的教材における「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用と授業創造
[1] 文学的教材における「関心・意欲・態度」
[2] 文学的教材の学習に対する「関心・意欲・態度」の喚起・高揚の方法
[3] 評価補助簿の形式・内容
[4] 評価補助簿の活用・方法
[5] 評価補助簿の活用と授業創造
3.説明的教材における「関心・意欲・態度」の評価補助薄の活用と授業創造
[1] 説明的教材における「関心・意欲・態度」
[2] 説明的教材の学習に対する「関心・意欲・態度」の喚起・高揚の方法
[3] 評価補助簿の形式・内容
[4] 評価補助簿の活用・方法
[5] 評価補助簿の活用と授業創造
4.「評価補助簿」を生かした国語科授業の創造と展望
[1] 指導要録につながる評価補助簿
[2] 「関心・意欲・態度」を生かす評価補助簿
[3] 指導要録の効果的活用と評価補助簿
第V章 文学的教材の学習における「評価補助簿」の活用と授業実践
第1学年 文学的教材「くじらぐも」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助薄の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助薄活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助薄の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第2学年 文学的教材「わにのおじいさんのたからもの」の評価と支援実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第3学年 文学的教材「つり橋わたれ」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第6学年 文学的教材「野の馬」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第6学年 文学的教材「石うすの歌」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第6学年 文学的教材「守る,みんなの尾瀬を」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助薄活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第W章 説明的教材の学習における「評価補助簿」の活用と授業実践
第1学年 説明的教材「はたらくじどう車」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第2学年 説明的教材「たんぽぽのちえ」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第3学年 説明的教材「虫のゆりかご」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第4学年 説明的教材「体を守る仕組み」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第5学年 説明的教材「大陸は動く」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
第6学年 説明的教材「外来語と日本文化」の評価と支援の実践
1.「関心・意欲・態度」の評価と教材研究
2.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の作成
3.「関心・意欲・態度」の評価補助簿活用の指導計画
4.「関心・意欲・態度」の評価補助簿の活用による授業展開
5.評価補助簿による国語科の評価処理
あとがき /能瀬外 喜雄

まえがき

 関心・意欲・態度の「評価と支援」を軸に授業を展開
   〜補助簿の活用によって充実した学習を創る〜
      中京女子大学教授・全小国研名誉顧問 /瀬川 栄志


 新しい学力観に立つ国語科の授業は「関心・意欲・態度の評価と支援」を軸に展開する必要がある。その場合おさえなければならないことは,関心・意欲・態度が喚起・高揚されるということは,国語科で獲得すべき基礎・基本が定着するということである。つまり,技能の習得なくして,関心・意欲は高まらないという確たる認識をしなくてはならない。

 言語の教育としての国語科は,単におもしろく楽しい活動を展開するだけでなく,生き生きと主体的に活動する過程で確実に国語力が獲得されなければならない。従って,関心・意欲・態度を評価する場合は,子供の言語活動を対象とすることになる。その言語活動には,国語科で指導すべき知議・技能・能力を組織的に体系づけることがポイントとなる。

 すなわち,情意面(関心・意欲)+認知面(知識・技能)=言語行動…というシステムを構想することが必須の条件である。

 このように考えていくと,日々子供と共にある実践者の課題は何であるか---ということを鮮明にしなければならい。

 それは,一人一人の子供が生き生きと言語活動を展開する過程で,基礎・基本が定着する活動の実体とは何かを究明することである。

 単元全体の指導過程で,子供が主体的に活動し,しかも基礎・基本が定着する活動を組織化していくのである。また1単位時間45分の授業の中で,子供が創る組織化された学習活動をどのように設定していくかにある。

 このことが明確にならない限り,国語の力がつく授業は実現できない。

 従来の学習指導案には,学習活動があっても指導事項が明記されていないものもある。またそれぞれの活動でどんな力がついたかが不明確のまま流れていくことが多い実状にある。

