国語力の基礎・基本シリーズ
話す力・聞く力の基礎・基本

国語力の基礎・基本シリーズ話す力・聞く力の基礎・基本

ロングセラー

好評8刷

授業の基本から年間指導計画まで「話す力・聞く力」を育てる一冊

実生活や学習に生きて働く話す・聞く能力を育成するための理論書。自らの考えを積極的に話したり,質問したり,司会を立てて話し合ったり,相互に伝え合い考えを深めていく話す・聞く能力の育成のためにどのような教育課程の開発や指導をすればよいのかを詳述した。


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ISBN:
978-4-18-392512-1
ジャンル:
国語
刊行:
8刷
対象:
小・中
仕様:
B5判 120頁
状態:
在庫あり
出荷:
2019年7月23日
新学習指導要領解説書籍
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目次

もくじの詳細表示

前書き
T 話す力・聞く力を育てる授業の基本
1 話す力・聞く力を育てる授業の基本
(1) 独話と聞くと対話の活動の3つの表現様式から選ぶ/ (2) 話し手と聞き手を育てる/ (3) 話し言葉と書き言葉の違いを自覚させる/ (4) 言語と言語外のコミュニケーションを統合する(バーバルverbalとノンバーバルnonverbal)/ (5) 知識と技能と実技を定着させる/ (6) スピーチ原稿の作成と音声化の言語活動を考える/ (7) 能力育成のために単元構想を進める/ (8) 国語科年間指導計画で評価を確かなものにする/ (9) 3領域の言語活動の循環の中で定着を図る/ (10)日常から教科へ,そして教科から日常へ
U 話し言葉と書き言葉の連続性と非連続性
V 話す力・聞く力の具体化と年間指導計画
1 話す力・聞く力の体系化と系統化
2 話す力・聞く力の具体化と年間指導計画
(1) 学力観の改革と教育/ (2) 話す力・聞く力を育成する年間指導計画
W 話す力・聞く力の日常指導
1 話す・聞くためのボイストレーニング
2 プレゼンテーションのプロセスと評価
(1) プレゼンテーションのプロセスと評価/ (2) 発表の仕方の評価
X 表現様式を自覚させる日常指導
1 「かっこういいスピーチ」への挑戦
(1) 題材に注目した「かっこういいスピーチ」への挑戦/ (2) 表現様式に注目した「かっこういいスピーチ」への挑戦
2 「やさしい聞き方」に挑戦
3 音読指導の秘訣10箇条―こうすれば上手になれる
Y 話すための原稿用紙とメモ用紙
1 話すための原稿―その用紙と書き方
(1) 原稿用紙やメモ用紙のいろいろ/ (2) フル原稿用紙の書き方
Z 聞き取るためにメモを取る
1 聞き取るためにメモを取る能力の育成
(1) メモは,すべての言語活動にわたる国語力である/ (2) メモには,目的がある/ (3) メモには,2つの記述方法がある
