- はじめに
- CHAPTER1 やる気を最大限に引き出す教師の50の習慣とは
- 1 5つの視点を常に意識する
- 2 「説得的に話すスキル」を習得する
- 3 「教育的演出」を意識する
- 4 「教育的マインドセット」をもつ
- 5 「言語化した〈ものさし〉」を共有する
- 6 「張りを生み出す指導技術」を身に付ける
- CHAPTER2 「説得的に話すスキル」を習得する
- 1 緩急と抑揚で「揺れ」をつくる
- 2 〈間〉のとり方を意識する
- 3 大小/高低/強弱をつけて話す
- 4 身振り・手振りを意識する
- 5 呼びかけるように語る
- 6 母音を意識する
- 7 固有名詞を入れて話す
- 8 「きき方」のレベルを明示する
- 9 指導言を使い分ける
- 10 I massageで伝える
- CHAPTER3 「教育的演出」を意識する
- 1 気を遣わせる
- 2 リズムとユーモアでテンポをつくる
- 3 悩む・困る
- 4 沈黙する
- 5 体の向き・動き・立ち位置を変える
- CHAPTER4 「教育的マインドセット」をもつ
- 1 違いを大切にする
- 2 意味・目的を共有する
- 3 謝罪と感謝,素直な心
- 4 範を示す
- 5 formalとinformalを距離感で示す
- 6 腑に落とす
- 7 「優しさ」と「温かさ」
- 8 全体/個別指導の使い分け
- 9 「独り」の美しさを強調する
- 10 よい行いの習慣化を促す
- 11 短期的に求めることと中長期的に見据えること
- 12 文脈と背景に寄り添う
- 13 シンパシーよりエンパシーを大切に
- 14 北風と太陽
- 15 整理整頓の徹底意識
- 16 「教えたい」を「学びたい」に
- 17 負荷を与えて成長を促す
- 18 「常時皆」を意識する
- 19 価値づけを大切にする
- 20 〈終わり〉を意識する
- CHAPTER5 「言語化した〈ものさし〉」を共有する
- 1 「凡事徹底」
- 2 「目的」と「目標」
- 3 「揃える」
- 4 「我苦習」ではなく「楽習」を
- 5 「知行合一」
- CHAPTER6 「張りを生み出す指導技術」を身に付ける
- 1 虚を衝く
- 2 視線を意識する
- 3 聴いて孵す
- 4 焦らす
- 5 数字で示す
- 6 即時的/個別/刻々に評価する
- 7 量的/質的な机間指導
- 8 プレッシャーをかける
- 9 煽る
- 10 活動を挟む
- おわりに
- 引用・参考文献
はじめに
目の前にいる子どもたちの成長を願わない教師はいません。教師として現場で奮闘する先生方は皆,受けもった子どもたちのために,何をどうすればその子の成長を促すことができるかを考え,日々実践されていることと思います。私自身もそうです。しかし,時に,よかれと思って行った指導がその子に届かず,教師の独りよがりになってしまうこともあります。結果的に,子どもとの間に信頼関係を築くことができず,成長を促すことができなくなってしまうということも……。
私自身もたくさんの失敗を繰り返してきました。時に,自分の力不足具合に腹が立ち,自信をなくし,教壇に立ち続けることに不安を感じ,教職から離れようと思ったこともありました。しかし,それでも諦めず,どうすれば目の前にいる子どもたちの成長を促すことができるかを真剣に考え,試行錯誤していく中で,自分なりに子どもの成長を促す方途を見出すことができました。本書では,「子どものやる気を最大限に引き出す50の習慣」を5つの観点に分けて提示しています。その5つの観点というのが
@「説得的に話すスキル」
A「教育的演出」
B「教育的マインドセット」
C「言語化した〈ものさし〉」
D「張りを生み出す指導技術」
です。ここに書かれていることは,私自身,煩悶を繰り返しながら実践したり,文献を紐解き,自己研鑽したりする中で見出したものです。全ての方に全てのことが当てはまる訳ではありません。ご自身の実践に取り入れる際には,取捨選択し,自分らしい方法や考えを導き出していただけたらと思います。
また,このことと併せて確認しておきたいことがあります。それは,教師が自己を磨き,成長しようと努力するプロセスにこそ大きな価値があるということです。当たり前と言えば当たり前かもしれませんが,教師の自己更新が子どもの成長につながり,自分を伸ばし,成長しようとする教師の下でこそ,自分を伸ばし,成長しようとする子どもの姿は生まれるのです。本書で紹介している50の習慣は,教師の成長を後押ししようとする提案です。少しでも参考になる箇所があれば,日頃の実践に取り入れていただけると幸いです。
子どもの成長を促し,力を伸ばすためには,やはり,教師自身が,自分を伸ばすための努力を怠らず,取り組みを「習慣化」していくことが重要です。「習慣化」というのは,日頃から意識・徹底し,着実に積み重ねていく中でこそ実現できるものです。そのため,教師力を磨く努力を「習慣化」するには,はっきりとした目的意識をもつ必要があります。もちろん,その目的というのは,それぞれによって微妙に異なるでしょう。しかし,目の前にいる子どもたち,今後縁していくであろう子どもたちのために,力をつけよう! という目的意識を明確にもち,教師としての力を磨く取り組みを習慣化していくことが大切です。
本書で紹介している内容が,学校現場で奮闘される先生方にとっての一助となることを願っています。
2022年4月 /三浦 剛
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- 明治図書
- 子どもたちのやる気についてのテーマで参考になりました。2022/9/1520代・小学校教員