新時代の授業づくり:理論と実践の展開2
学力の質的向上をめざす社会科授業の創造

新時代の授業づくり:理論と実践の展開2学力の質的向上をめざす社会科授業の創造

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最低基準の達成を保障し、個に応じた成長型の教育へ転換する。

これからの社会科教育では、到達型の教育から、最低基準の達成を保障する個に応じた成長型の教育への質的転換が必要である。基礎・基本を深め、それを拡げる発展的学習を組み込む授業実践の在り方を具体的に提示する。


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ISBN:
4-18-414711-9
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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プロローグ
第1章 学力の質的向上のために
第1節 社会科の学力
1 方法的視点が重視される社会科
2 「社会」が見えてくる社会科に
3 社会科の学力構造
第2節 社会科授業に必要な4つのC
1 4Cで創る社会科授業
2 つながりが見えてくる社会科授業
第3節 学力の質的向上のための授業づくり
1 子どもと創出する教材開発で質的向上を
2 成長型学習で質的向上を
第4節 学力の質的向上をめざすプラン
1 系統性を意識した社会科の学習内容
2 学力の質的向上をめざす単元配列プラン
第2章 学力の質的向上をめざす社会科授業の実践
第1節 地域社会のつながりが見えてくる実践事例
1 第3学年実践「広島かきをそだてる」のエッセンス
2 単元の基礎・基本
3 学力の質的向上をめざす授業の実際
4 実践事例の考察
第2節 日本の経済的つながりが見えてくる実践事例
1 第3学年実践「わたしたちのくらしと商店」のエッセンス
2 単元の基礎・基本
3 学力の質的向上をめざす授業の実際
4 実践事例の考察
第3節 日本の機能的つながりが見えてくる実践事例
1 第4学年実践「くらしとごみ」のエッセンス
2 単元の基礎・基本
3 学力の質的向上をめざす授業の実際
4 実践事例の考察
第4節 日本の構造的つながりが見えてくる実践事例
1 第5学年実践「わたしたちの生活と情報」のエッセンス
2 単元の基礎・基本
3 学力の質的向上をめざす授業の実際
4 実践事例の考察
第5節 日本の歴史的つながりが見えてくる実践事例
1 第6学年実践「鎌倉の武士」のエッセンス
2 単元の基礎・基本
3 学力の質的向上をめざす授業の実際
4 実践事例の考察
第6節 日本の政治的つながりが見えてくる実践事例
1 第6学年実践「明治の世の中」のエッセンス
2 単元の基礎・基本
3 学力の質的向上をめざす授業の実際
4 実践事例の考察
第7節 学力の質的向上をめざす評価のあり方
1 授業改善をめざす評価を
2 成長型学習をめざす評価を
エピローグ

プロローグ

 2003年12月,学習指導要領の一部が改正され,学習指導要領は「最低基準」であり,発展的な学習が可能になるように,「学習指導要領に示していない内容を加えて指導することができること」が法制上でも保障された。

 これまで,日本の教育界は,「教科の内容を系統的にしっかりと教える」という考え方と「子どもの興味・関心・体験を重視して,生活に結びついた学習をめざす」という考え方を両極として,振り子のように揺れ動いてきた。1980年代半ばには,校内暴力,不登校,いじめ問題など学校の病理現象が顕著になり,子どもたちへの「詰め込み型授業」にその原因を求め,とりわけ教科学習と学校で多くのストレスにさらされた子どもたちへの対応として,文部省(当時)の「ゆとり教育」の登場となる。

 2002年4月から実施された学習指導要領の特徴は,内容の3割削減と「総合的な学習の時間」の創設,ゆとり教育による特色ある学校づくりにあった。我が国の教育制度で初めて完全学校週五日制による学校教育が実施されて,21世紀の国際的な社会の変化に主体的に対応していく,いわゆる「生きる力」としての資質・能力の育成を図る新しい教育が求められたのである。

 しかし,教育界内外からの学力低下論にさらされ,国際教育到達度評価学会や文部科学省・国立教育政策研究所教育課程センターの調査などの結果により,見直しが迫られ,学習指導要領の改正へとつながった背景がある。

 教育界に限らず,必要なことは,本質を見極める目とバランス感覚である。その時々の風潮に流され,教科内容が削減されたり,教科そのものが廃止されたり,統合再編されたりしたら,現場の教師や,子どもたちへの影響は計り知れない。ただ,振り子のように揺れ動きながらも,よりよい方向に向けて進んでいると信じたい。

 これからの小学校教育では,子ども一人一人の成長をめざし,子どもたちに基礎・基本を定着させるとともに,その学習を上昇させることを進め,一人一人の子どもの達成度合いを評価していくことが必要である。同学年の同クラスのすべての子どもたちに同じレベルの内容を同じような方法で習得するというこれまでの均一的・画一的な教育から,一人一人の子どもが基礎・基本を定着させ,それを活かす学習成長のための教育へと質的転換が求められているのである。

 つまり,目的地を明確にしてすべての子どもをそこへ到達させる到達型の教育から,最低基準の達成を保障し,個に応じた成長型の教育への質的転換の必要性である。この転換を基軸として,最低基準となる基本的な学習と基礎・基本を深め,拡げるための発展的学習を組み込んだ学習を組織することで,学力の質的向上をめざす授業が可能になるものと考えている。

 本書は,広島大学附属小学校創立100周年を記念として「新時代の授業づくり:理論と実践の展開」シリーズとして刊行されるものである。今後ますますの広島大学及び附属小学校の発展を祈念するとともに,これまでかかわりあった多くの子どもたちの活躍と保護者の皆様のご協力への感謝の意を表す次第である。


  2005年11月 /關 浩和

著者紹介

關 浩和(せき ひろかず)著書を検索»

1958年9月 愛媛県松山市に生まれる。

2005年3月 学校教育学博士(兵庫教育大学)

現在  広島大学附属小学校教諭

    岡山大学教育学部非常勤講師

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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