2 聞き取るためのメモの形式例
(1) 時間の系列を優先しながら整理するメモ/ (2) 構造の系列を優先しながら,チャートを活用するメモ
3 聞き取るためのメモの手順
[ 質問力
1 質問力及び質疑応答力の質問力の重要性
2 質問力を構成する5つの視点
3 話し手が話す内容の明確化のための質問力
(1) 話す内容を明確化するための2つの質問力/ (2) 話す内容を明確化するための質問の具体化
4 自分の考えや意見の深化や高次化のための質問力
(1) 自分の考えや意見のための質問の様式/ (2) 自分の考えや意見のために質問するときの留意点
5 質問に対する解答及び回答する力
\ 対話力
―相互作用的に話し合う力―
1 諸外国における対話力
2 対話力に必要な基本能力
(1) 主に対話の目的から見た基本能力/ (2) 主に参加者の対話へのかかわり方から見た基本能力/ (3) 主に人数から見た基本能力/ (4) 主に相手との親近度から見た基本能力/ (5) 主に話合いの進行プロセスから見た基本能力
] 司会力
1 司会の役割と司会力育成の意義
(1) 「司会」の多様性/ (2) 司会の目的と指導の意義/ (3) 司会団を実践しての成果
2 よい司会者となるための手順とポイント
(1) 準備しよう/ (2) ステップを明確にして進行しよう/ (3) 話す力を高めよう
]T 聞いたことを活用する
1 聞いたことの活用の枠組み
2 聞いたことを活用する場や状況の設定
(1) インタビュー記録の活用/ (2) 対談・座談・公開討論の活用
3 活用の手順と方法 94
(1) 活用の【手順1】―相手やテーマの下調べ/ (2) 活用の【手順2】―プロットの構成/ (3) 活用の【手順3】―資料活用の編集/ (4) 活用の【手順4】―インタビューの再現/ (5) 活用の【手順5】―自分の表現への活用/ (6) 活用の【手順6】―引用の表現方法
]U 話す力・聞く力
―基本の基本―
1 話す力・聞く力の基本の要点
2 話す力・聞く力の重点と今後の方向
]V 新学習指導要領の「話すこと・聞くこと」
―体系と系統―
1 国語科の内容の改訂と「話すこと・聞くこと」
(1) 教科目標の継承/ (2) 学年目標の改訂/ (3) 内容の構成の改善/ (4) 学習過程の明確化/ (5) 言語活動の充実/ (6) 学習の系統性の重視/ (7) 伝統的な言語文化に関する指導の重視/ (8) 読書活動の充実/ (9) 文字指導の内容の改善
2 「話すこと・聞くこと」の目標の能力構造
3 「話すこと・聞くこと」の内容の体系と系統の特徴
4 「話すこと・聞くこと」の指導事項の体系と系統
(1) 話題設定や取材に関する指導事項/ (2) 話すことに関する指導事項/ (3) 聞くことに関する指導事項/ (4) 話し合うことに関する指導事項
5 「話すこと・聞くこと」の言語活動例の体系と系統

