個性ある文章を書かせたい!「日記・詩・レポート作りワーク」高学年

個性ある文章を書かせたい!「日記・詩・レポート作りワーク」高学年

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個性豊かな文章を書く力をつけるステップワーク

ストレートな言葉ではなく、描写・表現の工夫などを通じて中心点を伝えようと作ったのが本ワークであると著者代表の山本直子氏は言う。一人一人の表現方法が異なり、工夫がはっきりと分かり、自然に個性も表われてくるように、本ワークの中で工夫をしている。


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ISBN:
978-4-18-396118-1
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 144頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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序文 人間力が育つ個性的な文章を書く指導法の開拓
――行動学習法を適用したステップワークで作文力が伸びる―― /瀬川 榮志
まえがき /山本 直子
T 個性ある文章を書かせることの重要性
一 論理にも感情にも偏らない文章を
二 日記・詩指導の行き詰まり
三 オリジナリティをどう捉えるか
四 オリジナリティを生み出す指導の工夫
五 日記・詩で学んだ内容を作文やレポートに生かす
六 個性的な文章を書かせる観点別ワークの使い方
U 個性ある文章を書かせたい! 「表現方法」学習ワーク
○書き出しを工夫しよう
○書きたいことの中心を題名に
○擬人法を使ってみよう
○倒置法って、何だろう?
○「です。思いました。」から「だ。思った。」へ
○会話文で文章を生き生きと
○ほんの少し「おまけ」をつけて
○文章を詩にしてみよう!
○反復を使って詩を書こう
◆解答例
V 個性ある文章を書かせたい! 「ものを見る観点」学習ワーク
○遠から近へと、連ごとに近づいてみよう
○なぞなぞから詩を書こう
○様子をくわしく書いて、表現力レベルアップ
○生き物になって、詩を書こう
○家の人になって、自分を書こう
○ぼく・私は新聞記者
○なりきり詩を書こう
○擬態語から詩を作ろう
○「ちがい」を探して一行詩を書こう
◆こんなアイディア「詩集を作ろう」
W 個性ある文章を書かせたい! 「表現したいという思いを高める」学習ワーク
○折句を楽しもう
○階段詩を作ってみよう
○いろはがるたを作ろう
○お経を作ろう
○イメージを広げて、物語を創ろう
○わが家のお宝鑑定団
○伝えよう感謝の気持ち
○書評を書こう
○俳句・短歌を作ろう
X 個性ある文章を書かせたい! 「正しい原稿用紙の使い方」学習ワーク
○かぎかっこの使い方を学ぼう@
○かぎかっこの使い方を学ぼうA
○題名、名前、書き出しを正しく書こう
○句読点を正しくつけよう
○段落を変えよう
◆解答例
Y 個性ある文章を書かせたい! 「まとまった作品を作る」学習ワーク
○まとまった文章を書こう
◆原稿用紙
○空想旅行をしよう
○一人の作家の三作品を論じてみよう
◆レポート用紙
Z 個性ある文章を書かせたい! 資料
◆日記帳にはっておこう
◆日記を見直そう@
◆日記を見直そうA
あとがき /山本 直子

序文

人間力が育つ個性的な文章を書く指導法の開拓
 ――行動学習法を適用したステップワークで作文力が伸びる――
      中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志


 教育再生会議の第一次報告「社会総がかりで教育再生を〜」の冒頭は、学力低下やいじめ・不登校・校内暴力・学級崩壊……等々の解決に向けての問題提起をしている。学校現場ではこれから、学力向上や人権・人命尊重の対策が重要課題となることが予想される。

 教師の授業力を高め、児童・生徒の学力向上の具体策を講じる前提条件として、真の学力とは何かについて明確にする必要がある。価値観が多様化し倫理観が低迷していると言われている時代に生活している子どもたちが身に付ける学力とは「人間としてどう生きるか」について深く思索し行動する「生きる力・人間力」である。

 言語行動観を重視する国語科教育の理念は「人間として充実した生き方をするために価値ある言語行動をする子どもを育てる」ことである。価値ある言語行動は、感動体験をバネにして実現するものである。つまり、知的感動(論理的思考)と情的感動(情緒・感性)によって言語行動が成立する。

 教育の究極のねらいは「価値ある表現・行動する人間の育成」である。いじめや虐待多発の社会環境、プラス・マイナス混在の情報時代に、的確に価値判断をして新世紀を心豊かに逞しく生き抜く人間育成の教育実現を目指したいものである。

