未来を拓く
高等学校数学 「探究的な学び」の授業づくり

未来を拓く高等学校数学 「探究的な学び」の授業づくり

近日刊行予定

2030年代の教育のキーテーマを実践レベルで紐解く

探究的な学びの基盤となる数学観、授業づくりの前提と構成要素から、育成を目指す資質・能力、生徒にとっての問いを生むため手立て、探究的に学ぶ教室文化の創り方まで、高校数学における「探究的な学び」の授業づくりについて、あらゆる角度から掘り下げます。


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ISBN:
978-4-18-423923-4
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
高校
仕様:
四六判 192頁
状態:
近日刊行
出荷:
2026年5月11日

もくじ

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 数学科における探究的な学び
1 数学科における探究的な学びの風景
―織姫と彦星は1年に1回会える?
2 数学科における探究的な学びとは@
日々の普段の授業における実現に向けて
3 数学科における探究的な学びとはA
その基本的な授業展開
4 数学科における探究的な学びは何のためか@
数学的に考える資質・能力を身に付ける
5 数学科における探究的な学びは何のためかA
生きて働く確かな知識を習得する
6 探究的な学びの基盤となる数学観
7 授業づくりを貫く見方や考え方への意識
8 授業づくりの前提と構成要素
単元スパンでの検討と個に応じた学習過程の充実
第2章 目標設定の質を高める
1 育成を目指す資質・能力を言語化する
2 すべての生徒に育成を目指す資質・能力の言語化に向けて
3 育成を目指す資質・能力の解像度を高める@
統合的・発展的に考察する力
4 統合的・発展的に考察する事例
―指数の拡張
5 目標として「問題発見」を意識する
6 育成を目指す資質・能力の解像度を高めるA
数学を活用して事象を論理的に考察する力
7 日常の事象を数理的に考察する事例
―2つのタワーが同じ高さに見えるスポットは?
8 社会的な課題を数理的に考察する事例
―感染症検査を拡充すべきか?
9 数学的に考える資質・能力の現代及び将来的意義
第3章 探究的な学びの実現に向けた教材研究
1 生徒にとっての問いを生むために
2 探究的な学びの実現に向けた教材研究の問い
―数列の一般項と和を例に
3 効果的な問題を設定するために
―「金利」を例に
4 生徒の考えを予想する
―「プロ野球日本シリーズ第6戦はある?」を例に
5 教科書の扱いを工夫する
―二次関数と対数関数を例に
6 だれもが取り組める教材を目指して
―グラフアートなどを例に
7 デジタルツールが拓く教材の可能性
―シミュレーションと推論を中心に
第4章 探究的な学びを生み出す手立て
1 数学科における探究的な学びの風景
―何通りの焼き肉セットがつくれる?
2 探究的に学ぶ教室文化を創る
3 「まずは生徒が考える」ことを可能にするために
4 学びを深めていくために@
生徒の考えを取り上げるとき
5 学びを深めていくためにA
生徒の考えを取り上げて議論するとき
―「Aさんの証言は本当?」を例に
6 学びを深めていくためにB
議論を引き起こす発問を検討する
―「研究成果を主張しよう!」を例に
7 学びを深めていくためにC
全員が議論や対話に参加するための工夫
―グループ活動とデジタルツールの利用を中心に
8 学びを確かなものにするために
振り返りと練習
おわりに

はじめに

 教員生活を振り返るたびによく思います。私は,数学教師として,生徒たちに何を残せたのだろう。この変化の著しい先行きの見えない時代を生きる生徒たち一人ひとりに対して,何か力になれたのだろうか。

 授業は生徒たちのおかげでいつも楽しくできましたし,数学教師としてうれしいこともたくさんありました。でもやっぱり,同時に浮かんでくるのは,あのとき,あの生徒にはもっとこういうことができたのではないか,という思いです。