前書き

     1

 本書は,『読む力の基礎・基本』(明治図書,2003年),『書く力の基本を定着させる授業』(明治図書,2007年)とともに,国語の能力を育成する基礎・基本シリーズの一冊として刊行したものである。初出は,『実践国語研究』における連載「話す力・聞く力の基礎・基本」(2005年4月〜2008年3月)である。連載を改稿するのに加え,音読指導のポイント及び新学習指導要領の体系と系統の解説を追補している。

 「話す力・聞く力の基礎・基本」は,『実践国語研究』における連載の第6回目となる。それぞれの連載は,単行本として結晶させてきた。まとめて示すと,次のようになる。


 [第1連載]「再考 文学教材の指導」1992年〜1994年

  ◇『読者としての子どもを育てる文学の授業―文学の授業研究入門―』明治図書,1995年

 [第2連載]「文学の授業研究」1995年〜1996年

  ◇『文学の授業力をつける―7つの授業と自己学習を進める学習資料40―』明治図書,2002年

 [第3連載]「表現単元の授業の作り方」1996年〜1998年

  ◇『ことばが生まれる―伝え合う力を高める表現単元の授業の作り方』明治図書,2002年

 [第4連載]「読むことの革新と新しい授業」2000年〜2003年

  ◇『読む力の基礎・基本―17の視点による授業づくり』明治図書,2003年

 [第5連載]「説明力をつける」2003年〜2005年

  ◇『誰もがつけたい説明力』明治図書,2005年

 [第6連載]「話す力・聞く力の基礎・基本」2005年〜2008年

  ◇『話す力・聞く力の基礎・基本』明治図書,2008年


 本書の理論に基づいて実践した実践集として,以下の本も刊行している。これらは,私が主宰する国語教育カンファランスの研究会員とともに編集及び実践を行ったものである。

  ◇『話して伝わる,聞いて分かる 話す力・聞く力の基礎・基本を育てる―小学校―』

 上・下巻,明治図書,2008年

  ◇『学年と学期に応じた 話すこと・聞くことの基本の能力の育成―中学校―』

 明治図書,2008年


     2

 本書は,次のような内容で構成している。

  T 話す力・聞く力を育てる授業の基本

  U 話し言葉と書き言葉の連続性と非連続性

  V 話す力・聞く力の具体化と年間指導計画

  W 話す力・聞く力の日常指導

  X 表現様式を自覚させる日常指導

  Y 話すための原稿用紙とメモ用紙

  Z 聞き取るためにメモを取る

  [ 質問力

  \ 対話力―相互作用的に話し合う力

  ] 司会力

  XT 聞いたことを活用する

  XU 話す力・聞く力―基本の基本

  XV 新学習指導要領の「話すこと・聞くこと」―体系と系統―


 話す力・聞く力の基礎・基本となる能力の育成は,話すこと・聞くことの各種の言語表現様式を取り上げて話したり,聞いたり,話し合ったりする「話すこと・聞くことの言語表現様式に対応する能力」と,それらの言語表現様式に応じて実際の表現行為を行うことができる「話すこと・聞くことの言語行為のプロセスに対応する能力」とを統合的に指導することによって具現する。ただ,音声言語能力としての話す力・聞く力の育成には,音声言語独自の特質に基づく工夫や配慮が必要となる。そこで,上記のような多岐にわたる内容で構成しているのである。

 では,実際に,話す力・聞く力の特質をどのように反映させているのか,それはまた本書の特徴ともなるものであるので,ここでまとめて示しておこう。


 @ 授業場面において話す力・聞く力の育成を確実に進めるためには,学校の教育課程全体で取り組む必要がある。したがって,教育課程全体での取組の基本的な要素を解説し,それぞれの問題について見識を深め,指導を展開できるようにしている。

 A 話し言葉と書き言葉は,共通点と相違点をもっており,それぞれの特質を理解することによって的確な表現や理解が可能となる。そこで,話し言葉と書き言葉の特質をまとめて解説している。なお,この内容は新学習指導要領の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の「(1)イ 言葉の特徴やきまりに関する事項」に位置付けられた内容の知識・技能の参考になる。

 「(ア) 話し言葉と書き言葉との違いに気付くこと。」(高学年)

 「(ア) 話し言葉と書き言葉との違い,共通語と方言の果たす役割,敬語の働きなどについて理解すること。」(中学校第2学年)

 B 話す力・聞く力は,日常的に使用するがゆえに,その場その場での場当たり的な指導を行うことが多かった。そこで,体系と系統はどのように構想すればよいのか,能力構造を示すとともに,年間指導計画の作成について解説している。また,新学習指導要領での体系と系統についても解説している。特に,小学校から中学校までの一貫した解説を行っていることに特色がある。

 C 従来,最も基礎・基本となることが取り上げられていない。そこで,基礎・基本となる言語表現様式の自覚や,メモの使い方,質問力,対話力などの指導をまとめて解説している。

 D 話す力・聞く力は,一体的なものであり切り離して考えることはできない。話すことの指導と同時に聞くことの指導を行う必要があり,そのような一体的な指導の考え方を重視して構成している。

 E 新学習指導要領に位置付けられたように,グループや学級全体で話し合うときの役割を自覚して話し合う能力の育成が必要である。従来,十分な指導が行われなかった進行・司会の能力の育成について取り上げている。

 F 従来,話すために学習するとき,本やパンフレット,資料集などで調べたことや,人から聞いたことをそのまま視写するように引用しているという問題がある。つまり,引用や要約の基礎・基本が指導されていない。そこで,引用や要約の知識・技能について解説している。特に,聞いたことをどのように活用すればよいのか,新聞などの実際の調査研究を通して活用方法をまとめて解説している。

