- はじめに
- 序章 「言い換え」るために、知っておくべきこと
- ──「発問」「説明」「指示」「勇気づけ」で考える
- 第1章 学級をつくるときに大切な7つの視点
- 1 学級づくり≒学級経営を捉え直す
- 2 教師と子どもの人間関係をチェックする
- 3 子ども同士の人間関係をチェックする
- 4 教室環境をチェックする
- 5 子どもの特性を受け止めたルール設定になっているかチェックする
- 6 目標から振り返りまでがセットになっているかチェックする
- 7 教師ができることの範囲をチェックする
- 第2章 「うまくいかない」に効く!言い換えフレーズ
- [登校時〜朝の会]
- 子どもたちが自分から挨拶をしない
- △「元気に挨拶をしましょう。」
- ◯「◯◯さんの挨拶、元気がもらえるな。」
- 登校を渋る
- △「どうしたの?」
- ○「嫌だよね。」
- 自分が宿題を提出しているか理解していない
- △「宿題を提出していない人はいませんか?」
- ◯「◯◯さん、宿題を提出しましょう。」
- 朝学習に取り組まない
- △「課題に取り組みましょう。」
- ◯「自分の目標に向かって取り組みましょう。」
- 朝の会で歌う声が小さい
- △「もっと声を響かせて歌いましょう。」
- ◯今日は◯◯を意識して歌いましょう。」
- 出欠席等の確認をしているとき、騒がしい
- △「静かにしていましょう。」
- ◯「友達を大切にしましょう。」
- [授業]
- 忘れ物が多い
- △「忘れないようにしましょう。」
- ◯「忘れると思って、対策をしましょう。」
- 「歯が抜けました!」で、授業が止まる
- △「ティッシュに包んで持って帰りましょう。」
- ◯「うれしいね! おめでとう!」
- 言葉遣いが乱れてきた
- △「言われて嫌な言葉は言わないようにしましょう。」
- ◯「その言葉、先生は傷つくな。」
- 定刻通りに授業が始まらない
- △「開始時刻を守りましょう。」
- ◯「時刻になったので、授業を終わりましょう。」
- 行事の振り返りが書けない
- △「振り返りを書きましょう。」
- ◯「気をつけたことや工夫したことは何ですか?」
- [休み時間]
- 係活動が停滞している
- △「係活動、やっていますか?」
- ◯「7のつく日は係給食の日です。」
- 雨の日に、教室が大騒ぎになる
- △「雨の日は、教室で静かに過ごしましょう。」
- ◯「みんなで決めた表の中から過ごし方を選んでごらん。」
- 静かに他の教室への移動ができない
- △「廊下では静かに歩きましょう。」
- ◯「今からミッションを伝えます。」
- 実行委員の指導の時間が足りない
- △「自分たちで話し合ってみましょう。」
- ◯「プリントに穴埋めしながら進めましょう。」
- 一人ぼっちの子どもがいる
- △「何かありましたか?」
- ◯「今、何をしているのですか?」
- [給食・掃除]
- 給食当番の準備に時間がかかる
- △「早く準備をして並びましょう。」
- ◯「当番全員のゴールを考えましょう。」
- 食べ終わった食器がきれいではない
- △「きれいに食べましょう。」
- ◯「◯◯は残っていませんか?」
- 掃除の仕方が定着しない
- △「丁寧に掃除をしましょう。」
- ◯「掃除の手順をカードで確認しましょう。」
- 掃除中、ふざけて遊んでいる子どもがいる
- △「真面目に掃除をしましょう。」
- ◯「ゴミを見逃さないように掃除をしましょう。」
- [帰りの会〜下校]
- 下校の準備が遅い
- △「すばやく下校の準備をしましょう。」
- ◯「動く線が一周になるようにして、準備しましょう。」
- 提出するプリントが帰りの支度中に出てくる
- △「次からは朝のうちに提出しましょう。」
- ◯「◯◯ムシを退治できますか?」
- けんかをしている
- △「暴力はよくないよね。」
- ◯「もう嫌な思いをしないようにどうしていくか、確認しましょう。」
- 「よいところ見つけ」が教師の紹介ばかりになる
- △「ありがとう…。」
- ◯「先生がもっとうれしいのは、『先生は必要ないよ』という言葉です。」
- おわりに
- 引用・参考文献
はじめに
この本を手に取った多くの先生方は、笑顔で子どもたちの前に立とうと心がけ、毎日、一生懸命授業をしていることと思います。体調が優れない日や、私生活でうまくいかないことがあっても、教室に行けばそれらを吹き飛ばし、子どもたちと機嫌よく過ごそうと当たり前のように努力していることでしょう。