 その根底には,以下のような私の願いがあります。数学は確かに難しいけれど,自分で考え,納得して,数学すごい,おもしろい,楽しい,美しいと思ってほしい。数学というメガネをかけると世界の見え方が変わることを実感してほしい。数学が,人間として大切な「問う」「考える」という行為を支えることを実感してほしい。そして,そうして培われる,数学に対する前向きな感情や数学的に考える力が,生徒一人ひとりが豊かな人生を切り拓いていくうえで役立ってほしい。各々の立場から持続可能な未来社会を創っていくための礎になってほしい。こうした願いに基づいて,本書のタイトルに「未来を拓く」と入れました。

 現在の職に移り,全国各地の高校数学教育関係者の方々を相手にお話させていただく機会が多くなったのですが,同じような願いをもっていて,私の話を前向きに受け止めてくださる方々にたくさん出会うことができました。とても心強く思っています。一方で,それゆえの悩みや課題に直面されていることもよくわかってきました。そこに少しでも参考になれば,という思いで執筆したのが本書です。ただし,そうした悩みや課題のすべてに応えることができたわけではありませんし,本書で示しているのはあくまで1つのアイデアです。むしろ,本書をきっかけとして,「数学の授業を通して,一人ひとりの生徒に何を残すのか,どうすれば残せるのか」という問いを読者の皆様と共に考えていく―まさに探究していく―ことができれば,またその輪を広げていければ幸いです。


 本書を執筆するにあたって,なるべくではありますが,次の3点を心がけました。それは,@数学教育研究をはじめとする先行研究や多様な知見を踏まえること,A多様な学校の現状を踏まえること,B生徒の学びの姿を具体的に描き出すこと,です。@とAは,私自身の実践経験のみに依拠した説得力の薄い主張にしないためです。本書はかなりの部分で「巨人の肩に乗っている」ことがおわかりになると思います。また「探究的な学び」というと,一部の高校でのみ可能だと誤解されがちなので,多様な事例を意識しました。そしてBは,どんな教育実践であろうと,授業改善の根拠となるのは(したがって授業で観察すべきは)生徒の学びの実相であるという考えに基づくものです。

 そして,上記の3点は,私個人の力だけでは到底成し得ないことでした。この場を借りて,@ABの順に感謝を記します。まず,数学教育研究コミュニティの皆様。特に,修士・博士課程在籍時から的確なご助言をいただいている先生方,私が研究代表者を務めるJSPS科研費基盤研究において密度の濃い授業研究を共に進めてくれている研究者・実践者の皆様,同じ方向を向いて教材研究や授業づくりを深めてきた元同僚の皆様。次に,これまでに私の訪問や授業観察を受け入れてくださった全国各地の先生方。どの先生も目の前の生徒たちに対して本当に一生懸命で,一つひとつの授業が私の血肉となっています。地域の教育行政に携わる皆様にもいつも助けられています。そして,これまで私の拙い授業に携わってくれたすべての教え子の皆さん。私の実践がまがりなりにも論文等になって世に出ているのは,皆さんのありのままの反応が興味を掻き立てるからに他なりません。よく考え,好きに発言して,わちゃわちゃ議論してくれたことに本当に感謝しています。

 最後になりましたが,私の遅筆に辛抱強くつき合っていただいた明治図書の矢口郁雄氏,安藤龍郎氏,大内奈々子氏に感謝申し上げます。また,本書の多くはJSPS科研費基盤研究(C)「『数学的な見方・考え方』の育成を軸とする高等学校数学科の授業デザインと教育課程」(23K02496)の成果に依っていることを付記しておきます。


  2026年3月   /小林 廉

著者紹介

小林 廉(こばやし れん)著書を検索»

国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官。博士(教育学)。東京学芸大学附属国際中等教育学校教諭を経て現職。科研費基盤研究(C)「『数学的な見方・考え方』の育成を軸とする高等学校数学科の授業デザインと教育課程」を主宰。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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