- はじめに
- 第1章 「TKFモデル」の国語科授業づくり
- 1 「TKFモデル」とは何か〜子どもの「主体」が生きる国語科授業
- 2 「TKFモデル」による国語科授業〜国語科TKFモデルで言葉の学びを創る
- 3 「つくる(T)」活動の設計〜すべてを包含する「T」の活動
- 4 「語る(K)」活動の設計〜言葉の学びを磨く「K」の活動
- 5 「振り返る(F)」活動の設計〜言葉の学び方を見つめる「F」の活動
- 6 「TKFモデル」における教師の立ち位置〜子どもの主体性×教師の主体性
- 7 「TKFモデル」でつくる国語科授業の成果
- 第2章 「TKFモデル」で創る説明文の授業プラン
- 1年 「うみのかくれんぼ」(光村図書)
- 単元名 うみのかくれんぼずかんをつくろう
- 〜何をどんな順番で書くといい?〜
- 1年 「どうぶつの赤ちゃん」(光村図書)
- 単元名 「どうぶつの赤ちゃんブック」をつくろう
- 〜どんな動物を入れる? 題名はどうする?〜
- 2年 「どうぶつ園のじゅうい」(光村図書)
- 単元名 うえださんの吹き出しをつくろう
- 〜獣医の仕事は○○?〜
- 2年 「おにごっこ」(光村図書)
- 単元名 おにごっこのルールブックをつくろう
- 〜遊び方を絵に表すとどんな絵になる?〜
- 3年 「こまを楽しむ」(光村図書)
- 単元名 つながりやまとまりを矢印や□で表して評価しよう
- 〜どこがつながっている?〜
- 3年 「すがたをかえる大豆」(光村図書)
- 単元名 図に表して読もう
- 〜どんな図がぴったり?〜
- 4年 「世界にほこる和紙」(光村図書)
- 単元名 「世界にほこる和紙」のCMをつくろう
- 〜ズバリ何を伝える?〜
- 4年 「ウナギのなぞを追って」(光村図書)
- 単元名 塚本さん出演のニュース番組をつくろう
- 〜どんな質問をすればいい? 塚本さんは何と答えた?〜
- 5年 「言葉の意味が分かること」(光村図書)
- 単元名 レーダーチャートで評価しよう
- 〜この説明文は分かりやすい?〜
- 5年 「固有種が教えてくれること」(光村図書)
- 単元名 紹介チラシをつくろう
- 〜チラシにはどの資料をのせる?〜
- 6年 「時計の時間と心の時間」(光村図書)
- 単元名 私の「時間活用術」をつくろう
- 〜筆者の事例に納得? どう取り入れる?〜
- 6年 「『鳥獣戯画』を読む」(光村図書)
- 単元名 筆者のすぐれた表現を見つけよう
- 〜筆者の考えや書き方にあなたは納得?〜
- 第3章 「TKFモデル」で創る文学の授業プラン
- 1年 「やくそく」(光村図書)
- 単元名 音読劇発表会をしよう
- 〜3匹は何を話したかな?〜
- 1年 「ずうっと,ずっと,大すきだよ」(光村図書)
- 単元名 心メーターで表そう
- 〜ぼくがエルフに伝えたかったことは何?〜
- 2年 「スイミー」(光村図書ほか)
- 単元名 スイミー吹き出しブックをつくろう
- 〜スイミーは何と言ったのかな?〜
- 2年 「スーホの白い馬」(光村図書)
- 単元名 スーホの馬頭琴を紹介しよう
- 〜スーホにとっての馬頭琴はどんな楽器?〜
- 3年 「ちいちゃんのかげおくり」(光村図書)
- 単元名 物語を色で表そう
- 〜この物語はどんな色?〜
- 3年 「モチモチの木」(光村図書ほか)
- 単元名 豆太へエールの手紙を書こう
- 〜どんな灯がともったのかな?〜
- 4年 「ごんぎつね」(光村図書ほか)
- 単元名 物語の重要な文ランキングをつくろう
- 〜どの文がどれだけ大切?〜
- 4年 「初雪のふる日」(光村図書)
- 単元名 「物語予告版」をつくろう
- 〜この物語をPRするには何を入れたい?〜
- 5年 「たずねびと」(光村図書)
- 単元名 物語の続き話をつくろう
- 〜家に帰った綾は,お母さんにどんな話をする?〜
- 5年 「大造じいさんとガン」(光村図書ほか)
- 単元名 表現の効果ランキングNo.1を決めよう
- 〜一番効果的なのはどの表現?〜
- 6年 「やまなし」(光村図書)
- 単元名 賢治のメッセージ集をつくろう
- 〜賢治が伝えたかったことは?〜
- 6年 「海の命」(光村図書ほか)
- 単元名 物語を再構成して伝えよう
- 〜この物語を○○で表すと?〜
- おわりに
- 研究同人
はじめに
子どもたちの「主体」が立ち上がり,子ども自らが言葉を紡ぎ出していくような国語科の授業がしたい。不透明な時代を生きる子どもたちに,生きる糧となるような言葉の力を身に付けてもらいたい。多くの先生方が願うことである。
一方で,国語科は指導事項が抽象的で答えが一つに定まらず,教える側の教師にとっては,不安がつきまとう。そういう中で,国語科TKFという自由度の高い学習方法を提案するのは以下の理由による。
・国語科授業に,「子どもにどんな力を育てたいか」という視点だけでなく,「子どもがどうなりたいか」という視点を取り入れたい。
・「国語の学習で何をめざしたいか」「何を学びたいか」「どのように学びたいか」などの子どもの声に耳を傾けたい。
・子どもが,教材内容よりも,教科内容へ意識がもてるようにしたい。
・子どもの主体性と教師の主体性が響き合う国語科授業を展開したい。
TKFは,「つくって(T)」「語って(K)」「振り返る(F)」という自発性を重視した学習活動モデルである。語呂がよく,シンプルに楽しさを演出する。しかし,その中身を紐解いていくと,さまざまな学習理論と結びつき,「動機付け(モチベーション)」「学習方略」「メタ認知」を学習の三要素とする自己調整学習の具体的展開と見ることもできる。
「楽しそう」「おもしろそう」「やってみたい」に留まらず,言語体験を豊かにして,言葉の学びの実践知を積み重ね,「この学びは必要だな」「やり遂げたい」といった自律的な学習意欲を育てるのが国語科TKFのねらいである。それが言葉で生き抜く力のエネルギーになると信じている。何をどう学ぶかを教師と子どもでともに考え,何が問題かをともに探り,子どもが学びの中心者となっていくことに一生懸命でありたい。
国語科TKFは,まだ研究の緒についたばかりである。本書の刊行がはじまりと言ってもよいだろう。しかし,この自由度の高い学びの中に,学習方略を確かに位置付け,活動をマネージメントする教師,自分の学びを振り返り,意味付けていく子どもたちの姿に,「言葉の学び」とは何かという本質を見出していただけたら幸いである。
私たちは言葉によって世界を見,言葉によって世界を創り出している。言語使用の主体者としての想像力と責任をもって国語科TKFを前進させていきたい。
2022年3月 編著者 /香月 正登・大澤 八千枝
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- 明治図書
- 授業づくりの参考になった。2022/7/2430代・小学校教員
- 文学、説明文の授業プランが各学年掲載されているのが良い。2022/4/1560代・嘱託指導主事