算数科授業サポートBOOKS
子どもの考えをつなぐ 算数の問い返し発問

算数科授業サポートBOOKS子どもの考えをつなぐ 算数の問い返し発問

「子どもの言葉を受け、返す」発問で、全員が思考し続ける授業へ

「同じでーす」と言うその子どもは、本当に思考できていますか? 学級全員が思考をし続ける姿を引き出し、子どもの数学的な見方・考え方を広げる問い返し発問。本書はそれを日常の授業で用いるうえで大切な考え方、ポイントについて、授業実践をもとにまとめました。


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PDF
ISBN:
978-4-18-379826-8
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 144頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年4月22日

もくじ

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はじめに
序章 問い返し発問を用いる教師の根底にあるもの
1 「問い返し発問」のある授業
2 授業づくりで,問い返し発問を用いる必要はあるの?
3 授業づくりにおける問い返し発問の位置づけ
4 教育実習生が問い返し発問をできるようになるまでの教師修行
5 どんな子どもの言葉を取り上げ,問い返し発問をするの?
1章 問う子どもの姿を引き出す問い返し発問
1 「〜」と言って,困っていた人の気持ち,わかる?
―既習とのズレに焦点を当てる
2 「わからない」って,どうして?
―美しさを求める子どもの思いに焦点を当てる
3 「このままだとわからない」という人がいますが,どうしたらいいかな?
―隠すことから,解決の見通しに焦点を当てる
4 困っている人がいるんだけど,ヒントを出せる?
―解決に向けての着眼点に焦点を当てる
5 わかったという人は,どうやって考えたのだろう?
―ぱっと見てわかる解決方法に焦点を当てる
6 〜の式をAの文章題と考えた人の気持ち,わかる?
―似て非なる文章題の意味の違いに焦点を当てる
コラム 子どもの心を揺らし,自ら問う姿を引き出す
2章 子ども同士のつながりをつくり,共に学ぶ姿を引き出す問い返し発問
7 Aさんが面白いことを考えていました。「…」は,どういうことでしょう?
―机間指導を生かし,友達の思考を探る場を設ける
8 Aさんは,どうして〜をしたのか,わかる?
―発想の源について探ることを促す
9 「えっ?!」と言った人の気持ち,わかる?
―友達の違和感について探る場を設ける
10 どうして,〜が…になるの?
―きまりに着目し,説明する場を設ける
11 どうして,〜は絶対に「…」と言えるの?
―まず,容易に説明できる考えに焦点を当てる
コラム 友達とのつながりを強められる子どもを育む
3章 子どもの語り始めの言葉から,共に思考を深める姿を引き出す問い返し発問
13 「だって,…」と言ったAさんの気持ち,わかる?
―理由や根拠,発想の源について,解釈を促す
14 Aさんが「でも,…」と言っていたんだけど,気持ち,わかる?
―矛盾や否定を含む理由について解釈を促す
15 「もし,…だったら」と言ったAさんの気持ち,わかる?
―発展,整理,一般化を図る考えの解釈を促す
16 Aさんが言った「だったら,…」って,どういうことか,わかる?
―発展や活動の先にかかわる考えの解釈を促す
17 「たとえば,…」と言ったAさんの気持ち,わかる?
―自分のわかり方に置き換えた考えの解釈を促す
コラム 子どもの思考過程が見える教師になる
4章 数学的な見方・考え方を広げる子どもの姿を引き出す問い返し発問
18 どうして,いつも〜になるのだろう?
―立ち止まる状況をつくり,一般化を図る
19 この答えを出した人の気持ち,わかる?
―答えの理由や根拠 ,思考過程を探る場を設ける
20 この式は,どうやって考えたのだろう?
―「式」を読む場を設ける
21 この線分図は,どうやって考えたのだろう?
―線分図や数直線などについて読む場を設ける
22 Aさんは,どうして数ブロックを…のように動かしたのだろう?
―操作表現を探る場を設ける
23 (図形を示して)どうやって考えたのか,わかるかな?
―補助線が引かれた図形について読む場を設ける
コラム 問い返し発問は,「引き出す」を軸にした発問
5章 学級全員が授業に参加するための問いかけ・指示 〜子どもの反応を受けて〜
24 〜が…と思う人はグー,〜が…と思う人はチョキを出します。せーの
―自分の立場や考えを決める場を設ける
25 Aさんが言ったことをわからないよ,という人?わかったよ,という人?
―友達の考えを理解できたか,判断を促す
26 Aさんが言ったことはどういうことかな?隣の友達にお話ししましょう
―友達から受け取った考えを外化する場を設ける
27 Aさんの気持ち,わかるかな? ノートに書きましょう
―小刻みに書く場を設ける
28 今,Aさんが言ったことをもう一度,言える人?
―友達の発言を再現する場を設ける
コラム 学級全員を伸ばす
参考文献
おわりに

はじめに

 「問い返し発問」は,子どもの反応を受け,即時的にする発問です。

 問い返し発問の目的,役割,効果について考える場合,逆説的に問い返し発問のない授業を想像すると,明らかにすることができます。

 教師が一方的に説明する授業…。学級の一部の子どもだけが活躍し,子どもの多くがずっと目を曇らせて黙っている授業…。「同じでーす」「いいでーす」という声は出ているが,子どもが思考しているか,あやしい授業…。

 問い返し発問には,「学級全員が思考をし続ける姿を引き出す」,そして,「子どもの数学的な見方・考え方を広げる」という教師の願いがあると考えています。問い返し発問にかかわる実践研究を通して,問い返し発問は次のように分類できることが見えてきました。


◆「問い返し発問」の三種の神器

 →「どうして?」(理由や根拠,発想の源を明らかにする発問)

 →「どうやって?」(方法や手順を明らかにする発問)

 →「どういうこと?」(意味や事柄を明らかにする発問)

◆「問い返し発問」の三種の神器+α

 →「気持ち,わかる?」(友達の思考に寄り添い,理由や根拠,発想の源,方法や手順,意味や事柄などを明らかにする魔法の発問)

 →「ヒントを出せる?」(子どもの思いや考えをつなげる発問)


 本書は,日常の授業で,問い返し発問を用いるうえで大切な考え方,ポイントについて,授業実践をもとにまとめるようにしています。

 日々の授業づくりで,役に立つところがあれば,嬉しく思います。


  2022年3月   /中村 光晴

著者紹介

中村 光晴(なかむら みつはる)著書を検索»

北海道小樽市生まれ。北海道教育大学岩見沢校を卒業。現在,札幌市立資生館小学校に勤務。日本数学教育学会実践研究推進部小学校部会幹事。全国算数授業研究会幹事。北海道算数数学教育会小学校部会では本部研究部長を経て,現在,本部研究担当次長を務める。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 算数授業の問い返し発問に特化した内容となっている一冊。問い返し発問は、算数授業だけでなく他の教科・領域でも有効なものである。
      しかし、なかなか問い返し発問を一まとまりにされたものはない。だから、とても有益な一冊である。
      2022/10/2U-Tchallenge
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