学ぶひきだし・教えるひきだし
「ふさわしい言葉と出会う」国語科の授業

学ぶひきだし・教えるひきだし「ふさわしい言葉と出会う」国語科の授業

新刊

BEST300

言葉の学びの観点から、国語授業の「当たり前」を問い直そう

子どもたちが「ふさわしい言葉と出会う」ことを目指した授業づくりの70のポイントを、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」「言葉(知識・技能)」にわけてご紹介しました。国語授業に主体的・対話的で深い学びを実装するためのアイデアが満載の1冊です。


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ISBN:
978-4-18-427425-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
在庫あり
出荷:
2026年1月13日

目次

もくじの詳細表示

始業のあいさつ
第1章 「ふさわしい言葉」と出会うために
目指す力はただ一つ
固まる言葉
「増やす」より「選ぶ」
その三つから始める
感情の広がりと言葉の広がり
草稿への加筆を「読む」
比べるものがあってこそ
危うい「聞く」こと指導
先生の耳
光を当てた方向に伸びる
学びの「伸びしろ」
シンプルな「個別最適な学び」
「わたしの最適」という学びの生長点
コラム1 大学生のレイアウト
第2章 「話すこと・聞くこと」のひきだし
1 たくましい幼児の言葉
2 足踏みをする「話す・聞く」
3 似て非なるもの
4 会話の下書き
5 一つのモデルさえあれば
6 何かを手にして
7 些末な「穴」
8 消しゴムのいらない言語
9 「文字なし絵本」で語る
10 インタビューの極意
11 インタビューから対話へ
12 ディベートを超える
13 ブックトーク 三冊で、三人で
コラム2 教科の学習を支える説明力
第3章 「書くこと」のひきだし
14 書く力を阻むもの
15 書くこと単元の純度
16 眼差しを文にする
17 言葉のスケッチ
18 「がんばらない」作文
19 「がんばった」の消えるとき
20 「運動会」予想作文
21 「一粒で三度おいしい」短作文
22 短作文を集めてつくる「山登り」
23 条件作文という名の短作文
24 資料を活用する条件作文
25 条件作文から目的作文へ
26 写真と詩の相性
27 「おもちゃ作文」で積極推敲
28 支え合って書く
29 「一枚文集」で表現する力を伸ばす
30 赤ペンを書くところ
31 赤ペンに代えて
32 「表記」か「表現」か
33 気づかせる指導
34 生まれながらの詩人
35 式の最中に念頭で書く
36 切実な思いで書く―総合的な学習
コラム3 一字下げインプリンティング
第4章 「読むこと」のひきだし
37 読むことは見えない
38 「見える化」の手法
39 ズレこそが命
40 半熟のスゝメ
41 一次感想を「半熟」にする
42 ズレを起こす発問
43 聞く「構え」をつくる話し手
44 お料理が冷めないうちに
45 話型なんていらない
46 四人か三人か
47 グループの学びを育てる
48 眼鏡をかけ替えて読む俳句
49 冒頭を読む力と読書
50 詩の群読で育つもの
51 幼児期の言葉の学びを生かす
52 「穴」を見つける教材研究
53 「穴」と「星座」
54 リーディングバランス
55 「一番〇〇なもの」で全文を読む
56 「ことば大賞」を書き手に贈る
57 褒めるところはソコじゃない
58 「指さし読み」という情報収集
59 「文章パズル」で構成をつかむ
60 「問い」と「答え」の呼応で読む
61 クイズをつくりながら読む
62 書き手と出会う読み
63 「人生の岐路」と出会う読み
64 自分流に「見える化」する子ども
65 書き換えながら読む
コラム4 学習指導要領の「気持ち」
第5章 「言葉(知識・技能)」のひきだし
66 平仮名の言葉遊び
67 くっつき言葉のカードで話す
68 なんのための「丸読み」か
69 漢字の成り立ちを語る
70 漢字のグルーピング
終業のあいさつ
注および参考文献