 G 新学習指導要領についての体系や系統についても解説し,本書で述べてきたこととの関連や,その妥当性や有効性などについて理解できるようにしている。


     3

 自主学習力の育成としても,話す力・聞く力の育成としても不可欠な能力である児童による学習の進行・司会を指導していたとき,こんな素晴らしい授業に出合ったことがある。

 第3学年の学級に,発音・発声が難しい児童が在籍していた。その児童は,第2学年まで,そのようなことに配慮されたがゆえに,あまり学級全体の前で話すことはなかった。第3学年になって担任した教師は,国語教育カンファランスの研究会員であった。全員が,進行・司会する能力を身に付けるように,各教科等においても指導している。その児童が,学級全体に対して司会している場面に,私は立ち会った。全員がその児童の次の発言に食い入るように見入った。一つ一つの発言を待ち,その指示に従って活動は進んでいった。その児童の誇らしげな顔と思いやる優しい学級の子どもたち。授業後,学級担任からその児童が保護者に対して,第3学年になってからは,学校が楽しく,毎日学校に行くのが待ち遠しいと告げていることを聞いた。

 話すことも聞くことも,目指すは人間が人間であることのつながりなのである。相互に伝え合い,理解し合うことを目指して話す力・聞く力の育成は行われる。人間は社会的な存在であり,相互の理解や賞賛,助言などを通して“自分の居場所”を実感し,生きることの喜びを感じ取ることができるのである。

 話すこと・聞くことという言語活動は,大人になっても,あるいはいくら書くことや読むことが熟達しても,人間にとっての根源であるということに変わりはなく,その重要性が減少することは決してない。たとえ,高度な話すこと・聞くことに関する知識・技能を身に付けているとしても,もし,人と人とがコミュニケーションすることや相互に語り合うことに意義を見失ったり,億劫に感じたとしたら,それは,一挙にその高度な能力を失ったことと等しい。

 大人になり,同僚に挨拶しなかったり,思いやりに欠ける発言をしたり,無視をしたりなどの言動を,何度も,何人も見たことか。やりきれない気持ちになるのは私だけではないだろう。今,人は,自分の繭(cocoonコクーン)に閉じこもり,コミュニケーションを取ることが難しくなっているような気がする。本来,コクーンは,人を癒し,育むものであったのだが,今は逃避の場所になっているかのようでもある。

 こんな時代だからこそ,話す力・聞く力の基礎・基本を子どもたちに身に付けさせてやりたいと強く願う。本書を手に取られた方が,自分の心を閉ざしいつも黙るしかない苦しい日々を過ごしている子どもたちの心を拓くことに立ち上がってほしい。想像して考えたことを語ったり,記録したことを誇らしげに発表,報告したりすることのできる子どもたちが溢れている教室。そんな教室を創り出す指導者となって下さること。そのような教室作りと,そのような指導者になって下さることに,本書が役に立つことを願ってやまない。


 最後になったが,本書刊行に当たっては,明治図書の石塚嘉典氏,松本幸子氏にお世話になった。3年間の連載とともに,本書の刊行に惜しみない努力をいただいたことに対し,深い謝意を表したい。


  2008年10月

   著者 京都女子大学教授(前文部科学省教科調査官) /井上 一郎

著者紹介

井上 一郎(いのうえ いちろう)著書を検索»

京都女子大学教授。広島文教女子大学講師,奈良教育大学助教授,神戸大学教授,文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官,国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官・学力調査官,を経て2008年10月から現職。国語教育学者。随筆家(ペンネーム・高橋信一)。現在は,自主学習力の育成を基軸に,教科を貫く国語力の体系化と系統化を目指す。2008(平20)年版学習指導要領作成に従事。全国的な研究会「国語教育カンファランス」及び自主公開セミナー「国語教育公開講座」を主宰。各種の作文・読書感想文コンクール中央審査委員を務める。文学・絵画の探訪や視察調査のために,イギリス,フランス,イタリア,ドイツ,スイス,オーストリア,オランダ,ベルギー,スペイン,ポルトガル,フィンランド,カナダ,アメリカ,オーストラリア,ニュージーランド,アジアなどを歴訪。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 井上先生の講演を聞いて購入。具体的な例も載っていて、いくつか授業でも使った。レーダーチャートなどもついていて、実際に作成して授業で使用した。
      2015/4/21かたつむり
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