 このような真の学力、「生きる力・人間力」と「確かな学力」である「価値ある言語行動力」が獲得できる国語科教育を、いつ、どこで、どのように実現すればよいか。――この課題はこれからの学校教育できわめて重要な実践課題であり、課題解決のためには次の事項を解明する必要がある。


 一 生きる力・人間力を支える話題・題材の選定

 価値ある人生を追求し幸せな生涯を送るには、自然を愛し、相手の立場や考えを大事にし、日本の文化や伝統を尊重するような話題・題材を収集し精選することである。また、価値ある課題を追究するためには、協力協調・奉仕貢献・切磋琢磨・忍耐努力する――などの人間関係力や自己実現・変革力も欠かせない生きる力=人間力が必要である。また、確かな思考力や豊かな想像力、逞しい意思力・創造力……等も生きる原動力となる。

 よい話題や題材というのは、以上のような人間形成につながる価値的内容を含んでいるものである。文学作品や詩・短歌・俳句から、人生いかに生きるかを間接体験することができる。また、高い山、青い空を眺め、風を肌で感じたり、精いっぱい生きる草木に感動したりして、自然と向き合う直接体験で生き方を学ぶことができる。


 二 「生きて働く国語力」を確実に定着・習得・獲得

 言語を通しての表現力・行動力は、単なるスキルや知識でなく、他教科の学習や日常生活に直接役立つ学力である。

 PISA型読解力も、多様な教材・素材を読んで、理解したことを音声言語や文字言語で表現し、実社会に波及・応用することである。「生きて働く国語力」は、心理的系統と論理的系統を統一した能力の螺旋的系統に基づいて体系化することによって実用的な言語力となる。語彙力、文字力、擬人法・倒置法駆使力、接続語・指示語駆使力、句読点・符号の正しい使い方、敬体・常体の使い分け……等の基礎的技能を定着し、そのスキルを日記や詩・論文を読んだり書いたりする基本的能力を習得する学習に応用する。さらにその力を統合発信力獲得に波及させる。

 このように基礎的技能定着(基礎学習)、基本的能力習得(基本学習)、統合発信力獲得(統合学習)……の螺旋的系統による「国語科教育の体系化」に基づいた指導を徹底しないと「生きて働く国語力」を育成することは困難である。日本の国語科教育は永い歴史と伝統がありながら、これを秩序化・体系化することができなかった。国語学力低下も「生きて働く国語力」獲得の「国語科教育の体系化」ができていないことが原因である。


 三 行動学習法を導入したステップアップワークの開発

 行動学習は言語行動観による学習者主体の学習法である。「為すことによって学ぶ」「言語行動を通して学ぶ」ことを原則としている。国語科の学習では教師の一方的な説明や一問一答に終始する授業があるという声もある。欧米型読解力においては、「内心の自由」と「言動に対する責任」を重視し「なぜ? なぜ?」の追究、自問自答・試行錯誤の連続によって批判的思考力、論理的思考力を練磨し鍛え上げていくことを強調している。

 行動学習法の原理を具体化したステップワークシートは、学習の目標を解決するために易しい学習から難しい学習へとステップを踏み、フィードバックとアタックを螺旋的・向上的に繰り返しながら目標に到達するのである。

 しかも、第三者の支援・指導を必要としない自学自習で自己教育力を培っていく学習法である。自己実現・変容・変革過程で確実に基礎・基本・統合発信力を定着・習得・獲得する過程は「生きる力・人間力」育成にも連動する。

 本書『個性ある文章を書かせたい!「日記・詩・レポート作りワーク」』は、以上の三事項を的確に盛り込んでいる。教育の原点である人間形成を根底に、生きて働く力を獲得する国語科教育の本質を把握し、国語学習指導の原理・原則を押さえた学習法を開拓している。

 学校教育は、一人ひとりの子どもが個性・特性を発見し、無限の可能性を信じ最大限に伸ばして、生涯にわたる幸福を保障することである。現代の若者たちの服装・行動を見ると、流行を追って一色一様で、自分のよさを引き出せず、個性美が発揮されていないようである。子どもたちの言語行動にもこのような傾向があるように感じることがある。個性喪失の日本社会の風潮は阻止しなければならない。日本の将来を危倶する個性尊重希薄の状態からの脱皮には言語力が必要である。子どもたちの言語生活の実情を分析すると、語彙が少なく、会話にも同じような単語のやりとりが多い。情緒・感性が希薄なことばを単発的に発すると、心の断絶現象が起きるのである。自分の言語を増やすことは個性発揮に連動する。

