- はじめに
- Chapter1 教室環境づくり4つのテーマ
- 01物理的な安全性と心理的な安全性 安全性
- 02教室は生活と学びの中心 学びの可視化
- 03個の輝きと協調性を支える寛容さ 協調性と個性
- 04楽しい学級をつくるのは自分たち 創造性
- Column
- Chapter2 子どもの学びを充実!シーン別・教室環境アイデア
- Part1 学級びらき
- 01 全員が「歓迎されている」と感じる 黒板メッセージ
- 02 学びやすい空間をつくる 座席配置
- 03 雨の日も落ち着いて安全に 傘立て
- 04 安全で使いやすい収納に 児童用ロッカー
- 05 学びやすさは机の中から 児童の学習机
- 06 教室の中心をいつもきれいに 黒板まわり
- 07 共有スペースを有効に使う 棚の使い方
- 08 子どもとの交流の場に 教師机
- 09 備えあれば憂いなし 避難経路の安全確保
- 10 すべての掲示物に教育的意図を 教室掲示
- 11 本でつながる子どもたちの輪 学級文庫
- 12 あたたかなコミュニケーションが生まれる 折り紙
- Part2 教師のふるまい
- 01 教室に程よい緊張感とあたたかさをもたらす 服装・表情
- 02 意図をもった教師の動き方 立ち位置・目線
- 03 声の使い分けで子どもの集中力を高める 声の高さ・大きさ
- 04 授業では「指導言」を意識せよ 発問・指示・説明
- 05 授業づくりの鍵 助言
- 06 子どもたちとつながる 休み時間の過ごし方
- Part3 学級システム
- 01 全員で取り組む 給食当番
- 02 7時間過ごす学校を15分で美しく 掃除当番
- 03 1日の目標をつくって自治的風土に 日直当番
- 04 学級活動のベースをつくる 係活動
- 05 忘れても安心 レンタルスペース
- 06 宿題チェック当番と協力 宿題提出管理・丸付け
- 07 自分たちのことは自分たちで決める 学級会
- 08 学校を楽しくするのは自分たち お楽しみ会
- Part4 学習の基盤
- 01 安心して話せる雰囲気をつくる よい聞き手とは
- 02 人・場所・ものは成長のためのリソース 学びの選択肢を広げる
- 03 役割を明確にして活発な話し合いに 話し合い活動
- 04 帯学習で書くことが日常になる 書く力
- 05 ICTは自己実現のためのツール 情報活用能力
- 06 学校図書館を探究学習の拠点に 学校図書館の使い方
- 07 振り返ることで高める 自ら学ぶ力
- 08 これまでの学びをゼロにしない 文学の授業びらき
- 09 自分で学習サイクルを回す 説明文の授業びらき
- Part5 授業
- 01 見やすい板書 文字の書き方
- 02 低学年が安心して学ぶことができる 板書の工夫
- 03 「写す」「見通す」「創る」 3つの板書スタイル
- 04 子どもの気づきを引き出す 構造的板書
- 05 思考を可視化する シンキングツール
- 06 自分らしさを楽しむ オリジナルノートづくり
- 07 努力を見つける小さなシール ノート評価
- 08 問いを共有して単元を見通す 学習計画を立てる
- 09 身につけた力を発揮する パフォーマンス課題
- 10 自分の成長を実感する 学習作文で自己評価
- 11 友だちの作品にコメントを送り合う ファンレターで他者評価
- Part6 教室掲示
- 01 学び合い,高め合う教室をつくる 学習成果の展示
- 02 日々の努力が明日の自分をつくる 生活目標や学習目標の掲示
- 03 教室は一人ひとりの大切な居場所 図工作品や習字の展示
- 04 歌詞を大切にする心を育む 音楽会に向けての掲示
- 05 クラスの協力の証 季節によって変わる折り紙掲示
- 06 目標や成果を伝える 運動会・宿泊行事の掲示・黒板
- 07 1年の学びを糧に,子どもたちの背中を押す 学級じまいの掲示・黒板
- おわりに
はじめに
はじめて「教室環境」についての本を執筆させていただくことになりました。私はこれまで,さまざまな出版社の雑誌や刊行物で,教室環境に関する記事を書かせていただいたり,セミナー等で発表する機会をいただいてきました。それらを目に留めてくださった方々のおかげで,このたび1冊の本としてまとめることになりました。
教師になって,この仕事に最初に魅力を感じたのは,自分の考えで教室環境を整えられるということでした。私は昔から自分の部屋のインテリアをいじることが好きでしたし,ものづくりが好きでした。ですから,授業や学級活動を考えるよりも,子どもたちが毎日過ごす教室をどうすれば心地よくできるかを考えることの方が,ずっとわくわくしたのです。
「みんなでつくった折り紙を貼ってみたら,子どもたちはどう感じるだろう。」
「教室あそびのゲームが1つ増えたら,どんな顔を見えてくれるだろう。」
そんな想像を膨らませながら,放課後はよく教室のレイアウトを変えたり,掲示物を入れ替えたりして楽しんでいました。
教師になって3年ほど経つと,教室環境を工夫することで子どもたちが変わっていく様子が見えるようになりました。忘れ物をしても安心して借りられる仕組みがあれば,学習にスムーズに参加できますし,学級活動のとき,ものづくりをするための道具があれば,どんどん主体的に活動が進むのです。
5年目に担任した6年生のクラスでは,掲示した折り紙を見ながら,ある児童が,
「この折り紙を見ると,自分たちの教室やって思うねん。テンションあがるわ。」
と言いました。彼女は,みんなで折った折り紙を入口の扉にも貼ろうとよく提案してくれました。折り紙はただの掲示物ではなく,自分の教室である証しだったのです。
教師としての経験を重ね,視野が広がっていくと,子どもたちの実態に合わせて教室のレイアウトを変えたり,意図をもって掲示物を選んだりするようになりました。最初は「心地よい場所」を目指していた教室環境も,次第に「心地よくて学びたくなる場所」をつくりたいという気持ちに変わっていきました。
「教室」は,ただ子どもたちが過ごす場所ではありません。
・学びへの意欲を向上させる場所
・学習成果を確認して成長を実感する場所
・学校生活の基盤となる場所
なのです。
本書では,教室が生活と学びの基盤として充実した場所になるよう,多面的な視点から「教室環境」について提案します。対象とするのは教室内の物的環境だけではありません。子どもたちが多くの時間をともに過ごす教師との関わりや,仲間同士の関係性にも目を向けながら,教室環境を通して子どもたちが心地よく過ごせる場,成長を実感できる場を目指します。ぜひ,担任するクラスの子どもたちや教室を思い浮かべながらお読みください。
本書が読者の皆様にとって,「どのような教室をつくりたいか」を具体的に考えるための一助となることを心から願っております。
2026年1月 /樋口 綾香
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明治図書

















