学級担任のための不登校支援ガイド

学級担任のための不登校支援ガイド

新刊

総合55位

子どもと保護者の伴走者になるために

不登校の子に対する多様な学びの場は広がっています。その一方で、もし子どもや保護者が「もう一度、元の学級で学びたい」と願ったとき、担任には何ができるでしょうか。子ども理解の方法、面談での声かけ、再登校時の関わり方など、支援のヒントをまとめました。


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PDF
ISBN:
978-4-18-410828-8
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小学校
仕様:
四六判 224頁
状態:
在庫あり
出荷:
2026年8月6日

目次

もくじの詳細表示

はじめに 〜子どもと保護者の心に、希望の灯をともすために〜
第1章 「本当は、また学校へ……」――その小さな願いを拾い上げるために
子どもと保護者の「願い」とは?
「学校って本当に必要なのかな?」という問いの向こう側
子どもの視点で考える「学校の可能性」
「本当は、学校へ行きたい」と口にする子どもたち
保護者の「本当の願い」に寄り添う
不登校が家庭に与える「もう一つの悩み」
「本当は学校へ…」保護者の願いに、まっすぐ向き合う
「今、できること」から始めたい
第2章 不登校のリアル――子どもが発する「SOS」と心の現在地
増え続ける不登校の現状と背景
データから見える不登校の現状
子どもを理解する
(視点1)SOSのサインを読み解く
(視点2)「現在地」の確認をする
現在地@ 家から出ることが難しい状態
現在地A 家からは出られるが、学校の敷地に入るのが難しい状態
現在地B 学校には行けるが、教室に入ることが難しい状態
現在地C 教室には一人で入れるが、友達がいると難しい状態
現在地D 教室で過ごせるが、気持ちが不安定な状態
その子の成長を見逃さないために
「寄り添う」の一歩先へ──支援の本質を見つめる
一人で抱え込まないための「支援マップ」
たくさんのアドバイスに、どう向き合えばいいか
「きっかけ」の裏にある「本当の原因」
「見守る」だけでは、届かない声(Dさんの事例から)
「見守りましょう」というアドバイスとの向き合い方
「見守り重視」のアプローチが生まれた背景とは?
子どもが語る「理由」の裏にあるもの
「きっかけ」と「本当の原因」を分けて考える
第3章 孤独な保護者の「伴走者」になる――「寄り添う優しさ」を希望へとつなぐ
不登校に苦しむ親の心情
まさかうちの子が……
私が保護者の気持ちを理解するまで
闘病体験を通して見えてきたもの
情報に翻弄され、不安に蝕まれる日々
絶望の中で出会った一言の希望
保護者の心強い「道しるべ」に
優しさを「本当の力」に変えるために
第4章 複雑な現実を解きほぐす――「心への寄り添い」と「自立への導き」
観察を通して、現状を的確に見極める
愛情をもって見つめ、希望の糸口を探る
本人の「現在地」と「言葉」を見つめる
本人が語る言葉に耳を傾ける
心と体と生活は、すべてつながっている
保護者の「言葉」と「行動」を理解する
保護者の方の語る「言葉」から想いを理解する
保護者に、子どもへの関わり方についての考えがある場合
保護者がどうすればいいか、わからずにいる場合
保護者の「行動」から状況を読み解く
子どもとの関わり方を「安心」と「自立」という視点で整理してみる
パターン1:温かい共感を示すが、自立への導きがゆるやかになりすぎる状態
パターン2:説得が難しく、子どもの訴えに抗いきれない状態
パターン3:お互いに関わる心のエネルギーが枯渇してしまった状態
パターン4:愛情深い共感で支え、自立へ着実に導く、理想の状態
大切なのは「バランス」と、共に歩む姿勢
