- 第1章 思考ツールは自立した学習者の最強の武器
- 1 停滞する「自立した学び」
- 2 自立した学びを支える思考ツール
- 3 思考ツールにはどんなものがあるか
- @具体と抽象
- A柱に沿った思考
- B考え方そのもの
- 4 思考ツールの使い方
- 第2章 自立した学びを支える50の思考ツールとその活用例
- 1 ウェビングマップ
- 対象に関する事柄を広げる
- 2 クラゲチャート
- テーマに沿って対象を詳しくする
- 3 ピラミッドチャート
- 階層を意識して対象を捉える
- 4 サークルチャート
- 対象を広く、深く捉える
- 5 フィッシュボーン
- 観点に沿って対象を詳しく見る
- 6 Xチャート
- 4つの観点から対象を捉える
- 7 Yチャート
- 3つの観点から対象を捉える
- 8 レーダーチャート
- 対象の構成要素の達成状況を視覚化する
- 9 マトリクス
- 複数の対象の特徴を整理する
- 10 ベン図
- 2つの対象の共通・相違を分析する
- 11 たこやきボックス
- 複数の対象を1つに集める
- 12 付箋
- ダイナミックに思考を動かす
- 13 ピザ型チャート
- 対象を複数の要素に分ける
- 14 てんびんチャート
- どちらの割合が大きいのかを検討する
- 15 棒グラフ
- 様子や気持ちの程度を視覚化する
- 16 座標軸
- 観点に沿って対象の特徴を分析する
- 17 質問カード
- 尋ねたいことをはっきりさせる
- 18 吹き出し
- 気持ちを会話文の形で表現する
- 19 イラストメモ
- 絵と文字で対象を表す
- 20 くま手チャート
- 対象を多面的に捉える
- 21 文章構成図
- 文章の組み立てを図で表す
- 22 ロジックチャート
- 筋道立てて情報を整理する
- 23 聞き取りツリー
- 答えを予想して質問を組み立てる
- 24 意見文マップ
- 見方に沿って筋道立てて表現する
- 25 ジグザグチャート
- お互いの影響を視覚化する
- 26 構造曲線
- 出来事全体の移り変わりを捉える
- 27 心情曲線
- 登場人物の気持ちの移り変わりを捉える
- 28 矢印
- 対象の向きや動きを表す
- 29 ダイヤモンドランキング
- 対象の順番を決める
- 30 問題解決チャート
- 課題設定から振り返りまでの道筋をつくる
- 31 おだんごチャート
- 対象のつながりやまとまりを捉える
- 32 すごろくチャート
- 対象や環境の変化を整理する
- 33 でこぼこチャート
- 出来事の展開をつなげる
- 34 フローチャート
- はじめからおわりまでの流れをつくる
- 35 H型チャート
- 2つの観点から内容を整理する
- 36 ぶつかりチャート
- 相反する2つの事柄を整理する
- 37 人物関係図
- どう影響し合っているかを整理する
- 38 地図
- 幅広く、詳しく対象を捉える
- 39 線分図
- 複数の対象の関係を表す
- 40 関係図
- 2つの対象の関係を表す
- 41 因果チャート
- 人やものの変化の原因を捉える
- 42 比較チャート
- 2つの対象を比べる
- 43 縦棒比較チャート
- 複数の対象を比べる
- 44 分類チャート
- 集めたものを仲間分けする
- 45 具体化チャート
- 対象の特徴を詳しく捉える
- 46 抽象化チャート
- 具体的な内容をひと言でまとめる
- 47 帰納チャート
- 複数の対象の共通点をまとめる
- 48 定義チャート
- きまりに沿って思考を整理する
- 49 類推チャート
- 似たことを見つける
- 50 なりきりチャート
- 登場人物になりきって作品の世界に入り込む
はじめに
思考ツールを使って学習を進めていくことには、2つのよさがあります。
1つは、学習課題を解決するための思考方略を的確に働かせることができるということです。例えば、新年度が始まったばかりのころに、学級活動で「1学期の目標を作文に書こう」という授業を行ったとします。このときに子どもたちに原稿用紙を1枚渡し、「今自分で考えていることを自由に書きましょう」と指示します。すると、速く、たくさん書ける子がいる一方で、さっぱり鉛筆が進まない子も多くいます。そして、書き上がった内容を読むと、自分の考えを筋道立てて書いている子がいる一方、そうなっていない子も多くいる、という事態に陥りがちです。
一方、原稿用紙に作文を書いていく前に、「ロジックチャート」(情報を筋道立てて整理するための思考ツールで、本書で取り上げています)を使い、「目標」「理由」「達成のための方法」を考えさせるという方法もあります。子どもはまず目標を考え、そして、どうしてその目標を立てようと思ったのかという理由を考えます。あるいは、現在の自分の課題は何か考えてみて、それを理由として目標を考えます。そして、達成のための具体的な方法を考えていきます。考えたことは、ロジックチャートの枠内にメモ書きします。そのうえで、文章化していきます。こうすると、何をどんなふうに書いてよいのかわからず、鉛筆を握ったまま考えあぐねていた子も、自分の考えを言葉にしていくことができます。また、筋道が示されているので、筋の通った文章をつくりやすく、お互いの文章を読み合う際にも、理解しやすくなります。
思考ツールを使うよさの2つ目は、汎用的な思考方略を身につけていくことができるということです。例えば、6年生の音楽で「われは海の子」の歌い方を工夫するといった課題に対しても、ロジックチャートを使い、「どのように歌いたいか」「その理由」「どうやって工夫するか」といった内容について考え、歌唱に生かすことができます。
全米科学・工学・医学アカデミー(2024)は、『人はいかに学ぶのか 授業を変える学習科学の新たな挑戦』(北大路書房)の中で、「重要な概念や関係性を描くために図式的な方略を使用」することの効果を指摘していますが、思考方略は文字言語としてよりも図として認識している方が使いやすく、覚えておきやすいものです。
本書では、各教科等での学習場面をあげながら50の思考ツールを示しました。本書をお読みになってくださる皆様の創意工夫によって、思考ツールが様々な場面で活用され、子どもたちの資質・能力の向上につながることを期待いたします。
2026年3月 /小林 康宏
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明治図書

















