数学の力、価値観・倫理観、疑問の目を育成する 続 算数授業のオープンエンドアプローチ

数学の力、価値観・倫理観、疑問の目を育成する 続 算数授業のオープンエンドアプローチ

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子供達が「ぜひ解決したい!」と思う問題が結集

何かを分ける、ルールを作る、複数の中から選ぶ、計画を立てるなど、子供達に身近な話題を問題にすることで、意欲が上がるだけでなく、数学的な見方・考え方や、心の優しさ、批判的にみる力を養うことができます。前著をより使いやすくし、新たな題材を集めた1冊。


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PDF
ISBN:
978-4-18-416831-2
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 160頁
状態:
在庫あり
出荷:
2026年1月26日

CONTENTS

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 数学の力,価値観・倫理観,疑問の目を育成する 算数授業のオープンエンドアプローチ 理論編
算数教育におけるルール作り
/広島大学大学院人間社会科学研究科 馬場 卓也
「社会的オープンエンドな問題」を用いた算数の授業で子供達の学習意欲を高め「数学の力」と「心の優しさ(倫理観)」と「批判的に見る力(疑問の目)」を育成しませんか
/元日本体育大学大学院教育学研究科 島田 功
社会科教育の研究者が考える「社会的オープンエンドな問題」の魅力:「真正の学び」の観点から
/宮城教育大学教育学部 吉田 純太郎
第2章 数学の力,価値観・倫理観,疑問の目を育成する 算数授業のオープンエンドアプローチ 実践編
分配問題
1年「牛乳じゃんけんの決め方を考えよう」
(同じ数ずつ)
2年「収穫した野菜を分けよう」
(同じ数ずつ分けよう)
3年「サッカーのチーム分けを考えよう」
(あまりのあるわり算)
3年「クッキーを分けよう」
(わり算)
4年「返金や集金の仕方を考えよう」
(概数と四捨五入・小数のわり算〔小数÷整数〕)
5年「卓球大会をしよう」
(整数)
6年「ドッジボールのチーム分けとコートを考えよう」
(図形の面積)
6年「8の字跳びの合計回数を増やそう」
(データの調べ方)
ルール作り問題
1年「ブランコ遊びのルールを決めよう」
(同じ数ずつ)
2年「ブランコ遊びのルールを決めよう」
(かけ算)
3年「玉入れゲームをしよう」
(円)
4年「読書ルールを決めよう」
(わり算の筆算)
5年「整数ゲームを作ろう」
(整数の性質を調べよう)
5年「ドッジボールコートの形を考えよう」
(平面図形の面積)
6年「卒業写真の場所決めをしよう」
(並べ方と組み合わせ方)
選択問題
1年「給食の献立を考えよう」
(データの活用)
2年「ロッカーを整理しよう」
(長さの単位)
3年「お楽しみ会の遊びを決めよう」
(表とグラフ)
4年「「誰のアドバイスを選ぶのがよいか」を考えよう」
(概数の表し方と使い方)
5年「安全な学校生活を呼び掛けよう」
(調べ方と整理のしかた)
5年「メイン商品を考える」
(異種の2量の割合)
6年「どの水筒がいいかな?」
(立体の体積)
6年「バスケットボール選手を選ぼう」
(割合)
計画・設計問題
1年「みんなが楽しめる氷鬼について考えよう」
(求大・求小)
1年「白川郷の合掌造りについて考えよう」
(色々な形)
2年「みんなが楽しくできるシュートゲームを考えよう」
(長いものの長さの単位)
3年「お金(貨幣)の形について考えよう」
(円と球)
3年「学区探検の計画を立てよう」
(時刻と時間)
3年「クリスタルアニマルの鑑賞会の計画を立てよう」
(あまりのあるわり算)
4年「謎解き迷路のルートを考えよう」
(小数のしくみ)
5年「メダカを飼う計画を立てよう」
(体積)
6年「修学旅行の買い物の計画を立てよう」
(図形の拡大と縮小)

はじめに

 この本は2022年に発行された『多様な価値観や数学的な見方・考え方を磨く算数授業のオープンエンドアプローチ』(島田・馬場編著,明治図書)の続編にあたります。今回出版されたこの本は,前回の本をお読みいただいた先生方からのご意見を基にしてよりよいものにしました。例えば,「単元の導入での社会的オープンエンドな要素を取り入れた授業案を準備して欲しい」や「学習のまとめが欲しい」などのご意見を基にしてより充実したものにしました。社会的オープンエンドな問題に関心を示された先生方が全国から20名ほど集まりその先生方と一緒に32の授業例を作り上げ,前回の本と合わせて64の授業例になりました。前回の本同様,4つのカテゴリー(分配問題,ルール作り問題,選択問題,計画・設計問題)毎に1年生から6年生まで授業例を掲載しておりますので参考にして下さい。

 ところで,前回の本にも書きましたが皆さんは,「オープンエンドアプローチ」という言葉を聞いたことはありますか。この言葉は島田茂(1977)によって主張されたものであり,正答が多様にあり,既習の知識・技能・考え方を色々に組み合わせて問題を解決する学習を意味しています。正答が多様に表出する問題を「オープンエンドな問題」といいます。これに社会性を取り入れたものが「社会的オープンエンドな問題」といい,馬場(2009)により主張されました。社会性というのは,子供達の社会に起こる問題を指します。このような問題を取り上げると子供達なりの多様な価値観と数学的モデル(式など)が表出します。それぞれの子供達が考えた価値観と数学的モデルを発表し意見交流を行い,学び合う学習ができるのです。また,数学的モデルを表現する際に「数学的な見方・考え方」が働きます。前回の本で取り上げた4年生の「的当て問題」を見ると,「平均の考え」や「面積の考え」や「重みづけの考え」などの「数学的な見方・考え方」が働いて式が表現されていることがわかります。「数学的な見方・考え方」についても学び合えるのです。また,社会的オープンエンドな問題を通して子供達の学習意欲を高めることもできるのです。「教科書の問題よりも楽しい」という子供の反応がその証拠です。また,社会的オープンエンドな問題によっては,思いやりや公平・平等などの価値観が表れたりしますので算数の問題解決を通して心の優しさを育てることもできるのです。子供達は友達の考えを聞きながら「1年生のことを考えてあげることが大切だと思いました。自分は気が付きませんでした」と自分の考えを振り返るのです。そして,授業の最後のどの考えを選択するかのときには,「Aさんのように1年のことを考えてあげられるようになりたいと思います」や「僕はBさんの考えがいいと思いました。みんなを公平に扱っているからです」のように変容するのです。もちろん,自分の考えを支持する子供もおります。ここにその人の生き方が表れるのです。是非,この本に取り上げられている授業例や前回の本の授業例を通して授業をしてみて下さい。


  2025年10月   /島田 功(元日本体育大学大学院教育学研究科教授)・馬場 卓也(広島大学大学院人間社会科学研究科教授)

著者紹介

島田 功(しまだ いさお)著書を検索»

2015年広島大学で博士(教育学)を取得。2013年より日本体育大学児童スポーツ教育学部教授。2017年より日本体育大学大学院教育学研究科教授。2022年3月定年退官。専門は数学教育,特に社会的オープンエンドについて研究している。

馬場 卓也(ばば たくや)著書を検索»

2003年広島大学で博士(教育学)を取得。2010年より広島大学教授。専門は数学教育と国際教育協力。特に民族数学,価値観,社会的オープンエンドについて研究している。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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