「家庭の環境」と「関係性」を理解する
「子どもとデジタル機器との距離」を把握する
「子どもと保護者の心の距離」を理解する
親子の心の交流は、温かく円滑なものか?
「心が動いた瞬間」に目を向ける
第5章 支援の「引き出し」を増やす――学校・家庭・医療でつくる回復の土台
状況に応じた支援の考え方
子どもの心の声に応じた、三つの支援の視点
「学校での出来事」がきっかけの場合
人間関係のトラブル
学習に対する不安
学校生活への不安
「心の体力」を育む支援
「心や体の不調」がきっかけの場合
医療と教育の上手な連携
学校での負担を和らげる、具体的な「環境調整」
「しんどさ」の理解が、折れそうな心を支える
「自分でも理由がわからない」場合
生活習慣からのアプローチ
「心身の健康」を支援のゴールに
「ゆっくり休む」とは?
「睡眠負債」から抜け出す
回復への土台を作る
希望へつなぐ保護者との対話
私が犯した、ある大きな失敗
保護者と共に歩むための、対話の3ステップ
まずは、じっくりと話を聞く
考えられる選択肢を、すべて誠実にお伝えする
どの方法から試すか、保護者に「選んで」もらう
医療機関との連携について、留意したいこと
第6章 「回復する力」を引き出す――背中をそっと押す、具体的な関わり方
「回復する力」を引き出す具体的な関わり
小さな一歩が「回復する力」を引き出す
関わり@:「安心の傾き」――「行きたいけど行けない」背中を支える
ケース1:「ここからは大丈夫」という信頼のバトンタッチ
保護者の心を支える、放課後のフォロー…@様子を伝える
保護者の心を支える、放課後のフォロー…A想いを伝える
ケース2:安心のゴールを「教室」に設定する
先生自身が、その子の「新しい安心基地」に
関わりA:「小さな選択」――「選べた」という成功体験を
「あなたはどうしたい?」という問いかけの難しさ
なぜ「どうしたい?」に答えられないのか
「選べた」という成功体験を積み重ねる
「小さな選択」で信頼関係を育む
「補助輪」を外し、自立へ向かう次のステップ
言葉で選べない子への、さらなる工夫
「指さし」で、非言語の選択を促す
「回数」を示して、聞く余裕をつくる
「時間」を区切ることで、決断を後押しする
「カウントアップ」と「カウントダウン」の使い分け
関わりB:「成長への背伸び」――自分で道筋を決定する力を育む
「無理」ではなく「背伸び」を
「背伸びポイント」を提示する
「0.01の背伸び」を積み重ねる
関わりC:「心のバケツ」――言葉を受け止める「器」を整える
まず「聞く準備」を整える
対話へと導く、4つのステップ
クールダウンルーム(CDR)を活用して、その子の成長を後押しする
感情が昂り、どうしても対話が難しい場合
「対話」を選べるまで寄り添いながら静かに待つ
未来志向の対話で、次の一歩を「練習」する
なぜ「対話する力」を育むことが大切なのか
「信頼のメッセージ」が、固まった心を溶かす(N君の事例)
「焦らない」という覚悟が、回復力を引き出す
第7章 ケーススタディで学ぶ――現場の悩みに答える実践事例
具体的な事例を通して、支援の引き出しを増やす
事例1:保護者が「まずは休ませたい」と考えている場合
事例2:「行かせたいのに、行かせられない」と保護者が悩んでいる場合
事例3:学校へ行く途中で、足が止まってしまう場合
事例4:昇降口などで、体が固まってしまう場合
「一人で行ける」と答えたら
事例5:教室の入り口で、立ち止まってしまう場合
事例6:別室登校が、周囲から「ずるい」と思われてしまう場合
事例7:教室ではなく、「クールダウンルーム(CDR)へ行きたい」と訴える場合
事例8:「放課後なら行ける」と訴える場合
事例9:登校したり、休んだりを繰り返す場合(五月雨登校)
事例10:教室にはいられるが、ふとしたきっかけで心が折れやすい場合
答えは、目の前のその子の中に
おわりに