 心と心の絆がキレルといじめ・暴力・ひきこもり・不登校……等が多発する。

 教育再生会議で「社会総がかりの課題」としている学力低下やいじめ・不登校……等への対応は、日々子どもに接している教師の責務である。具体的にはどう取り組むかを熟考したいものである。


 本書の著者山本直子先生は、この我が国の緊急課題を、「個性ある文章を書く」指導を通して本書で解決している。個性ある子どもを育てる具体的指導に日記・詩・レポートを取り上げたことも価値ある実践である。

 日記指導は、個性的な子どもを育て、生きる力を培う言語行動力の育成に役立つ。中京女子大学で担当したゼミ生の一人が、小学校一年生から六年生まで日記を書き続け、担任の先生が毎日ていねいに賞賛と激励のコメントをした日記帳をリュックに入れて大学の研究室に運んできたことがある。「日記指導と国語教育」をテーマに卒業論文を作成したいとの相談であった。二〇〇ぺージに及ぶ卒論には、学習指導要領の話題・題材選定の一〇項目に基づいて作成した話題・題材の発達系統表、語彙の拡充、作文能力の発達系統を明らかにし、さらに、アンネの日記や文学者・哲学者の日記等も研究し「日記と人間の生き方」について総括した内容であった。この価値のある卒業論文は今も研究室に保管されている。

 詩の指導は、語彙を増やし語感を磨き感性あふれる文・文章を書く力を伸ばすのに最適である。詩集――「音読集」六巻と「声を出せ!!」六巻・VTR・CD各六セット――の活用による効果は、採用校が「学力向上」や「心の教育」に多大の実績を挙げ実証している。これらの教材は基礎・基本・発展(統合)の「生きて働く国語力」が定着・習得・獲得されるように構成されている。意図的・計画的な教育でないと、実質的効果は期待できないものである。

 レポート作成は他教科の学習に必要な表現力である。また、観察・見学・調査の報告にも役立つ文章力である。レポート作成力を習得する方法に、短作文による段階的指導法がある。短作文ステップ学習は、一人ひとりの子どもが自分の力で設定した課題に向かって意欲的に自己実現を図る学習法である。しかも、自己実現の過程で短作文力が習得され、技能・能力が習得される。この言語技術を駆使・運用することを通して自分の個性・特性を発揮できる学習法である。短作文ステップ学習法に行動学習の理論を適用したワークシートを導入すると、学習効果がいっそう高まる。

 日記・詩・レポートを書く技能・能力はいろいろな学習場面や日常生活に役立つ実用的な表現力であるし、人間が人間として、より豊かにより充実した生き方をすることに役立つものである。


 著者は、数多くの貴重な研究を積まれている。普遍性と客観性を統一し、理論と実践を秩序立てて構築し、今日的課題に挑戦している。しかも、実践授業で納得のいくまで研究を練り上げていく真理追究の真摯な研究態度・行動で終始一貫している。これまでに、情報化社会を生き抜くために必要な「対話力・人間関係力」に焦点を当てた『「対話的人間」を育てる』『読みの観点を学ぶ文学文の指導』で、新世紀を拓く国語科教育の中核にある人間形成の原点を提言している。『伝え合う力を育てる「対話」「対話集団」ワーク』『対話力アップワーク』『音読・朗読・暗唱ステップアップワーク』『語彙力アップワーク』『学び方技能が育つ「総合的学習」ワーク』等の編著により、研究力・指導力・組織力で行動学習の理論を実践的に展開した「ステップワーク」も次々に出版し、それらは重版され好評である。これからも二十一世紀の国語科教育を拓く価値ある研究を重ね、新しい実践理論構築を目指すものと確信し期待している。

著者紹介

瀬川 榮志(せがわ えいし)著書を検索»

現在,中京女子大学名誉教授,全国小学校国語教育研究会名誉顧問,全国日本語教育学会会長,日本子ども文化学会名誉会長,全創国研名誉会長,21世紀の国語教育を創る会代表。

1928年鹿児島県に生まれる。東洋大学国文学科卒業。鹿児島県・埼玉県・東京都の公立学校教諭,東京都教育委員会指導主事,東京都墨田区立立花小学校・中野区立上鷺宮小学校・同鷺宮小学校長を歴任。その間,文部省教育課程教科等特別委員・教育課程調査研究協力者ならびに副委員長。学習指導要領指導書作成委員,NHK学校放送教育番組企画委員。中京女子大学教授・同大学子ども文化研究所所長。現在も全国的規模で授業理論の確立に活躍中。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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