算数授業インクルーシブデザイン

算数授業インクルーシブデザイン

新刊

目の前のすべての子どもたちに算数をわかってもらいたい

教科教育と特別支援教育の2つの視点を踏まえ、補足的な指導と配慮が必要な子どもを含む学級全員が「わかる」「できる」算数授業を提案。確かな理論と指導の手立てを明確にした授業事例によって、インクルーシブな算数授業があなたの教室で実現します。


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ISBN:
978-4-18-422628-9
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
在庫あり
出荷:
2021年4月13日
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もくじ

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はじめに
第1章 算数授業インクルーシブデザインの理論
インクルーシブ教育と多層指導モデル
1 インクルーシブ教育とは
2 通常の学級における特別支援教育:多層指導モデル
3 子どものつまずきから考える一斉授業での支援
Column 注意欠如/多動性障害(ADHD)と算数
数・量概念の発達と算数の学力困難
1 数・量概念の発達
2 発達性算数障害(あるいは算数学習障害)
Column 発達性協調運動障害と算数
第2章 授業事例で見る 算数授業インクルーシブデザインの実践
[1年]
前から何番目(順序数)と前から何人(集合数)の区別が難しい子どもがいる場合の指導事例 【なんばんめ】
大きい数を数えることや,大きい数の表記や読み方が難しい子どもがいる場合の指導事例 【大きいかず】
言葉による説明が難しかったり,何個分かを数え間違えたりする子どもがいる場合の指導事例 【大きさくらべ】
10に対する補数をすぐに思いつけなかったり,念頭操作が難しかったりする子どもがいる場合の指導事例 【繰り上がりのあるたし算】
10のまとまりで考えるよさに気づけなかったり,念頭操作が難しかったりする子どもがいる場合の指導事例 【繰り下がりのあるひき算】
[2年]
正確に測定したり,まっすぐ線を引いたりすることができない子どもがいる場合の指導事例 【長さ】
時刻や時間の理解に困難さがみられる子どもがいる場合の指導事例 【時計】
繰り上がりや繰り下がりのあるたし算,ひき算の筆算が正しくできない子どもがいる場合の指導事例 【たし算とひき算の筆算】
三角形でないことの説明や,正方形の弁別が難しい子どもがいる場合の指導事例 【三角形と四角形】
かけ算九九がなかなか覚えられなかったり,かけ算の場面集めが難しかったりする子どもがいる場合の指導事例 【かけ算】
[3年]
わり算の意味を説明したり,わる数とあまりの大きさの関係に注意して計算したりすることが難しい子どもがいる場合の指導事例 【わり算】
円が中心から等距離の点の集まりであることを理解したり,コンパスで円をかいたりすることが難しい子どもがいる場合の指導事例 【円と球】
0.1のいくつ分という考え方や,小数と分数のつながりの理解が難しい子どもがいる場合の指導事例 【小数】
何をもとにした分数なのかの意識が薄いため,量分数の単位をつけ忘れる子どもがいる場合の指導事例 【分数】
表をつくるときの集計作業が難しかったり,棒グラフをきれいにかけなかったりする子どもがいる場合の指導事例 【表とグラフ】
[4年]
折れ線グラフのどこを見ればよいかわからなかったり,縦軸のめもりの設定ができなかったりする子どもがいる場合の指導事例 【折れ線グラフ】
回転量としての角の概念の理解や,分度器による角の大きさの測定が難しい子どもがいる場合の指導事例 【角】
筆算のアルゴリズムとその意味が結びつかなかったり,商を立てる位置に迷ってしまったりする子どもがいる場合の指導事例 【わり算の筆算】
四捨五入する位が判断できなかったり,概数を求めることのよさがわからなかったりする子どもがいる場合の指導事例 【概数】
直方体や立方体の辺や面の関係が理解できず,見取図や展開図を用いた活動が難しい子どもがいる場合の指導事例 【直方体と立方体】
[5年]
小数でわることの意味がわからなかったり,筆算の小数点やあまりの処理で混乱したりする子どもがいる場合の指導事例 【(小数)÷(小数)】
合同な四角形のかき方や,四角形の内角の和の求め方がわからない子どもがいる場合の指導事例 【合同な図形】
分母どうしと分子どうしをそのままたし合わせたり,通分することの必要性がわからなかったりする子どもがいる場合の指導事例 【異分母分数のたし算とひき算】
まわりの長さと面積が関係していると考えたり,求積公式が覚えられなかったりする子どもがいる場合の指導事例 【面積】
割合の概念の理解に困難さがみられる子どもがいる場合の指導事例 【割合】
[6年]
文字を使う理由や,1つの文字に様々な数が入ることの理解が難しい子どもがいる場合の指導事例 【文字と式】
分数を用いた文章問題での立式や,わる数の逆数をかけることの説明が難しかったりする子どもがいる場合の指導事例 【(分数)÷(分数)】
「形が同じ」という意味の理解や,四角形の拡大図や縮図の作図が難しい子どもがいる場合の指導事例 【拡大図と縮図】
比例や反比例についての理解や,比例関係を見いだすことが難しい子どもがいる場合の指導事例 【比例と反比例】
データの代表値と散らばりの双方を見ることや,複合型のヒストグラムを読み取ることが難しい子どもがいる場合の指導事例 【データの考察】
おわりに
参考文献一覧

