- まえがき
- T “If…then” 発問の誕生
- 1 発問の類型と使い方
- (1) 一般的発問の類型と使い方
- @授業例
- A一般的発問の類型
- B一般的発問の使い方
- (2) 特殊な発問の類型と使い方
- @挑発的発問
- A仮定的発間
- 2 現在の社会科授業の問題
- (1) “教室はまちがうところ”になっているか
- (2) 知的好奇心を喚起すればいいのか
- (3) さまざまな “If…then” 思考を働かせたい
- (4) なぜ “If…then” 発問か
- 3 5年「野菜づくりのさかんな地域」の授業改造
- (1) 「どのように」「なぜ」発問の限界
- (2) 有田和正氏の実践「二十三区に専業農家があるか?」の改造
- (3) “If…then” 発問の三類型
- U “If…then” 発問を取り入れた授業実践
- 1 仮説をつくりだす “If…then” 発問
- ──3年「わたしたちの買いもの」の実践──
- (1) 問題の所在
- @「調べる活動」の目的化
- A「目標」の欠落
- (2) 「生活の変化」から「販売活動の特色」へ
- (3) 授業実践のねらい
- (4) 授業の実際
- (5) 授業実践を終えて
- 2 一人一人の情報を引き出す “If…then” 発問
- ──4年「交通事故を防ぐ」の実践──
- (1) 授業実践のねらい
- (2) 単元「交通事故を防ぐ」の授業構成
- (3) 授業の実際
- (4) 授業実践を終えて
- 3 一人一人に学習問題を生み出す “If…then” 発問
- ──5年「工業のさかんな地域」の実践──
- (1) 授業実践のねらい
- (2) 授業の実際
- (3) 授業実践を終えて
- 4 イメージがわきだす “If…then” 発問
- ──6年「聖コ太子」の実践──
- (1) 授業実践のねらい
- (2) 単元「聖徳太子」の授業構成
- (3) 授業の実際
- (4) 人物イメージの変容
- (5) 授業実践を終えて
- V “If…then” 発問の意義
- 1 “If…then” 思考を促す
- 2 具体的思考場面を設定する
- 3 発展・継続型の社会科授業へ
まえがき
本書は,社会科における “If…then” 発問の授業を提案し,そのことによって社会科授業を知的でおもしろいものに改善しようと意図したものである。
子どもと共にある教育現場で小学校教師は,なんとか授業をよりよいものにしようと日々奮闘している。しかしなかなか授業は変わらない。ただ単に“楽しい”授業ならすぐできる。子どもを活動させればいい。たとえば,6年生の歴史学習では石斧で木を伐らせたりグラウンドに大きな大仏を描かせたり,という方法。その時は楽しい。活動でなければ,おもしろクイズだ。三井高利の越後屋はその名前を江戸中に知れ渡らせることに成功しました,いったいどうしたのでしょうか? これも楽しい。しかしその後が続かない。何のための活動か,何のためのクイズか,まるで考えてないからである。活動の後はどうするか,正解を告げた後は…,いや活動やクイズの前はどうするのか,行き詰まってしまう。教師の側に教えたいことが用意してあって,そこへ早く到達させることが目指される限り授業は変わらない。活動やクイズが,単なる息抜きである以上,総じて授業はおもしろくはならないのである。
授業は楽しいものであると同時に,いやそれ以上に知的でおもしろいものでなければならない。ほんの数分ではなく,ほんの一時間ではなく,“社会科の授業はおもしろい”と感じさせたい。
そこで教材の魅力を探すことにした。直接社会で働く人に話を聞くのである。そのうちにビンとくるものがある。それを授業の中心に据えればいい。いわゆる知的好奇心を喚起し追求するに値する事実を子どもに提示する。素材は掛け値なくおもしろい。しかし「なぜ〜なのだろうか」に反応がない。授業でのねらいに迫る,しかもおもしろい教材を,ドンと直接子どもたちにぶつけても,跳ね返るものがないのである。結局はあらかじめ考えていた過程に導くことになる。子ども自身が追求するのではない。追求させるのである。
子どもを主体にしよう,子どもはどう考えるだろうか,子どもはどう言うだろうか,子どもはこの授業をおもしろいと感じるだろうか,子どもは…,と考えるようになった。その苦悩・試行錯誤のなかで生まれてきたのが “If…then ”発問であった。
1991年,春。5年「野菜づくりのさかんな地域」の授業をあれこれ考えていた時だった(T章で詳述)。この時から, “If…then” への挑戦が始まった。以来,実践を積み重ねてきた。しかしまだまだ研究と呼ぶにはあまりにも拙く,批判されるべき点も多い。ただ,確実に授業は変わり,子どもも変わってきた。本書はその一端を紹介し,社会科授業改善の一助になれば,と願うものである。
T章では,現在の社会科授業における問題意識から “If…then” 発問が誕生した経緯を述べる。授業とはまず教師が発問することによって始まる。その発問に対する問題意識から授業改善に取り組んだのである。
U章では, “If…then” 発問を取り入れた授業実践を記録した。ここではできる限り多くの先生方にも試していただけるよう詳しく授業記録を載せたので,該当学年の項を参考にしていただけるとありがたい。
V章では,現段階で言える “If…then” 発問の意義を確認した。ここで主張した “If…then” という発問や思考はなにも社会科授業には限らない。
考えてみれば,教職に就いてから現在に至るまで,わたしは “ひと” に恵まれている。常に,厳しくも暖かい励ましに包まれている。それに応えるためにも一層の精進に励まねばならないと思う。
末尾にて恐縮ですが,本書出版の機会を与えて下さり,内容構成でご示唆をいただいた明治図書の樋口雅子編集長には心から厚くお礼を申し上げます。
1994年10月 /岡ア 誠司
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明治図書- 発問は不易の難題です。是非読んでみたい!2025/10/23ちんぺー
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- 社会科授業研究のために必要です。歴史学習において「if〜then」の問いの可能性を検証したいと思っています。2020/11/10
















