小学校若手教師の授業サポート2
国語科基本教材のモデル指導案

小学校若手教師の授業サポート2国語科基本教材のモデル指導案

投票受付中

授業づくりや指導案作成に役立つ1冊!モデル指導案も豊富に収録

指導案を変えれば授業が変わる! 授業の上達をめざす若い教師が、どのような視点と方法・手順で指導案づくりに取り組み、授業改善をどう進めるとよいかが具体的・段階的に示されている。単なる指導案集ではない、授業づくりのイロハがわかる授業力アップの手引。


復刊時予価: 2,244円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: 未販売

電子化リクエスト受付中

電子書籍化リクエスト

ボタンを押すと電子化リクエストが送信できます。リクエストは弊社での電子化検討及び著者交渉の際に活用させていただきます。

ISBN:
978-4-18-377211-4
ジャンル:
国語
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 116頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

T 授業が上手くなる国語科「指導案」の基礎基本
1 教師はなぜ「指導案」を書くのか
2 指導案が上達するためには段階がある
(1) 指導案の型を学び身につける段階
(2) 型を守りつつ工夫した指導案を書く段階
(3) 授業の主張に合わせて指導案の型を破る段階
(4) 型を超えて自由に指導案を書ける段階
3 では、指導案の型とは何か
4 型を変える指導案
5 では、今「指導案」を書くために何を大切にすべきか
(1) 「指導案」には教師のものの見方や考え方が流れている
(2) 様々な子に対応する教師の「引き出し」
(3) 指導案を書くための教師の基礎知識
6 若手教師、これから始めよう
(1) 教材文の表現分析
(2) 子供の「つぶやき」に耳を傾けよう
(3) 板書を書いてみよう 物語文
(4) 文章構造図を書いてみよう 説明文
(5) 指導案と評価
7 指導案と教師
付記
U 国語科基本教材のモデル指導案
一 一年文学文 「大きなかぶ」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現の分析/ (2) その他の特質/ (3) 表現分析からその特質を考える
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成
3 第三時の授業展開とポイント解説
繰り返し表現やリズム感を重視しよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開
4 第五時の授業展開とポイント解説
行動・心情の微妙な変化に着目させよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開
二 一年説明文 「どうぶつの赤ちゃん」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質/ (2) 文章構成上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成
3 第三時の授業展開とポイント解説
様子を具体的に実感させよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第六時の授業展開とポイント解説
比較による違いに着目させよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
三 二年文学文 「スイミー」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成
3 第六時の授業展開とポイント解説
比喩表現からイメージをふくらませよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開
4 第七時の授業展開とポイント解説
倒置表現から心情を深めさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
四 二年説明文 「ことばっておもしろいな」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成
3 第二時の授業展開とポイント解説
擬音語の楽しさを体感させよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第四時の授業展開とポイント解説
絵と文を結びつけて楽しませよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
五 三年文学文 「モチモチの木」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質/ (2) 文章構成上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 本単元における学習活動/ (3) 単元の全体構成(全十一時間)
3 第五時の授業展開とポイント解説
登場人物の対比を通して読み深めさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第七時の授業展開とポイント解説
時系列で心情の変化をとらえさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
六 三年説明文 「ありの行列」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質/ (2) 文章構成上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成(全八時間)
3 第三時の授業展開とポイント解説
体験も加えて読み深めさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第五時の授業展開とポイント解説
絵図化を通して読み深めさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
七 四年文学文 「ごんぎつね」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成
3 第五時の授業展開とポイント解説
色彩語の心情の象徴性に気付かせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第八時の授業展開とポイント解説
時間経過による心情変化を読み深めさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
八 四年説明文 「『伝えあう』ということ
〜『手と心で読む』」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質/ (2) 文章構成上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成
3 第二時の授業展開とポイント解説
筆者の心情の変化に着目させよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第三時の授業展開とポイント解説
筆者の説明の展開に着目させよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
九 五年文学文 「大造じいさんとガン」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成〜学習活動の選択〜
3 第四時の授業展開とポイント解説
心情変化の根拠を文章から探らせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第五時の授業展開とポイント解説
心情理解の要件を確かめさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
十 五年説明文 「千年の釘にいどむ」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質/ (2) 文章構成上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成/ (3) 単元構成とその展開例(全七時間)
3 第四時の授業展開とポイント解説
文章の比較をして読みを一層深めさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第六時の授業展開とポイント解説
行動の表現と筆者の思いを関連付けさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
十一 六年文学文 「海の命」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成
3 第六時の授業展開とポイント解説
ポイントとなるキーワードに着目して心情を理解させよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第八時の授業展開とポイント解説
キーワードを関連付けさせて主題を理解させよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
十二 六年紀行文 「読書の世界を深めよう」の指導案とポイント解説
1 教材の特質
(1) 表現分析上の特質/ (2) 文章構成上の特質
2 単元構成
(1) 単元の目標/ (2) 単元の全体構成
3 第三時の授業展開とポイント解説
筆者の立つ位置を想定し臨場感を大切にさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
4 第五時の授業展開とポイント解説
情景と筆者の行動を関連させ実感を深めさせよう
(1) 文章構造図と授業構成/ (2) 本時の授業展開/ (3) 板書計画と評価
あとがき ―子供に力を身に付けさせるよい授業をするために

T 授業が上手くなる国語科「指導案」の基礎基本(冒頭)


  1 教師はなぜ「指導案」を書くのか


 教師が指導案を書くことは、私たちの世界では「あたりまえ」としている。ここであらためて考えてみよう。教師はなぜ、指導案を書くのだろうか。私は学習指導案を書く目的は概ね次の二つに集約されると考える。

