- はじめに
- 第1章 なぜ今,個別最適な学びなのか
- 1 「個別最適な学び」とは
- 2 学習指導要領上の「個に応じた指導」の規定経緯
- 3 教科の比較を通して,生徒の実態を見つめ直す
- 4 一斉授業には限界がある
- 5 自由進度学習を実践して見えてきたこと
- 6 方法論ではなく子どもたちの学びから捉える
- 第2章 「数学の学び」と「個別最適な学び」
- 1 数学の学び方を捉え直す
- 2 数学的な見方・考え方を働かせる
- 3 道具的理解と関係的理解
- 4 学習の加速化と学習の深化
- 5 「指導の個別化」と「学習の個性化」の関係整理
- 6 「協働的な学び」について整理する
- 7 「個別最適な学び」を規定する
- 第3章 中学校数学における個別最適な学びの授業デザイン
- 1 数学の授業観について考える
- 2 「個別最適な学び」の学習プログラムを検討する
- 3 「個別最適な学び」の実現を一斉授業で目指す
- 4 授業が分化することを認める
- 5 「教師の指導目標」と「生徒の学習目標」の2視点から捉える
- 6 「個別最適な学び」のイメージをつくる
- 7 「協働的な学び」のイメージをつくる
- 8 学習方法を選択させる
- 9 学習内容を選択させる
- 10 「個別最適な学び」を実現するための授業のアスペクトを規定する
- 第4章 1学年の実践例
- 「比例と反比例」
- 第5章 2学年の実践例
- 「連立方程式」
- 「平行と合同」
- 第6章 3学年の実践例
- 「関数y=ax^2」
- 引用・参考文献一覧
- おわりに
はじめに
「個別最適な学びを実現するための授業とは?」
この問いに,私は今も向き合い続けています。
2021年に中央教育審議会が示した「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現〜」の中で,初めて「個別最適な学び」が規定されてから,早いものでおよそ5年が経過しました。この間,現場で授業をする私たちは,GIGAスクール構想による1人1台端末の導入や,多様化する生徒の実態に直面し,「このままの授業スタイルでよいのだろうか」と自問自答する場面も少なくなかったのではないでしょうか。私自身,そのように葛藤してきた一人です。
今から5年後の学校で行われている授業で目指すべき授業を想像してみてください。そこにあるべき姿は,教師が知識を一方的に授ける授業ではありません。子どもたちが自ら問題を見いだし,その解決に向けて,時には一人でじっくりと考え,時には仲間と協働的に関わり合いながら学びを進めていく。そんな「学習者中心」の授業です。
しかし,そのような理念や方向性は理解しているつもりでも,いざ授業をするとなると,「具体的にどのように授業を展開すればよいのか」「どのように評価すればよいか」という不安を抱えるのは,教師として当然の心理かもしれません。
数学という教科は系統性が強く,1つのつまずきがその後の学びに大きく影響してしまう性質をもっています。だからこそ,一人ひとりの学習の進度や理解度に合わせた「個別最適な学び」と,他者の考え方に触れて思考を深める「協働的な学び」を一体的に充実させることが大切になります。それこそが,「主体的・対話的で深い学び」を実現するための,最も確かな授業改善の手がかりになると信じています。
本書は,私の日々の授業における試行錯誤の中でつくり続けている,授業に対する考え方と,生徒との学びを見つめてきた記録です。
第1章では,改めて「個別最適な学び」が求められる背景について整理します。
第2章では,数学における「学び方」そのものを問い直し,「協働的な学び」,「個別最適な学び」がどのように関連しているのかを整理します。
第3章では,「数学の授業観」を整理します。そして,「個別最適な学び」,「協働的な学び」のイメージをつくり,「個別最適な学び」を実現するための授業をデザインします。
そして第4章では,5つの単元における授業実践例を詳述しました。実際の授業で,生徒がどのように学び,教師がどのように授業を展開したのかを紹介しています。
本書が,日々現場で授業をされている先生方にとっての授業改善の一助になることを願っています。本書を手に取ってくださった方々と共に,これからの数学教育がどのような授業を目指していくべきかについて,一緒に考えていければ幸いです。
最後に,本書は数学の授業をとおして共に学んでくれた生徒の学びの姿があったからこそ,完成させることができました。これまで共に学び,私を成長させてくれたすべての生徒のみなさんに感謝の気持ちを表したいと思います。そして,これから出会う生徒のみなさんとも共に学び,共に成長していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いします。
2026年4月 /宮ア 裕亮
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明治図書















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