始業のあいさつ

 一冊の本の始まりが序であるならば、一時間の授業の始まりは始業である。序に代えて、始業の挨拶の話をしたい。

 今、この小冊を手に取ってくださっているのは、その多くが現役教員の方々だろう。いきなりで恐縮だが、始業の挨拶は、どのようになさっているだろうか。

 私の知る限り、小学校で一番多いのは「これから○時間目の勉強を始めます(お願いします)」という挨拶だ。男女が代表で前に出てきて、声をそろえて号令をかける形式も少なくない。

 礼を重んじる日本人らしいスタイルと言えるかもしれない。また、休み時間との切り替えの号令だと捉えるならば、それなりの機能を果たしているとも言えよう。しかしながら私は、このわずか一〇秒(起立等の動作を含む)の時間の使い方がもったいないと思う。

 試しに、「○時間目」という部分を「○○科」に換えてみよう。

 「これから国語の勉強を始めます(お願いします)」

 これでも、切り替えの号令機能は失われないし、学ぶジャンルも明確になってむしろよいのではないか。さらに絞って「これから『ごんぎつね』の勉強を始めます」ならどうか。

 ここで簡単な計算をしてみる。小学生は、毎日五時間程度の授業を受けている。つまり、よくある形であれば、一日に五回、同じ挨拶をすることになる。年間の授業日数は概ね二〇〇日。それを六年間続ければ、実に六〇〇〇回という看過できない数になる。

 もったいないと感じるのは、「せっかく言葉を使っているのに、脳が働かない」からだ。同じ言葉を繰り返せば、だんだん刺激がなくなり、チャイムが鳴れば、決まった文句を唱えるだけの条件反射になってしまうのである。

 私は、教員時代、始業・終業の挨拶を改善したいと試行錯誤を続けた。最終的に、辿り着いたのは、次のようなスタイルである。二人の別人格が前に出るのに、声を合わせようとするなんて、それも無駄だから、やり取りのある形に変えたものである。

 「これから『ごんぎつね』の六の場面を読みます。○○さんは今日、何をしますか」

 「私は、鉄砲に撃たれたごんの気持ちを考えたいと思います」

 「ぼくは、撃った兵十の方の思いを読もうと思います。お願いします(お願いします)」

 三〇秒はかかってしまうけれども、毎時間、刺激のあるオープニングになる。終業の挨拶も、二人で同じようにやる。読み取ったことや発見したことなど、互いに一言で振り返る。

 近年、どの教科でも「めあて」や「振り返り」の時間が設定されるようになったが、それを始業・終業の挨拶の中に取り込んだ形だと思っていただいても構わない。

     * * * * *

 この始業の挨拶などは、ほんの一例だが、学校文化には多くの「当たり前」が存在する。よいものは受け継がれて然るべきだが、本当にそれでいいのかと疑ってみたくなるものも少なくない。この本はそういう「当たり前」に、言葉の学びの観点から一石を投じることを目指している。

 その大部分は「国語科」の学びと教えに関する内容だが、もとより言葉の学びは、国語科だけでは成り立たない。その周辺にある「ひきだし」も積極的に開けていきたい。

 厳しいご批評をいただければ幸いである。


  二〇二五年一二月   /大杉 稔

著者紹介

大杉 稔(おおすぎ みのる)著書を検索»

元大阪樟蔭女子大学児童教育学部教授・教職支援センター長。

1960年,滋賀県生まれ。滋賀県内の公立小学校教諭,滋賀大学教育学部附属小学校教諭を通算34年務めた後,大学にて国語科教育等を指導。文部科学大臣優秀教員表彰(2006年度)。

小学校国語科教科書編集委員(三省堂)。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 国語の授業をよりよいものにしたいと切に願う人ほど陥りやすい指導の思い込みや間違いを優しく指摘するだけでなく、どうしたらよいか具体的な実践を子どもの声と共に紹介されていて秀逸。すべての小学校教員に読んでもらいたい。
      あまりにもよかったので、NotebookLMで、動画を作成しました。

      ▼動画バージョン
      https://drive.google.com/file/d/1Wq5X8rBpgKdYqsbMsmoS3qAUpw4TwDf8/view?usp=sharing

      ▼音声バージョン
      https://drive.google.com/file/d/1BYFC-i8bqKgxdVBDHGBICdJDm-0bNIuk/view?usp=sharing
      2025/12/21kei
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