- はじめに
- 第1章 心理学的テクニックを活用する前に
- 理論的背景
- 発達心理学の視点から
- カウンセリング心理学の視点から
- ポイントと注意点
- 発達段階に合わせたアプローチ
- 信頼関係の構築
- 心理学的テクニックの効果
- 心理学的テクニックの限界
- 第2章 教室で使える心理学的テクニック
- 01 暴露療法
- 02 シェイピング
- 03 来談者中心療法
- 04 生活分析的カウンセリング
- 05 行動療法
- 06 ソーシャルスキル・トレーニング
- 07 構成的グループ・エンカウンター
- 08 ラポール形成
- 09 対人関係ゲーム
- 10 アサーション・トレーニング
- 11 アンガーマネジメント教育
- 12 行動契約法
- 13 論理療法
- 14 ストレスマネジメント教育
- 15 遊戯療法
- 16 トークン・エコノミー法
- 17 ゲシュタルト療法
- 18 自己決定
- 19 感情表出トレーニング
- 20 セルフモニタリング
- 21 フォーカシング
- 22 読書療法
- 23 応用行動分析
- 第3章 場面別子供の課題へのアプローチ
- 学校行事
- 01 暴露療法 運動会への参加を拒む子供への対応
- 02 暴露療法 発表会に参加できない子供への対応
- 03 シェイピング 卒業式に参加できない子供への対応
- 授業
- 04 応用行動分析 授業を抜け出す子供への対応
- 05 応用行動分析 すぐに諦めてしまう子供への対応
- 06 来談者中心療法 苦手な授業を避けようとする子供への対応
- 07 生活分析的カウンセリング 授業の妨害を繰り返す子供への対応
- 08 行動療法 授業中に立ち歩いてしまう子供への対応
- 09 ソーシャルスキル・トレーニング 人前で話せない子供への対応
- 友人関係・学校生活
- 10 構成的グループ・エンカウンター 新しい学級になじめない子供への対応
- 11 ラポール形成 学級になじめない外国籍の子供への対応
- 12 対人関係ゲーム 協調性に欠ける子供への対応
- 13 ソーシャルスキル・トレーニング 友達とのトラブルが絶えない子供への対応
- 14 アサーション・トレーニング ソーシャルスキル・トレーニング 自己主張できない子供への対応
- 15 アンガーマネジメント教育 怒りの感情コントロールが苦手な子供への対応
- 16 行動療法 攻撃的な子供への対応
- 17 行動契約法 約束やルールを守らない子供への対応
- 18 論理療法 自己肯定感が低い子供への対応
- 19 ストレスマネジメント 教育いつもイライラしている子供への対応
- 登校
- 20 遊戯療法 登校を渋る子供への対応(1) ─小学校入学当初のケース─
- 21 トークン・エコノミー法 登校を渋る子供への対応(2) ─知的な遅れがあるケース─
- 22 ゲシュタルト療法 登校を渋る子供への対応(3) ─下学年のケース─
- 23 自己決定 行動療法 登校を渋る子供への対応(4) ─上学年のケース─
- 24 暴露療法 登校を渋る子供への対応(5) ─過去のいじめ経験を引きずっているケース─
- 保護者からの相談
- 25 感情表出トレーニング 我慢しすぎる子供への対応
- 26 セルフモニタリング 生活習慣が乱れている子供への対応
- 27 フォーカシング 非行を繰り返す子供への対応
- 28 行動療法 親の言うことを聞かない子供への対応
- 29 読書療法 障害受容に苦しむ子供への対応
- おわりに
- 参考文献
はじめに
学校現場で子供たちと向き合っていると,「どうしてこんな行動をしてしまうのだろう」「もっと力になりたいのに,うまく関われない」と感じる場面がきっと誰にでもあると思います。特に近年は,授業中に落ち着けない,友達とのトラブルが絶えない,突然教室から飛び出してしまう……そんな“対応が難しい”とされる子供たちが増えていると言われています。
こうした状況の中で,先生方にはこれまで以上に「問題行動を示す子供に適切に対応する力」が求められています。特別支援教育の知識や心理学的な視点が必要とされる場面も増え,誰もが“専門家のような対応”を期待される時代になってきました。しかし,現実には若手の先生を中心に「どう関わればいいのかわからない」「自分の対応が正しいのか不安になる」と悩みながら日々奮闘している方がたくさんいらっしゃいます。経験を積む前に難しいケースに直面し,戸惑いを抱えるのは当然のことですし,ベテランの先生であっても,子供たちの多様化が進む中で「これまでの経験だけでは対応しきれない」と感じる場面が増えています。
本書は,そんな先生方の「困った」「どうしよう」を少しでも軽くしたいという思いから生まれました。“心理学的テクニック”と聞くと,専門的で難しそうな印象をもたれるかもしれませんが,本書ではできるだけ専門用語を使わず,日常の指導にすぐに取り入れられるようにやさしい言葉でまとめています。心理学の理論を“知識”として紹介するのではなく,“使える技術”として紹介することを大切にしています。
また,最初から順番に読まなくても大丈夫です。気になる項目,目の前の子供の姿に重なるテーマから読み始めていただけるように構成しています。テクニックの説明と実際の事例がセットになっているので,「どう使えばいいのか」がすぐにイメージできるはずです。忙しい先生でも,必要なときに必要な部分だけをサッと読んで活用できるように工夫しています。
さらに本書では,「読むだけで終わらない」ことを大切にしています。ページをめくるたびに,「明日の授業で試してみよう」「あの子にこの声かけをしてみよう」と自然に思えるような実践のヒントを散りばめています。難しい専門書ではなく,気軽に手に取れる“道具箱”のような一冊を目指しました。読んでいて肩がこらず,むしろ「ちょっと元気が出てきた」と感じていただけるそんな温かさも大切にしています。
本書は,問題行動を示す子供への“手引書”であり,先生方の“マニュアル本”として活用していただける入門書です。特別支援教育に関心のある先生はもちろん,日々の指導の中で悩みを抱えている先生,もっと子供理解を深めたいと願う先生にも,きっと役立てていただけると思います。心理学の専門家でなくても,誰もが無理なく使えるように工夫してありますので,安心して読み進めていただければ嬉しいです。
そして何より,本書が目指しているのは,特別な支援を必要とする子供たちが学校生活の中でのびのびと自分らしく過ごせるようになることです。子供たちが安心して学び,成長できる環境をつくるために,先生方の力は欠かせません。本書がその一助となり,日々頑張る先生方の背中をそっと押す存在になれたら,これほど嬉しいことはありません。どうか肩の力を抜いて,気軽にページを開いてみてください。
*なお,本書は明治図書『特別支援教育の実践情報』(2025年4月号〜2026年3月号)の連載をもとに,改めて丁寧に書き下ろした一冊です。雑誌ではお伝えしきれなかった内容をわかりやすく補い,実践例もぐっと増やしました。支援の流れや工夫のポイントも細かく紹介しているので,明日から支援にすぐに役立ちます。連載を読んでくださった方にも,新たな学びを得ていただける一冊です。
2026年1月 /小西 一博
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明治図書















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