@ 自分の日々の授業を計画し実践し改善するために

(図省略)


 【A+α=B】

 指導案を書くことによってこのαが積み上がる。つまり、自分の指導法を日常的によりよくしようとする行為である。

A 指導法の提言をする研究授業のために

(図省略)


 一方は日常に書く。一方は非日常に書くというように、一見二つの目的は大きくかけ離れているように見えよう。しかし、教師として成長を続けていくためには、車の両輪のように、一方では日々の授業を自分の力で設計し実践し改善しようとするために指導案を書き、もう一方では研究授業の提言者として研究を共有するために書く場合が必要になる。両方の立場を通して実践することが重要だ。


  2 指導案が上達するためには段階がある

 大学を卒業して教師になったばかりの頃と様々な経験を踏んだ後の指導案とでは大きな違いがある。指導案を書く要素には、学習者理解・教材研究の力、単元構成の理解、指導技術の習得等があり、絡み合って関係しているからだ。私たちが書く指導案は指導案そのものが上手に書けたかどうかを問題にする前に、@授業経験を通して指導案の上達を目指すこと。同時に、A指導案を書くことを通して授業の腕を磨いていくこと。この両者を行き来するスパイラルな上達の様相を大切にしたい。では、どのような段階があるのだろうか。

 (1) 指導案の型を学び身につける段階

 教師になって間もない新卒の段階では、指導案の型をひたすら学ぶ時期である。書ける部分と書けない部分がきっとあるに違いない。でも、焦ることはない。この段階では、書けない所は他の資料を調べ、その部分だけ書き写すことも可能と考えたい。とにかく型を身につけることが次の段階に入る早道と考えるからだ。型を身につけると、何とか自分で作れそうだという安心感が広がる。そして、その指導案をたたき台にして先輩から指導を受けることができるし、何度か繰り返しているうちに、授業に対する自分の主張を入れることができてくるものだ。そういう意味では、この段階で指導案づくりの楽しさに気づくと授業に変化が生まれてくる。そして何とか自分なりの指導案を書きたいものだと熱中することも苦にならなくなる時期でもある。

 (2) 型を守りつつ工夫した指導案を書く段階

 必死で書いていた指導案も教師生活五年目を越す頃から子供の学びの様子が予測でき、自分なりの授業での工夫が入れられるようになる。同時に勤務校も変わり、新しい環境での研究が始まる時期でもある。このような外的状況も関係して、ひたすら学んできた指導案の型を守りつつ、項目ごとに重点化や詳細に書くなどの変化を加えられるようになってくる。自分なりの新しい試みが生まれると指導案を書く目的が自分の側に引き寄せられた気がするものだ。書きたい内容は書けるようになる、主張するところは一層主張したいというように、自分らしさを出すことに意欲的になってくる。

 (3) 授業の主張に合わせて指導案の型を破る段階

 中堅教師になると、今まで守ってきた指導案の型を、今度は授業の目的や研究授業での主張に合わせて書かなければならない時期を迎える。つまり、自分が獲得した指導案の型を守っていくと、安心して書けるけれど新しい主張を入れることができなくなってくるからだ。したがって、この時期は今までの型を破り、新しい視点で指導案の項目や形式を見直し、どのような授業を目指すのかを念頭に置いて、自分なりにより目的的な指導案を作り上げる段階に入る。

 (4) 型を超えて自由に指導案を書ける段階

 様々な授業体験を通して後輩の指導をする段階に入る。指導案の型も知っていれば、より目的的な型を超えた指導案も書くことができる段階でもある。授業者の指導案を見てすぐさまその授業の意図や流れを判断し、どこをどうすればよりよい授業になるのかアドバイスできるようになる。したがって、この段階の教師が、後輩は指導案を書くどの段階にいるのかを十分理解した上で指導することが最も重要になってくる。例えば、指導案の型を学ぶ段階の新卒の教師に型を破るための指導をしても、何ら指導の効果はなく混乱を起こさせるだけの場合もあるので留意したい。


  3 では、指導案の型とは何か

 私は指導案の基本形を次のように考える。


 @ 単元名

 A 題材名

 B 単元構成(単元設定の理由)

 C 教材について

 D 児童の実態

 E 目標

 F 全体指導計画

 G 本時の展開(導入・展開・整理)

 H 本時の評価


  4 型を変える指導案

(1) 参観日のための指導案…参観する保護者に分かりやすくD児童の実態やHの本時の評価を詳しく書く。

(2) 研究授業のための指導案…研究テーマと関連づけて、特にB単元構成やC教材についての教師としての考えを十分書く。更に本時の展開の中で、教師のかかわりと子供の反応を研究と関連した部分を十分書く。

(3) 指導と評価の一体化を目指した指導案…G本時の展開場面でのいくつかの指導項目を明らかにし対応する評価の観点を明らかにする。さらにH本時の評価として、願う子供の姿を書く。

(4) 教材研究を基盤にした指導案…C教師の指導意図により、教材の研究の結果と指導項目の関連を意図した指導案にする。

(5) 子供の疑問を生かした指導案…D子供たちの意欲・関心・疑問を大切にして、G本時の学習課題につなげる指導案を書く。

 このように、授業や研究の目的に合わせて、基本形を元にしながら様々に形を変える指導案が求められる。

著者紹介

渡辺 知樹(わたなべ ともき)著書を検索»

昭和23年生まれ

昭和49年北海道教育大学札幌分校卒業 専攻教育心理学

札幌市の手稲西・幌西・教育大附属・中央小学校に勤務

菊水・苗穂小学校教頭 富丘・幌南小学校校長

平成20年札幌学院大学人文学部教授

授業場面でのコミュニケーション分析,国語科教材分析法,認知心理学の成果を国語科授業に生かす等の実践を行う。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