- まえがき
- 第1章 どの子も書きまくる!作文指導の技術
- 空気を吸うように書く集団を実現する
- あなたの目の前の「書けない子」を見つめる
- 「空気を吸うように書く子」を育む
- まず「書けた,という事実」をつくる
- 用紙のサイズ選択も「書くこと」指導!
- 「作文レシピ」の始動
- 作文レシピ「9つの観点」
- 指導の流れのイメージ
- 第2章 どの子も書きまくる!作文指導アイデア
- 書き慣れ
- なりきり物語─何かになりきって書く
- 夢のアイテム工場─「あったらいいなアイテム」を考え,説明書を書く
- 吹き出しをうめろ!─絵や写真の登場人物のセリフを書く
- つけるぞ!キャッチコピー─短い言葉で書き表す
- わが子をよろしく!─おうちの人になりきって書く
- ミニ小説家になろう!─絵や写真に合わせてミニ小説を書く
- 口頭作文─話すことで「文意識」を身につける
- バラエティー作文・バラエティー日記─テーマに合わせて書く
- パロディー─既成のお話などを書きかえる
- エジソン─発想,アイデアを毎日書く
- 生まれ変わり作文─生まれ変わったら?を書く
- 連想作文─言葉から連想して文を書きつなげていく
- 私はニュースキャスター─ニュース原稿を書く
- 続けろ!作文─決められた「書き出し」に続けて書く
- まとめろ!作文─決められた「書き終わり」につながる文章を書く
- 五感地図─五感を使って地図を作る
- ○○を色で表すと?─イメージを色で表す
- 視写─見て(視て)書き写す
- 聴写─聞いて(聴いて)書く
- 交流
- 紹介します!輝く○○!─よいところを紹介する文を書く
- 私のおすすめはコレ!─おすすめの物や場所を紹介する文を書く
- おしゃべり掲示板─教室に打ち込み掲示板を
- COLUMN 「日常的に書く」ということ
- 仲間へのメッセージなど─クラスのみんなに書く,お知らせで書く
- 名探偵に挑戦!─名前を出さずにそのものを伝える文章を書く
- いつ・どこで・だれが・何をした作文─書いてつなげて
- リレー作文─一人一文ずつ書き,相談してつなげていく
- あなたの気持ち代弁します─先生や友達になりきって書く
- 記録
- 箇条書きの鬼─番号をつけて箇条書きでたくさん書く
- 構成・資料の活用─「読み手」に効果的な配置,構成は?
- メモ術─効果的にメモをとる
- 宝物のノート作り─国語の授業のノート
- 日番日誌─日番(日直)がその日一日の記録を書く
- COLUMN 「五感」と「語感」
- レポート(報告書)を書く─状況・結果を知らせるために書く
- パワーアップカード─日録を書く
- 観察記録を書こう!─観察したことを記録する
- 新聞テレビ欄風○○を作れ!─テレビ欄の構成を参考に書く
- 読解
- 詩の「型」を使って@─ルナールさんに挑戦!
- 詩の「型」を使ってA─相田みつをさんに挑戦!
- エピソード0─物語の「以前」を書く
- COLUMN 卒業生の証言─きちんと「書き方」を伝える─
- エピソード2─物語の「続き」を書く
- 出会いの感想文─自分なりの「ファーストタッチの読み」を構築し,その後の学習に活用する
- 授業の「振り返り」─授業を振り返り,学びを固定し,次につなげる
- まとめの感想文─単元学習後に,学びをまとめ,その後の学習に生かす
- 説明文を書こう!─事実を正確に順序立てて書く
- 技法
- 描写─「ゴールの言葉」にご用心!─「思い」「気持ち」を伝えるには?
- 原稿用紙の使い方─原稿用紙の使い方を知る
- 文体・表記─書き表し方を知る
- 文章構成─文章を書くときのいろいろ
- 書き出しの達人!─「書き出し」を工夫して書く
- 書き終わりの達人!─「書き終わり」を工夫して書く
- レトリック─比喩,擬人法,体言止め…ほか
- 題名をつけろ!─題のつけ方のアイデア
- 100文字絵本レビュー─読んだ絵本の内容を100文字でまとめる
- キーワード作文─キーワードを使って作文を書く
- 読み返し─推敲らしきもの─書いた文章を読み返し,手直しする
- 言語
- 言葉のマンダラ─関連する言葉を集めてマンダラのように書く
- オノマトペ─音や様子を表す言葉集め
- 漢字コレクション─漢字にまつわることを書く,集める
- マイ言葉辞典─言葉の意味を考えて書く
- 随筆(エッセー)を書こう!─気の向くままに書く
- ○○歳時記・風土記を作ろう!─学校独自の歳時記を作る
- 発展
- ミニ絵本をかこう!─言葉に注目して短い絵本をかく
- さすらいの吟遊詩人─いつでもどこでも詩を書く
- 手紙・ハガキを書こう!─目的に応じて人に書く
- 企画書を書こう!─読み手を意識して「企画」を書く
- パンフレットをどうぞ!─パンフレットに学び,書く
- 私は評論家!─批評文を書く
- 新聞を書こう!─新聞にぎっしりとまとめる
- ミニ意見文を書こう!─ある「事柄」に対して意見,考えを書く
- ミニ紀行文を書こう!─旅行,遠足での体験,感想を書く
- スピーチ原稿を書こう!─自分の主張を相手に伝えるために書く
- 絵画実況作文─絵を描きながら文を書く
- ストーリーポスターを描こう!─ポスターにストーリーを持たせる
- 短歌・俳句・川柳─五七調で書く
- ガイドブック作成─体験活動を旅行ガイドブック風に書く
- 説明書をどうぞ!─「やり方」「使い方」を書き,教える
- むかしむかしあるところに…─自分の生い立ちを昔話風に書く
- マンガ文章化計画─マンガを文章にし,「描写」を学ぶ
- 秘伝!○○指南書!─学習のまとめ定着のために
- 発行!パーソナルマガジン─自分だけの雑誌を作ることで充実した生活を
- 卒業・修了文集作り─卒業前,学年修了時に書く
- 未来日記─「なりたい自分」を書き,未来を見つめる
- 環境
- 読書─書くことを支える読書
- どこで書くか?─書くのは教室だけじゃない!
