- はじめに
- 本書の構成と利用方法
- 第1章 指導・支援に生かせるICT機能〜シーズ編〜
- ハード1 Apple TV(Apple)
- アプリ2 Microsoft PowerPoint(Microsoft)
- アプリ・Web3 Microsoft Forms(Microsoft)& Googleフォーム(Google)
- アプリ4 UDトーク(Shamrock Records, Inc.)
- アプリ・Web5 NHK for School(NHK)
- アプリ6 カメラ(Apple)
- アプリ・Web7 Google Classroom(Google)
- アプリ8 Minecraft(Mojang)
- アプリ9 食育の授業(Nobuo Ryoki)
- アプリ・Web10 KOMA KOMA(Trigger Device Co., Ltd)
- アプリ・Web11 Quizlet(Quizlet Inc.)
- アプリ12 Planner5d(Planner5D, UAB)
- アプリ13 レジスター(Gifu Prefectural Government)&レジスタディ(KUNIKEN SYSTEM Co.,Ltd)
- アプリ・機能14 写真&マークアップ(Apple)
- アプリ15 iMovie(Apple)
- 第2章 ICTで効果があがる指導・支援アイデア〜ニーズ編〜
- 自立活動1 プラネタリウムやスヌーズレンを楽しもう
- 自立活動2 魅力的なアプリ教材や動く絵本を作ろう
- 自立活動3 身体を動かして演奏してみよう
- 自立活動4 外界への働きかけを促そう
- 自立活動5 気持ちを伝えよう
- 自立活動6 気持ちの度合いを表現しよう
- 自立活動7 目的地までしっかり行けるようになろう
- 自立活動8 将来をポジティブに捉えよう
- 自立活動9 プログラミングして不思議な写真を撮影しよう
- 自立活動10 視線で描いたTシャツを作ろう
- 朝の会11 分散登校時にオンライン朝の会をしよう
- 朝の会12 登校が難しい子どもも一緒にオンライン朝の会をしよう
- 朝の会13 お天気キャスターになろう
- 係活動14 インターネットの画像を使って献立発表しよう
- 学級活動15 自己紹介をしよう
- 日常生活の指導16 正しい歯の磨き方を身に付けよう
- 日常生活の指導17 しっかりと時間をとって歯を磨こう
- 遊びの指導18 ピラーちゃんと遊ぼう
- 生活単元学習19 キーホルダーを作って販売しよう
- 生活単元学習20 オンライン作業見学をしよう
- 作業学習21 秋祭りでPepperに宣伝してもらおう
- 作業学習22 見通しをもつためにICTを活用しよう
- 職業実習23 出社時刻に間に合うように出勤しよう
- 職業実習24 現場実習報告会をしよう
- 職業実習25 レジアプリを活用して会計しよう
- 特別の教科 道徳26 自分の進む路(みち)を考えよう
- 特別の教科 道徳27 気持ちのよい挨拶を学ぼう
- 総合的な学習の時間28 「まとめる」「発表する」にチャレンジしよう
- 総合的な探究の時間29 おみくじゲームを作ろう
- 総合的な探究の時間30 自分のすきなこと,きらいなことを整理しよう
- クラブ活動31 パソコンクラブ 関わり合って活動をしよう
- 委員会32 飼育委員会 水槽の魚を紹介しよう
- 運動会33 動画配信&アンケートで保護者から感想をもらおう
- 運動会34 ハウリングに注意しながら生配信しよう
- 学習発表会35 Keynoteで舞台背景の制作をしよう
- 学習発表会36 代わりにPepperに話してもらおう
- 修学旅行37 QRコードを活用して自主的に学習しよう
- 修学旅行38 デジタルしおりとVRで事前学習しよう
- 卒業式39 練習後に動画による振り返りを行おう
- 交流学習40 Minecraftで学校を作ろう
- 交流学習41 食器を作る側と使用している側で意見交流しよう
- 視力検査42 Keynoteで視力検査の教材を作ろう
- 休み時間43 プログラミングで電車の遊びを考えよう
- 家庭学習44 親子ICT教室で端末持ち帰りを支援しよう
- 家庭学習45 プリントいらずの宿題に取り組もう
- 保護者相談46 相談内容やケース会議内容を可視化しよう
