- まえがき
- 本書の使い方
- Chapter1 低学年の「書くこと」指導 7つのポイント
- Point1 「ことば」を好きになるようにしよう
- Point2 五感を使って書く場を設定しよう
- Point3 課題条件を整理しよう
- Point4 例文を基に課題条件を確認しよう
- Point5 課題条件を自分で確認できるようにしよう
- Point6 自己評価と相互評価の場を設定しよう
- Point7 「書くこと」が好きになるようにしよう
- Chapter2 小学1年の「書くこと」ミニ活動アイデア
- レベル1 「ことば」に興味をもつ段階
- 1 「あ」のつく言葉を集めよう(2文字)
- 2 「○い」の言葉を集めよう
- 3 並べ替えて言葉をつくろう
- 4 かくれている言葉を見つけよう〜ことばのかくれんぼ
- 5 「い」でおわる言葉を集めよう
- 6 「かざることば」を集めよう@〜どんなカメレオン?
- 7 「かざることば」を集めようA〜いろんなぼうし
- 8 「うごき」の言葉を集めよう@〜「紙を〜。」
- 9 「うごき」の言葉を集めようA〜「顔を〜。」
- 10 ことわざを読もう
- レベル2 文型を基に文をつくる段階
- 11 絵を見て書こう@〜どんな女の子かな?
- 12 絵を見て書こうA〜どんな人が何をしているのかな?
- 13 気持ちを表す言葉を使って書こう
- 14 先生に伝えたい今日のニュースを書こう〜せんせい,あのね
- 15 キーワードを基に書こう
- 16 小さい「や」「ゆ」「よ」で文をつくろう
- 17 お手紙を完成させよう
- 18 連想ゲームをしよう
- 19 お話レポーターになろう
- 20 学校探検で見つけたものを知らせよう〜保健室で見つけたよ
- レベル3 課題条件を基に文をつくる段階
- 21 カブトムシ作文を書こう
- 22 ニュースを伝えよう@〜今日の先生の服装をお知らせします
- 23 ニュースを伝えようA〜先生のハンカチ
- 24 楽器の音あてクイズをしよう
- 25 登校するまでのお話をつくろう
- 26 食レポをしよう
- 27 おしゃべり作文を書こう
- 28 休み時間ニュースを書こう
- 29 友達クイズをつくろう
- 30 なかよし集会の招待状を書こう
- Chapter3 小学2年の「書くこと」ミニ活動アイデア
- レベル1 「ことば」に興味をもつ段階
- 31 「あ」のつく言葉を集めよう(4文字)
- 32 スリーヒントクイズをつくろう
- 33 カードであそぼう〜あわせめいし
- 34 ジャスチャーゲームをしよう
- 35 「かける」を使って文をつくろう
- 36 たしざんことばであそぼう〜「上がる」
- 37 まちがいさがしをしよう〜「は」「へ」「を」の使い方
- 38 伸ばす音に気をつけて書こう〜なんかへん?
- 39 なぞなぞあそびうたをつくろう
- 40 回文をつくろう
- レベル2 文型やメモ,絵を基に書く段階
- 41 「〜は,〜みたい。」の文をつくろう
- 42 「〜が,〜している。」の文をつくろう
- 43 文の並べ替えをしよう
- 44 音の言葉を使って表そう
- 45 ドラえもんのことを紹介しよう
- 46 4コマ漫画の説明をしよう
- 47 海外旅行に出かけよう
- 48 どんなバッグか説明しよう
- 49 3文日記を書こう
- 50 じゃがいものひとりごとを書こう
- レベル3 課題条件を基に文をつくる段階
- 51 校長先生になったら作文を書こう
- 52 野菜になって書こう〜なりきり作文
- 53 「つなぎのことば」を使って,絵に合う文をつくろう
- 54 見たことお話をつくろう
- 55 中の文を書こう〜ブリッジ作文
- 56 「コツコツ」から想像しよう
- 57 先生を見て書こう〜「先生と風船」
- 58 したいなあ作文を書こう
- 59 変身して書こう〜「おおきなかぶ」
- 60 まどさん風につくってみよう〜「さくらがさいた」
- あとがき
まえがき
現代社会において,情報に関する分野の発達はめざましく,情報伝達の多様化とともにパソコンやスマートフォンでのメール,SNS等による伝達が簡単に行え,便利になってきた。そのことにより,文や文章が記号化され,書くことで自分の思いや考えを伝えることが減少してきている。
平成31年度の全国学力・学習状況調査の「書くこと」について,「目的や意図に応じて,自分の考えの理由を明確にし,まとめて書くこと」が課題となっている。この「書くこと」の課題に関し,「平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査報告書」では,指導改善のポイントとして,次のようなことを挙げている。
調査したことを報告する文章では,調査の結果を基に自分の考えを書くことになる。その際,だれに何を報告するのかといった目的を明確にした上で,どのような理由や事例を挙げて自分の考えをまとめるのかを考えて書くように指導することが大切である。また,調査した目的と調査の結果から考えた自分の考えがずれないように,書き進める中で見直していくように指導していくことも必要である。(後略)(前掲書,p.9)
調査報告書から,「誰に」といった相手意識をもたせることや,「何を,どう書くのか」(記述),「書き進める中で見直していく」(推敲)ことに関して指導改善をする必要があることが分かる。
子どもたちに「作文は好きか嫌いか」と尋ねると,多くの子どもは,「嫌い」と答える。その理由として「何を」「どう書くのか」が分からないことを挙げる。このような課題を解決するために,課題条件を明確にした作文指導を行うこととした。
奈良国語教育実践研究会編『課題条件法による作文指導』(明治図書)を参考にし,次の項目を課題条件とした。
1 目的 2 立場 3 相手 4 内容(主題・取材) 5 構成
6 叙述・文体 7 表記 8 分量(字数・枚数) 9 その他
課題条件を明確にした作文指導を低学年の段階から行うことで,「何を」「どう書くのか」が明らかになるばかりか,交流の段階での視点も明確になり,友達同士作品を読み合うことで内容や表現のよさを見つけることが容易になるのではないかと考えた。
作文というと,原稿用紙に3枚程度,構成ができていて,まとまった作品になっているものを求める傾向にある。しかし,日常の授業で分量の多い作品を書かせるとなると,指導の内容もあれもこれもとなり,結局は,子どもの書く力に結び付かなくなる。課題条件を絞って,書く回数を多くして,段階的に書く力を育てていく短作文の積み重ねが大切になる。
特に,低学年での作文指導は,遊び感覚での練習が効果的である。そこで,本書では,ことばあそびやことばあつめなどを始めとした子どもたちが楽しく,気軽に書けるような題材を集めて紹介している。
1つの題材にかかる時間は,15分程度である。また,題材によっては1文のこともあり,分量が少ないので,読み返しも容易である。課題条件を絞っているので,評価の観点もはっきりし,個別の支援もしやすい。子どもにとっても「何を」「どう書くか」がはっきり分かり,「できた」という達成感ももちやすい。子ども自身に「できた」という判断ができれば,書く力として定着していく。
小さな積み上げを大切にすることで,子どもに力を付けていきたい。
2020年8月 /佐藤 一世
活動のねらい、流れ、評価、支援のポイント、ワークシート例がありわかりやすかった。単発の活動で終わるのではなく、単元のなかに組み込めるようになっているのがよいと思う。
小学校低学年向けの活動例だが、工夫すれば高学年でも取り組めそうである。また、この本の高学年版が発売されるのであれば、購入してみたい。