文科省全国学力調査 中学校国語B問題対応の教材開発
知識・技能を活用する「記述式」の課題づくり

文科省全国学力調査 中学校国語B問題対応の教材開発知識・技能を活用する「記述式」の課題づくり

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「活用する力」を身に付けるための教材開発例を40収録!

国語科の〔活用〕を「記述力」と「読解力」の教材開発によって具体化!「習得・活用・探究」の能力育成のプロセス、PISA型読解力をふまえた授業づくりのため、見開き2ページで40もの教材例を示した。学力調査が求める授業改善のヒントが満載の1冊!


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ISBN:
978-4-18-385420-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 104頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 「B問題」対応の教材開発の視点
1 「B問題」対応の教材とは
@ 調査問題の基本的な枠組み
A 「習得・活用・探究」について
B PISA調査の「読解力」について
C 言語活動の充実について
2 「B問題」対応の教材開発の視点
@ 日常生活・社会生活での多様な言語活動に応じた教材開発
A 記述式問題の工夫
B 「習得」「活用」を意識した教材開発
C 生徒の学習意欲を引き出し、課題に熱中させる教材開発
3 学年別「B問題」対応の教材開発のポイント
―新しい学習指導要領との関連を考える
@ 第一学年の教材開発のポイント
A 第二学年の教材開発のポイント
B 第三学年の教材開発のポイント
U 「B問題」対応の教材開発例
一 知識・技能を実生活の様々な場面で「活用」する教材開発
@ 段落に着目して文章の構成を読み取る
〜身近な生活の中から、筆者の主張を裏付ける具体例を探そう〜【第一学年】
A 古典を楽しむ
〜古典に描かれている世界と現代との共通点を考えよう〜【第一学年】
B 格言を引用しながら自分の考えを書く
〜立場と理由を明確にして書こう〜【第一学年】
C 話し合ったことをみんなに伝える形にして書く
〜適切な項目を立ててわかりやすく書こう〜【第二学年】
D 立場を明確にして自分の考えを書く
〜根拠をあげて自分の考えを述べよう〜【第二学年】
E 作曲者が詩をどのように読んで曲をつけたのかを考える
〜合唱曲を聴き、楽譜を読んで、詩の理解を深めよう〜【第二学年】
F 統計資料から読み取ったことを文章に表す
〜身近なメディアに隠されている制作者の意図を読み解こう〜【第二学年】
G 極限の状態におかれた人間の生き方について考える
〜安楽死、命について自分の考えを深めよう〜【第三学年】
H 想像力を豊かに働かせて俳句を読む
〜季節を表す言葉に着目して俳句を読み味わおう〜【第三学年】
I 古典と近代の文章を読んで自分の考えをもつ
〜主題の似ている二つの文章の違いを読み取ろう〜【第三学年】
二 クリティカル・リーディングの教材開発
@ 根拠を検討する【第一学年】
A 説明文のまとめについて検討する【第一学年】
B 「走れメロス」で読み手の視点について考える【第二学年】
C 編集された表現を探す【第二学年】
D 反論を書くために根拠を検討する【第三学年】
E 教科書の編集意図を考える【第三学年】
三 論理的な思考力・表現力の教材開発
@ ことばだけでわかるように説明する【第一学年】
A 避難訓練の連絡事項を伝える【第一学年】
B 討論ゲームの立論を考える【第二学年】
C つながりを考えよう【第二学年】
D 新聞の投書に対する意見を書く【第三学年】
E わかりやすいお知らせを書く【第三学年】
四 非連続型テキストの教材開発
@ グラフとことわざを使ってスピーチする【第一学年】
A 印象的な書き出しを工夫して日常の体験を書く【第一学年】
B 文章と図表を関係づけて読む【第二学年】
C 相手を特定して、案内を作り直す【第二学年】
D 表とグラフから情報を読み取り考えを述べる【第三学年】
E 図表の効果について考える【第三学年】
五 様々なメディアを利用する教材開発
@ 新聞の要約・コラムを使おう
〜新聞を有効活用しよう1〜【第一学年】
A 新聞(朝刊)と新聞社のホームページを比較しよう新聞を有効活用しよう2
〜【第一学年】
B 委員会報告を作ろう
〜決められた大きさに効果的に書く〜【第二学年】
C 新聞二紙を比較して読む
〜新聞を有効活用しよう3〜【第二学年】
D 効果的なPOP広告
〜「この本を読んでみたい」と思わせる技術〜読書生活をいかす〜【第三学年】
E 古典に親しむ
〜「竹取物語」を資料集とアニメで比較してみる〜違いの理由を考える〜【第三学年】
六 討論・協同で思考力を鍛える教材開発
@ 作品を共通テーマで読み比べ、集団思考で考えを深める
〜自分の「生きる価値」について「九マス・メモ」で考えを深める〜【第一学年】
A 地域をアピールする写真を選ぶ
〜「まち」をアピールするキャッチコピーをブレイン・ストーミングで考える〜【第一学年】
B 作品を共通テーマで読み比べ、集団思考で考えを深める
〜自分の「オリジナリティー」について「ブレイン・ライティング」で考えを深める〜【第二学年】
C 表現の優劣を読み比べ、集団思考で批評・反論する
〜反論の材料を「グループ・ディベート」で共同思考し考えを深める〜【第二学年】
D 作品を共通テーマで読み比べ、集団思考で考えを深める
〜「家族」について「対話」で考えを深める〜【第三学年】
E 求人広告を読み比べ、自分の働く目的を考える
〜「座標軸法を使った集団思考」で考えを広げ、深める〜【第三学年】
V 「B問題」対応の教材
―指導上の留意点
1 開発した教材を活かした授業づくりの基本
2 学力調査結果をもとにした授業改善をどう図るか
3 「B問題」に学ぶ評価問題の作成について

