「自由」が成立するクラスに流れる「いい空気」の正体

「自由」が成立するクラスに流れる「いい空気」の正体

近日刊行予定

「なんかいい」を、つくれる担任へ。

「あのクラス、なんかいい雰囲気」。そう言われる学級には、偶然ではない理由がある。教室の「空気」を教師の在り方や日々の仕掛けから捉え、子どもたちが「自由」に過ごせる学級づくりを言語化します。目には見えない。でも、確かに存在する法則を解き明かす1冊。


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ISBN:
978-4-18-416326-3
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小・中
仕様:
四六判 208頁
状態:
近日刊行
出荷:
2026年3月13日

CONTENTS

もくじの詳細表示

はじめに
序章 空気はすでに流れている
「自由」はなぜ難しいのか?
01 「自由」と「放任」は似て非なるもの
02 空気がなぜ前提になるのか
03 自由が成立している実際の風景
04 これからの時代に「自由が成立する」ということ
第1章 先生は前に出すぎない
子どもが動きやすい空気を設計する
正体
01 誰かが光ればみんなも嬉しい
02 先生が見てくれているという信頼感
03 「見ている・聴いている」が当たり前
04 多様なよさを認め合う
05 仲間の温かいまなざし
しかけ
01 子どもに役割と居場所を与え支える設計
02 評価の視線ではなく、変化の視線
03 迷わない環境と自走できる仕組み
04 沈黙と委ねる
第2章 エネルギーを正の流れに変える
言葉と行動で空気が動く
正体
01 散漫な好奇心が「学びの集中」に
02 自己主張が「建設的な表現」に
03 活動欲求が「目的ある行動」に
04 個々の関心と協働的な連携
05 貢献と成長の実感
しかけ
01 子どもの好奇心を刺激する問い
02 傾聴と承認の姿勢を貫く
03 座学と活動の適切な融合
04 クラスプロジェクト
05 すてきシェアタイム
第3章 自由にするほど、秩序は必要になる
自分を律する土台を育てる
正体
01 子どもが自らを律する力
02 自由な選択に伴う責任
03 集団への意識、集団の調和
04 共通認識「範囲」と「限界」
05 先生が揺らぎを認識している
しかけ
01 「なぜ必要か?」を共に考える
02 小さな選択と責任の委譲
03 見つける・伝える・広げる
04 困りごとを改善の機会に変える対話の場
第4章 クラスの文化は日常で育つ
空気をつくる言葉と振る舞い
正体
01 感情共有と伝播がある
02 行動の連鎖と規範がある
03 「仲がいい」だけではなく「対等である」
04 挑戦を楽しめる
05 先生の振る舞いに一貫性がある
しかけ
01 ハッピーニュースシェアタイム
02 自分たちでつくるルール
03 ランダムペアトーク
04 オープンな弱みを語る
05 先生がロールモデルとなる
第5章 行事は「通過点」になる
準備・本番・余韻を価値に変える
正体
01 失敗を受け入れられる
02 「みんなでつくる」感覚
03 日常そのものの価値が認識されている
04 一人ひとりの努力が認められる
しかけ
01 イベントを通過点として捉える
02 終わったあとの自然な振り返り
03 余韻と切り替えのタイミング
04 日常の中にこそ成長の物語を見る
05 見通しと目的を子どもたちと共有する
第6章 先生も空気の一部になる
関係がつくる安心感
正体
01 先生が一緒に楽しめる、一緒に悩める
02 子どもたちへの愛情
03 本気で向き合う覚悟
04 ユーモアと真面目の絶妙なバランス
05 誠実さがある
しかけ
01 自然体でいる
02 つっこみを許す
03 共演シーンがある
04 先生のことを話題にしたくなる振る舞い
参考文献一覧