 つまり,すべての単元・教材において,一人一人の子供が生き生きと学習に取り組み,しかも確実に力がつく学習活動を子供が創るような方向で進みたい。教師はそれを的確に指導し,あるいは支援していくべきであってそこで必要になるのが“評価補助簿”である。その評価補助簿は,次のような条件を具備しなければならない。


〔評価補助簿の備えるべき条件〕

1 何を評価するかを明確にする

 評価の対象は,関心・意欲・態度である。しかし,それは目に見えないものであるから評価は不可能に近いと考えられる。そこで評価の対象とする形が必要になってくる。例えば,子供が「吹き出しを書く」「行間に書き込む」「段落をまとめる」「要約する」「音読する」等は目に見える。しかも,表現行動された音声言語,文字言語を通して分析もできるし評価も可能となる。つまり,評価の対象は,子供一人一人の言語活動そのものであることを的確におさえることが大切である。

2 子供が創る活動に基礎・基本を組織化する

 子供が課題を解決するために,言語活動を展開するとき,その活動でどんな表現能力や理解能力,または,言語に関わる知識や技能が働くか,あるいは獲得・定着されていくかを組織的に捉え明確にする。

3 授業に直接役立つ補助簿を作成する

 国語科授業における評価は難しいと言われている。それは,評価すべき事項を的確につかんでいないからである。補助簿には“活動を組織的に把握”したデータがあるから,評価が容易にできる。

 子供たちの自己評価・相互評価も何かの規準や方法がないと難しいものである。補助簿には,この基礎資料が盛り込まれていなければならない。

4 評価補助簿は取扱いが簡便である

 学習の過程には,診断的評価,形成的評価,総括的評価が必要で,その規準や方法を導き出す補助簿でなくてはならない。従って図表化・図式化を工夫したりチェック法を採用したりして,その取扱いは簡便であり活用しやすいようにする。

5 継続観察に役立つと共に,総合評価の基礎資料となる

 評価は継続的に行い,子供の変容をしっかりと観察し,一人一人の個性やよさ・特性を伸ばす役目を果たすものである。従って,継続的に観察できる項目の設定と共に,その結果を総合的な評価に役立て,通知表や指導要録の記載に役立つ機能を備えていることが大切である。

6 子供のよさ・可能性を引き出す工夫がある

 新しい学力観に立つ国語科授業においては子供の可能性を発見し伸ばすことを中心に据えなくてはならない。

 補助簿も最終的には,一人一人の子供について作成し準備する必要がある。言葉の教育を通して子供の個性・可能性とは何か。子供の内面を洞察し,子供の変容・変革の姿を確実に把握し,そのデータを基に,指導・支援の手立てを工夫したいものである。

7 生きて働く力としての学力をつける

 補助簿に盛り込まれる評価規準や、その方法が形式的な扱いにならないように配慮する。

 例えば,身につける知識や技能が形式的な授業によって培われたり,記憶・暗記や機械的な練習で得た学力では,他の学習や日常生活に波及・応用されないものになる。

 前時の学習体験が,本時の学習に生きて働き更に次時の学習で応用される。あるいは,1学期に学習したことが,2学期・3学期にも波及していく。または,低学年で獲得した学力が中・高学年でも生きて働くものであってほしい。つまり,補助簿の条件は,“生きる力”となって生涯教育に連動するものでありたい。

 以上,補助簿の機能・性格・役割について述べた。関心・意欲・態度の補助簿は,人間形成場面からも,国語の基礎的技能や基本的能力を獲得する側からも極めて重要であり,価値あるものである。これを起点にして,一人一人の子供のよさや可能性を発揮し,それを最大限に伸ばすようにしたいものである。

 全小国研役員事務局は,これまで価値ある出版事業を企画推進してきた。この度,このような今日的課題に挑戦し,教育現場において,読んで楽しく役に立つ本を出版できたことは,極めて意義のあることである。

 明治図書の江部満様には,常々全小国研の発展のためにご指導ご支援をいただいており今回もこのような機会をつくっていただいた。心からお礼を申し上げる次第である。

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      明治図書

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