学級担任の仕事は、教室で学習内容を教えるだけでなく、子どもたちの生活全般にも関わります。給食や清掃の指導、けんかの仲裁、時にはいじめや不登校の対応も必要です。命や人権に関わる重大な判断を、一人で背負うこともあります。
その反動で、子どもたちが下校すると一気に疲れが押し寄せます。しかし、仕事はまだまだ終わりません。校務の会議や行事の書類作成に追われ、採点や翌日の授業準備は退勤時刻を過ぎてからになります。慌ただしく過ごしていると、保護者への連絡を忘れていたことに気付き、慌てて電話をかけるようなこともあります。
近年、教員不足がメディアで取り上げられ、「教員はブラック企業に勤めているようだ」といわれることもあります。それでもがんばれるのは、時折、子どもたちがかけがえのないプレゼントをくれるからです。
「先生、ありがとう。」
「できるようになったよ!」
「先生、大丈夫?」
そんな一言が心を救い、「子どもたちのために」とがんばる自分を支えます。
子どもたちとの関係がよく、笑顔の絶えない学級を担任していると、毎日出勤する足取りも軽くなります。もちろんよいことばかりではありませんが、教室での失敗も学びに変え、子どもたちとともに自分自身も成長を実感できれば、明日への活力となります。
逆に子どもたちとうまく関係を築けていないときは、本当に苦しいものです。学級で何をしても成果が出ず、日ごとに追い詰められていきます。前日の夜には「明日、学校に行きたくないな」と思うようになり、自分の存在そのものを否定するような気持ちに陥ることもあります。
全国にいる多くの先生方が、このような日々を過ごされているのではないでしょうか。
そうなのです。学級担任にとって学級が「うまくいく」ということは、とても重要なことといえます。
では、令和の時代において、学級づくりが「うまくいく」ためには、どのようにすればよいのでしょうか。
今取り組んでいる中で、何が「うまくいかない」原因となり、何を新たに行えば「うまくいく」ようになるのでしょうか。
そんなことを考えながら本書を執筆しました。本書は『授業づくりの言い換えことば 「うまくいかない」に効くフレーズ』の続編として、学級づくりにおける教師の言葉に焦点を当てています。
序章では、「言い換え」を通して学級づくりを考えるために、「子どもに向かって発する言葉」がどのように作用するのかを整理しました。この視点で教師の言葉を見つめ直すと、子どもとの人間関係が変わるだけでなく、教師自身のあり方も変わってくると思います。
第1章では、学級をつくるときに押さえておくべき七つの視点を提示しました。学級づくりがうまくいかないとき、その原因をたどると見えてくる、「そもそもどのように捉えていたか」という教育観を問い直す内容です。
第2章では、子どもたちが登校してから下校するまでの一日を五つの場面に区切り、それぞれに起こり得る「うまくいかない場面」を想定しました。教師が言葉を言い換えながら、「うまくいかない」に効く具体的な取り組みを紹介しています。学級がうまくいかないときには、必ずどこかに不具合があります。その不具合に気付き、修正するきっかけとして役立ててほしいと思います。そしてできれば、その根本にある考え方にも目を向け、子どもたちとともに教師が成長するきっかけになってほしいと願っています。
学級づくりは、一日の学校生活を通して総合的に考えていくものです。一つのやりとりをきっかけに、さまざまな場面へと影響が広がります。そこで本書でも前著同様、「それでもうまくいかないときは…」というコーナーを設けました。一つの場面から、多くの場面を見直すきっかけとして活用いただければと思います。
本書が皆様の手に届き、複雑さを増す学校現場で、先生方の日々がより充実し、子どもたちの笑顔がさらに増えることを願っています。
/松下 崇















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紹介されている「言い換えフレーズ」を丸暗記してその場面で使い続けていけばよいというわけでもありません。やはりそこには、教師のもつ指導観や子ども観が表れるてしまうもの...
そんな"観"の部分にまで足を踏み込んで、丁寧に解説を加えて示唆を与えてくれるのがこの1冊です。