はじめに〜子どもと保護者の心に、希望の灯をともすために〜

 「子どもの不登校が続いて、どうしていいかわからない」


 面談の場で、保護者の切実な声に耳を傾けてきました。大切な子どもが学校へ行けなくなると、多くの保護者は先が見えない暗闇の中に、たった一人で取り残されたような気持ちになってしまいます。


 「どうしてうちの子が……」

 「私の育て方がいけなかったのかしら……」

 「この子の将来は、一体どうなってしまうんだろう……」


 そんなふうにご自身を責め、眠れない夜を過ごしている保護者を前にして、私たち支援者もまた、かける言葉が見つからず無力感に苛まれることがあります。「もっと何かできることはないか……」と悩み、迷っている先生方も少なくないのではないでしょうか?

 不登校についてインターネットや本で情報を探すと、

 「不登校は、決して問題行動ではありませんよ」

 「学校へ行くことができなかったからこそ、学べたことがありました」

 「学校以外にも成長できる場所はたくさんありますよ」……

 といった、温かい言葉にたくさん出会います。これらの言葉は、本当にその通りだと思います。自分を責め、張り詰めた気持ちでいる保護者の心をふっと軽くしてくれる、かけがえのないメッセージです。実際に、国も「学校に再び通えるようになることだけを、ゴールにしなくてもいいんですよ」と明確に伝えており、学校以外の多様な学びの場が、今、社会全体に広がりつつあります。

 その大切な考え方を、私も心から尊重しています。その上で、この本では、ある一つの「もしも」に、光を当ててみたいのです。それは、もし子どもや保護者が、心の奥で「本当は、また学校で笑える日が来てほしい」という願いを、ほんの少しでもおもちであるならば、その切実な想いにどこまでも寄り添いたい、という想いです。

 そして、その願いを、私たち教員が具体的な支援で後押しし、「学校で学ぶ」という選択肢を子ども自身がもう一度、自分の意志で選び取れるようになるために、何かできることはないか、一緒に考えていきたいのです。

 なぜなら、私たち教員は、「学校」という場所がもっている価値や可能性を、誰よりも知っているからです。もちろん、学校だけが全てではありません。しかし、たくさんの友達や先生と関わる中で社会性を学び、ときにはうまくいかない経験を通して、困難を乗り越える力を育んでいく……。そのような「子ども時代だからこそ得られる貴重な機会」が、学校にはたくさん眠っていることも事実です。だからこそ、「学校で学ぶ」という選択肢を簡単にあきらめてほしくない。それが、教育に携わる者としての、私の心からの願いなのです。

 さきほどの国からの言葉の後には「児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」という言葉が続きます。これは、「学校復帰だけがゴールではない。でも、子どもが将来、社会の中で自分の足で立っていくために、私たち大人は支援を諦めちゃいけないんだよ」という、国からの力強いメッセージだと、私は受け止めています。不登校は、決して誰かが「悪い」わけではありません。しかし、子どもやご家族が、今この瞬間も悩み、苦しんでいるとしたら、私たち支援者が「大丈夫ですよ」「焦らないで」と寄り添うだけでは、そのご家庭を本当の意味で支えきれないのではないか……? 支援者としてそんなジレンマに直面することがあるのです。

 「寄り添う」という基本姿勢はもちろん何より大切です。でも、明日からの面談で、保護者に、子どもに、具体的にどんな言葉をかけ、どう働きかければいいのか迷ってしまうこともあるでしょう。この本はそうした現場の先生方の「具体的な一手が知りたい」という声に応えることを目指しています。

 しかし、どうかご安心ください。この本は、「学校へ行くべきだ」という価値観を押し付けるものでは、決してありません。もしあなたが、迷い、悩みながらも、子どもの可能性を信じ、「学校」という場所がもつ力をもう一度だけ試してみたい、と願う保護者や先生であるならば、この本は、暗い夜道をそっと照らす、心強い伴走者になれるかもしれません。そうなれることを心から願っています。


   /古田 直之

著者紹介

古田 直之(ふるた なおゆき)著書を検索»

1981年福島県会津若松市生まれ。福島県公立中学校教諭・同県小学校教諭を経て現在は札幌市小学校教諭。教育研究サークル「FURU ☆ LABO(ふるらぼ)」代表。「学び続ける子どもの育成」をテーマに掲げ、子どもたちが安心して学び続けていける環境づくりを目指して日々実践を重ねている。令和5年度から児童生徒支援担当・生徒指導主任として、困り感を抱える子どもたちの援助を行っている。第35回東書教育賞優秀賞・第17回ちゅうでん教育大賞教育奨励賞など受賞歴多数。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 不登校の子への対応で悩んでいたが、具体的な対応方法が載っていたためとても参考になった。
      不登校の子だけでなく、その家庭を含めて支援をしていくことの大切さがわかった。
      2026/8/150代・小学校教員
    • 不登校支援を現場の担当者目線で分かりやすく解説していただき、不登校に関する見方や考え方が広がりました。最後は家庭の判断をいかに後押しするか…親身で丁寧な説明をこれからも心がけていきたいと思いました。
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