はじめに

 「目の前のすべての子どもたちに算数をわかってもらいたい」という願いは,算数を教えたことのある人ならば誰もがもつ思いでしょう。筆者らもこの思いから本書を執筆しました。

 「すべての人のための教育」というEducation for allの思想は,1990年にタイのジョムティエンで開かれた教育国際会議「万人のための教育世界会議」に1つのルーツをもちます。この会議では,

 第1条:基礎的な学習のニーズを満たすこと

 第2条:新たな可能性を共有すること

 第3条:すべての人々にアクセスを与えて公正さを促進すること

など,第10条までの宣言が採択されています。このfor allの思想は,1984年のユネスコの中期計画から見いだされます。一方,算数・数学教育においても,算数・数学教育について議論する世界最大の国際的な研究集会である数学教育国際会議の1984年第5回大会で,「すべての人のための算数・数学(Mathematics for all)」という課題部会が設定され,今日にいたるまで形を変えながらも長年議論が続いています。

 本書では,義務教育におけるすべての人,つまり,すべての子どもたちのための算数授業の具体的な指導法とその理論的背景を述べました。特に,通常の学級において補足的な指導と配慮を必要とする子どもたちに焦点を当てました。

 補足的な指導と配慮が必要な子どもたちは,一斉授業に加えて,その子どもの個性にあった個別の学びを必要としています。「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現〜(答申)」(中央教育審議会,2021)では,これからの学習指導における個別最適な学び,協働的な学びの必要性を訴えています。また,特別支援教育においては,通常の学級から通級による指導,特別支援学級,特別支援学校までの連続性のある学び,インクルーシブな学びを重視しています。補足的な指導と配慮が必要な子どもたちにとって,一斉授業と連続性があり,なおかつ,その子どもの個性にあった個別の学びを実現するためには,単なる具体的な指導の方法論だけではなく,その方法論の背後にある理論的背景も教師は知っておく必要があるでしょう。本書では,すべての子どものための具体的な方法論とその理論的背景をなるべくていねいに記述しました。そのため,巻末の参考文献を充実させました。本書の指導の具体例から,日々の指導のアイデアを得ていただき,理論編の論文や参考文献をさらに参照することで,本書の具体的な指導法を目の前の子どもにfitした形に修正して適用していただけたらと願っています。

 また個別最適な学びは,孤立化した学びではなく,友だちや教師との協働的な学びを通して実現されます。本書では,協働的な学びの場を対話の形で具体的に記述しました。対話は,単なる考えた内容の伝達ではなく,「先ほどまで考えていたことについて他者と考え合う」というメタ認知が働く活動です。このメタ認知が,一人ひとりの子どもたちの思考を深めていくのです。本書の対話例を参考に,子どもたちの実態に合わせた対話が各授業で展開されることを願っています。

 GIGAスクール構想,オンライン教育,学校内の異文化理解・多文化共生,教員の年齢構成の不均衡等,課題の山積する教育現場ですが,本書が「すべての子どものための教育」の一助になれば幸いです。


  2021年3月   /松島 充

著者紹介

松島 充(まつしま みつる)著書を検索»

1974年静岡県生まれ。香川大学教育学部准教授。

静岡県公立小・中・特別支援学校教諭,広島大学附属東雲小学校教諭を経て現職。算数・数学教育におけるEquityの実現,対話による深い算数・数学学習を視点として研究を行っている。

日本数学教育学会出版部幹事,教育出版教科書『小学算数』編集・執筆。

惠羅 修吉(えら しゅうきち)著書を検索»

1961年山口県生まれ。香川大学大学院教育学研究科教授(教職大学院担当)。

認知神経心理学を専門として特別支援教育に関連した研究を行っている。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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