- 何に書くか?─書くのは原稿用紙だけじゃない!
- 教室環境─作文を生む教室環境
- 取材─情報を集める
- 分かち合い─書いた後の交流
- 「辞書」と「作文」─「辞書」と「作文」の往復
- どっちの文ショー(文章)─文章を見る「視点」を持つ
- 教師
- 教師のメモ術─教師がまず書く
- 教師のノート術─教師が自分のノートに書く
- 教師の読書術─アイデアを生み出す読書術
- 知っておくとよい,この字数─使える「字数」を知っておく
- 評価〜よき「読み手」であれ〜─作品の「評価」「評定」
- 教室での配慮─教室は褒めるところ
- 学級便りの発行─教師が書くということ
- 参考文献一覧
まえがき
思えば,私の学級づくりは,「書くこと」の指導が土台になってきました。もちろん今もそうです。
子どもたちが書けるようになる,ということで行っているのはもちろんですが,そのときに実感する,「教室の素敵な空気」が好きなのです。
何がその空気をつくっている……? ちょっと書き出してみようかな。
子どもたちが鉛筆を走らせるときの【表情】。
懸命に書いている【後ろ姿】。
そのときの30人の鉛筆の【音】。
集中して考えているときの【静寂】。
書けなかった子の近くに歩み寄って,書いていることを確認したときの【心の中のガッツポーズ】。
昨日3行しかノートに感想を書けなかった子が,今日は10行書いたときの【得意げな表情】。
書き出せなかった子が「書けた」と持ってくるときのちょっと【小走りになっている姿】。
「何枚書いたらいいのですか〜」が,【先生,もう1枚ください】に変わった瞬間。
私の説明途中に,「先生,もう書こうよ!」という声が聞こえたときに出る【ニヤリ】。
「先生,今日は日記ないの〜」とせがまれるときの【嬉しさ】。
日記帳が2冊目に入ったときの子どもの「先生,私,2冊目!」という【つぶやき】。
机間指導中に,「メモ」を書いている子を見つけたときの【喜び】。
学年末,大量の国語ノートを抱えて私に見せる子どもたちの【満足げな表情】。
あれ? とまらない……。
「書くこと」の指導は,様々な「ギフト」を私にくれます。これら様々な「書くこと指導がもたらすギフト」が,教室の素敵な空気をつくっているのだと,本書をまとめるにあたり改めて実感しました。
書かせましょう。子どもたちに。いっぱい。
書かせなくちゃもったいない!
私は教師になったとき,「書くこと指導」をこの先続けていこうと決めました。それは,あまりにも「書くことが嫌い」と感じ取れる子たちが多かったからです。そしてそれは,他のたくさんの教室でも感じられていることだと知りました。
そこで,「とにかく楽しく書かせて,『書くって楽しい!』と子どもたちに言わせてやるぞ!」とメラメラと闘志が湧き,用紙を印刷しに行きました(笑)。
しかし,印刷しようと真っ白な用紙を見て,ふと思います。
この用紙,大きいなあ。書けなかったら余白がつらいなあ……。
実際に,子どもたちから提出される用紙は,字で埋まっている子もいれば,ほとんど真っ白,つまり多くの余白を残して提出する子もいます。そういう子は楽しいと思って書いているはずがないだろうなあ,と思いました。
そこで,用紙は活動によって変えたり,「字を埋める」という目的のために選んだりするようになりました。
そして,いよいよ本書で紹介する様々な作文指導です。
書くこと自体に慣れる,という「書き慣れ」自体を目的に,書くこと指導をスタートさせました。「書かせたいこと」の前に,「書けること」です。
そういった作文指導を取り巻くことも含めて,本書では森川が行ってきた「書くこと指導」についての実践を徹底的に収録しました。
本書は,私の処女作となる『小1〜小6年“書く活動”が10倍になる楽しい作文レシピ100例』(明治図書)のリバイバルです。おかげさまで原著は2008年に刊行されてからロングセラーとして多くの先生方に読まれ,「教室に必須の一冊です!」とたくさんの先生方から声をかけていただきました。
しかしそのままではありません。今回,時を経てリバイバルするにあたり,すべて目を通して修正やアイデアの差し替え,追加を行いました。
中でも現在の私の国語教室にはなくてはならない,「出会いの感想文」→「振り返り」→「まとめの感想文」という学びにおける一連の「書くこと指導」を盛り込むことができたのが大きな変更点です。
原著が刊行されて15年。この節目の15年目にしてリバイバル版を刊行できることに感謝します。それは,確信をもって次のことが伝えられるから。
「書くこと指導」(作文指導)は,
前向きな学級をつくり,
子どもたちの「心」をつくり,
子どもたちの「考える頭」をつくります。
何より「書ける」ということは,その子の一生の宝になる。
そして,私たちにも教師として生きている!という実感をくれるのです。
さあ,もう「作文指導」,始めるしかないでしょう!
/森川 正樹
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- 明治図書