はじめに

 教室に立っていると、言葉では説明し切れない違和感を覚えることがあります。

 特別な出来事があったわけではありません。大きなトラブルが起きているわけでもありません。それでも、「今日は何かうまくいっていないな」と感じる瞬間です。

 逆に、理由ははっきりしないけれど、子どもたちの動きが噛み合い、こちらが多くを語らなくても学習が進んでいく日もあります。教室全体が、静かに同じ方向を向いているような感覚です。この差は何なのだろう。

 教師の経験年数でしょうか。

 指導技術の差でしょうか。

 教材研究の量でしょうか。

 私は長い間、その答えを探してきました。そして、少しずつ見えてきたのが、「空気」という存在でした。空気という言葉は、とても曖昧です。研修会で使えば、「感覚的すぎる」と言われるかもしれません。

 しかし、現場に立ち続けている教師ほど、この空気の存在を、日々、肌で感じているのではないでしょうか。

 朝、教室に入った瞬間の雰囲気。

 問いかけのあとの沈黙。

 子どもたちの表情の変化。

 それらはすべて、教室に流れている空気の一部です。

 私は、特別な実践をしてきた教師ではありません。ただ、この「空気」というものに人一倍悩み、向き合い続けてきた教師だと思っています。一見、順調に進んでいる日々の中でも、「本当にこれでいいのか」「もっと子どもたちに任せられるのではないか」と、自問自答を繰り返してきました。

 そんな試行錯誤の中で、「何かを足そう」とするたびに、逆に教室が重くなっていく感覚を覚えました。声かけを増やし、説明を増やす。けれど、それでも空気は整いません。

 その一方で、何かを減らしたとき、あるいは、立ち止まって子どもたちをよく見たとき、不思議と教室が落ち着くこともありました。

 「教える」よりも、「感じ取る」。

 「動かす」よりも、「流れを読む」。

 そうした姿勢に切り替えたとき、少しずつ、教室の空気が変わっていったように思います。

 この本は、「こうすればうまくいく」という方法論を並べた本ではありません。

 また、すぐに再現できる技術書でもありません。ここに書いてあるのは、日々の教室の中で、私自身が迷い、立ち止まり、それでも子どもたちと一緒に探してきた「空気との向き合い方」です。特別な才能がなくても、経験年数が浅くても、今の教室をすぐに変えられなくても、空気を見る視点を持つことはできます。

 この本を手に取ってくださった方の中には、「クラスをもっとよくしたい」と思っている方もいれば、「今のやり方でいいのか不安だ」と感じている方もいると思います。あるいは、言葉にできない違和感を抱えたまま、日々をやり過ごしている方もいるかもしれません。そのどれもが、自然な姿です。教師である以上、迷わなくなることはありません。

 むしろ、迷い続けられることこそが、子どもと向き合い続けている証なのだと思います。

 この本は、そんな迷いを否定するための本ではありません。迷いを抱えたままでも、教室の空気と向き合い直すための、一つの視点を差し出す本です。

 読み進める中で、「これは自分の教室にもあるな」と感じる場面や、「ここは少し見逃していたかもしれない」と思う瞬間があるはずです。その気づき一つひとつが、すでに空気に目を向け始めている証拠です。

 学級の何も起きていないように見える日常の中に、確かに存在しているものです。もし、読み進める中で、「これ、うちのクラスにもあるかもしれない」「名前はつけていなかったけれど、似た感覚を持っていた」そんな瞬間があったなら、それはすでに、この本の役割は果たせているのだと思います。

 この先の章では、教室に流れる空気を、できるだけ言葉にしながら、それがどのように自由とつながっていくのかを見ていきます。読みながら、ご自身の教室の風景を、ゆっくりと思い浮かべていただけたら嬉しいです。


   /瀧口 直樹

著者紹介

瀧口 直樹(たきぐち なおき)著書を検索»

埼玉県公立小学校教諭。藤井の会(主宰・藤井隆光)や教育サークルTotteokiに所属している。学級経営研究会事務局長。

「スマイル先生」のアカウント名で,XやInstagram,Voicyにおいて学級づくりや仕事術・働き方に関する発信を続けている。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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