- 教材作り47 デジタルカードでタブレットを触って学ぼう
- 機器活用48 書画カメラを活用しよう
- 教員研修49 教材の色について考えよう
- 教員研修50 教師もロイロあそびを体験しよう
はじめに
GIGAスクール構想によりICT端末が1人1台配備されました。それにより,個別に最適で効果的な学びや支援の実現が求められています。特別支援学校や特別支援学級などに在籍する障害のある子どもの教育においては,個々のニーズに合わせた効果的な学びや支援の保障はなおさらのことです。
本書は,GIGAスクール構想の推進以前から,特別支援学校や特別支援学級において,ICTを教師用としても学習者用としてもうまく活用し,教科の学びはもちろんのこと,学校・家庭生活への応用・般化,さらには,卒業後の地域生活を見据えた取組をしてきた,エバンジェリストとも言うべき11人の先生によるすばらしい事例を多数収録しています。ただし,ここにあげているのは,特殊なICTを用いた玄人芸的な事例ではありません。日々の教育活動の中での普段使いのICTの様相そのものです。
障害のある子どもは,言うまでもなく個々の実態は大きく異なります。それゆえ,本書に収録されている実践事例を,読者の方がそのまま適用するというよりも,教育課程や学習環境,子どもの実態に応じてアレンジすることが必要になるでしょう。そのため,本書は,主として集団場面での指導を意識した「各教科中心編」と,個別や小集団での指導を意識した「自立活動他編」という2つの活動形態に分けて構成しました。その上で,ハードやアプリといったICTそのものの機能や特徴から子どもの教育活動にどう活用するかを考えるヒントを示す「シーズ」パート,教科や個々の子どものねらいとする学びの内容等に応じてどのようにICTを活用したかの具体例を示す「ニーズ」パートの2部構成とし,紙面の許す限り採録しました。本書を手に取られた先生方は,シーズとニーズのどちらから読んでいただいても構いません。それぞれがリンクしているので,まずはパラパラとカタログ的に眺めていただき,ICT活用の可能性の幅広さを感じていただけたらと思います。
特別支援教育におけるICT活用は親和性が高いものです。以前は,支援技術(Assistive Technology: AT)や拡大・代替コミュニケーション(Augmentative & Alternative Communication: AAC)などと言われ,特に,主として身体障害や言語・コミュニケーション障害のある子どもを中心に,困難さのある機能の補助・代替手段として積極的に活用されてきました。例えば,脳性まひや自閉スペクトラム症があって話し言葉に困難がある子どもにVOCA(Voice Output Communication Aid)という録音した音声をスイッチを押すことによって再生できる各種の機器を用いて家族や支援者とのコミュニケーションの支援をしてきました。2010年ごろよりタブレット端末の普及とともに,今ではこのようなVOCAとしての活用は,一昔前の単一機能で高額かつ大きく重たい機器ではなく,タブレット端末とその上で動作する1つのアプリ(例えばDropTap)となり,かつ子どもの実態に合わせて柔軟な設定が可能となってきています。このように,タブレット端末やそのアプリのようなICTは,学習上や生活上の様々な困難に対する支援,補助・代替や学習の支援のためのツールとしての活用はもとより,障害のある子どもたちが今とこれからを豊かに生きるために自らが用いる生活ツールとしての活用としてもおおいに期待されます。また,2020年度より小学校段階において学ぶべきことと位置付けられたプログラミング教育も,障害のある子どもにとっても,いや,障害のある子どもにとってこそ論理的思考を育むために重要な内容であり,そこでもICTの効果的な活用が望まれます。
本書を手に取った先生に,明日からの教育活動にICTをもっと生かしてみたいと思っていただき,その先につながる担当する子ども(とその家族)が「これがしてみたい」「こうなりたい」と思い描く「あたりまえ」にアクセスできる,その案内人となっていただけることを,編著者・執筆者一同は心より願っております。
編著者を代表して /水内 豊和
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- 明治図書