はじめに

 全国学力・学習状況調査も平成二十年度で二回目となるが、平成十九年度の一回目と平成二十年度の二回目の間に、教育に関して大きな動きがいくつかあった。中でも教育基本法が改正されたのに伴い学校教育法も改正され、平成十九年六月に公布されたこと、中央教育審議会の答申が平成二十年一月に出され、新しい中学校の学習指導要領が三月に告示されたことは、これからの教育の方針の骨格となる重要な出来事である。

 全国学力・学習状況調査は、そうした流れと重なるものであり、主として「知識」に関する「A問題」と、主として「活用」に関する「B問題」という二つの構成で作問されている意味がより明確なものになってきたと言える。特に「B問題」については、基礎的・基本的な知識や技能を活用する力がどれだけ身に付いているかをみるものであり、[確かな学力]の育成を図るためにも、「B問題」で問われている学力について各学校で具体的な対策を考えなくてはならない状況になってきている。


 第二回目の調査では、第一回目の行われた平成十九年度に比べると、各学校では特に大きなとまどいはなかったようである。

 その調査結果が八月に公開された。国語では「A問題」も「B問題」も、昨年度よりも正答率は低くなっているが、問題の内容や難易度等のこともあるので、昨年度に比較して学力に問題点があるとは短絡的に考えられない。そうした中で、今回話題になったのは、いくつかの都道府県で各学校のデータに関しての公開のことである。都道府県別のデータでは、昨年度高い正答率だったところは今年度も高く、低かったところは今年度も低いという状況であった。昨年度は結果が出るのが遅かったこともあり、十分に指導に生かせなかったということもあるが、こうした結果を見てみると、児童生徒の学力を身に付けさせていくには、それなりの対策と時間が必要ということを改めて考えさせられる。


 学力を身に付けるための対策を考えるにあたって調査結果は参考になる。例えば国語に関しては、質問紙調査の次のところに着目したい。


 ○以下と回答している生徒の方が国語の記述式問題の正答率が高い傾向がみられる。

  ・普段の授業で、自分の考えを発表する機会がある

  ・読書が好き

  ・国語の授業で、考えを話したり書いたりする

  ・国語の授業で、発表のとき、話の組み立てを工夫する

  ・国語の授業で、考えの理由が分かるように気をつけて書く

  ・国語の授業で、段落や話のまとまりごとに内容を理解しながら読む


 「B問題」では大問ごとに記述式の問題が出題されている。記述式の問題は、他のものに比べると正答率もあまり高くない。さらに無解答率は低いもので一三・一%、高いものでは二七・一%となっている。ある程度まとまった自分の考えを書く記述式の問題を苦手としている生徒が多い。こうした書く力をつけることへの対応として、質問紙調査にあるように、自分の考えを話したり書いたりすること、その際に考えの理由がわかるように書くこと等を取り入れた授業を工夫していくことが重要になってくる。

 ところで、こうした授業の工夫については、これまでにも行われてきたが、まだ十分な成果が上がっていないのが現状であろう。そうした原因の一つとして、教師がどのように授業を工夫したらいいかがわからないということがあげられる。そこで、本書では、「B問題」で問われている「活用する力」を身に付けるための教材開発例を示すことに焦点を置いた。ここでの教材開発例をそのまま使うこともできるし、さらにこれらが授業改善のヒントになればと考えている。


 本書の構成としては次のようになっている。


 ・第T章……調査問題の基本的な枠組みについて確認してある。また「習得・活用・探究」の能力育成のプロセス、PISA型「読解力」等から、教材開発をするにあたっての視点を示した。

 ・第U章……「B問題」で問われている活用する力を育成するための教材開発例を、第T章で示した視点に従い、なるべく多くのものをあげるようにした。そのため見開きで一つの教材開発例をまとめてある。

 ・第V章……第U章の教材開発例をもとに指導する際の留意点について述べてある。さらに評価問題の作成法についてもふれている。


 なお、「B問題」を通して考えなくてはならない課題や授業改善の視点、新しい評価問題作成の方法等については、前回のものを参考にして欲しい。なお、この本をまとめるにあたり明治図書の佐保文章さんのご厚意に心より感謝申し上げたい。


  平成二十一年三月   /岩間 正則

著者紹介

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鶴見大学講師

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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