- はじめに
- 第1章 ポジティブな特別支援教育を始めよう
- 1 ほめ方のコツを押さえよう
- 2 「叱る」を見直そう
- 3 どうしても「叱る」時も最後はほめよう
- 4 「ほめるチャンス」を見つけるポジティブ行動支援
- 5 すてきな行動を伸ばすためにほめよう
- 6 知的障害のある子には視覚的にほめよう
- 第2章 「ほめる」をマスターしよう
- 基本の流れ
- Step1 子どもに合った○○ポイントを決めよう
- Step2 ○○ポイントの評価基準を決めよう
- Step3 ほめ方ツールを準備しよう
- Step4 周りの先生と一緒に取り組もう
- Step5 保護者にも一緒に取り組んでもらおう
- Step6 子どもに説明しよう
- Step7 スモールステップで始めよう
- こんな時どうする?
- Question1 毎回ほめるのが難しくて…?
- Question2 ほめるきっかけがなくて…?
- Question3 ほめるタイミングが難しくて…?
- Question4 毎日ほめても子どもがやらない時は…?
- Question5 ほめられていると子どもがわからない時は…?
- Question6 ポイントばかりに目がいってしまう子には…?
- Question7 ポイントがないとやらなくなってしまわない…?
- Question8 ポイントで釣るのはちょっと…?
- Question9 ほめられなくてポイントがたまらない時は…?
- Question10 ポイントはいつまでやるの…?
- Question11 すぐにやる気をなくしてしまう子には…?
- Question12 苦手なことを避けようとする子には…?
- Question13 勝ち負けや失敗にこだわりすぎる子には…?
- Question14 ほめられたくない子には…?
- Question15 先生の目を気にする子には…?
- Question16 友達とポイント数を比較する子には…?
- Question17 友達の行動を非難する子には…?
- 取り組みの広がり
- Step up1 子どもの振り返りの機会をつくろう
- Step up2 子どもと一緒に目標を決めよう
- Step up3 子ども同士でほめ合う機会をつくろう
- Step up4 子どもをほめて育てる授業をしよう
- Step up5 一定期間が経ったら効果を評価しよう
- Step up6 先生の取り組みから作戦を練り直そう
- Step up7 子どもの行動の記録から作戦を練り直そう
- Step up8 子どもと先生が楽しめるシステムにしよう
- 第3章 ポジティブな特別支援教育 実際例
- 学習活動
- 1 一人で勉強ができるようになったメイさん
- 関連 第2章Q14 ほめられたくない子には…?
- 2 報告ができるようになったミナさん
- 関連 第2章Q4 毎日ほめても子どもがやらない時は…?
- 3 プリントがたくさんできるようになったスズさん
- 関連 第2章Q3 ほめるタイミングが難しくて…?
- 役割・手伝い
- 4 クラスの係をがんばるココさん
- 関連 第2章Q9 ほめられなくてポイントがたまらない時は…?
- 5 先生のお手伝いがしたいソラさんとサトさん
- 関連 第2章Q6 ポイントばかりに目がいってしまう子には…?
- 第2章Q16 友達とポイント数を比較する子には…?
- 6 一人でお仕事ができたタケさん
- 関連 第2章Q5 ほめられていると子どもがわからない時は…?
- 仲間関係
- 7 友達のすてきなところが言えるハナさん
- 関連 第2章Q17 友達の行動を非難する子には…?
- 8 友達に自然な「いいね!」が伝えられるカイさん
- 関連 第2章Q15 先生の目を気にする子には…?
- 9 「いいね」を伝え合えたヒロさんとタケさん
- 関連 第2章 Step up3 子ども同士でほめ合う機会をつくろう
- 主体的な姿
- 10苦手なことが得意になってきたユウさん
- 関連 第2章Q12 苦手なことを避けようとする子には…?
- 11 かっこいいリーダーを目指すマサさん
- 関連 第2章Q13 勝ち負けや失敗にこだわりすぎる子には…?
- 12 自分のことをほめられるようになったメイさん
- 関連 第2章Q14 ほめられたくない子には…?
- おわりに
- 引用参考文献/参照Website
はじめに
「子どものことを叱らずに,たくさんほめてあげましょう」
「よくない行動にばかり注目せずに,いいところに注目して,そこを伸ばしていきましょう」
現在は,特別支援教育だけでなく,学校や家庭向けに,「ほめて伸ばす子育て」の言葉がたくさんあふれています。
「ほめる」とは,その子の行動やすてきなところを,それいいね! と「認める」ということです。
子どものすてきなところをほめると,すてきな行動が増えていきます。
1日の中で「すてきな行動」が増えると,「適切ではない行動」の割合は当然,減っていきます。
一方で,「ほめることが大事なのはわかっているのだけれど,なかなかできない」という言葉も聞かれます。
そうなんですよね…。
先生たちは,子どもたちの1日,1秒を,無駄にしたくないのです。
一人一人の子どもに対して,教えたいことや,できるようになってほしいことがたくさんあるのです。
でも,それをストレートに伝えると,指示ばかりになってしまい,できていないことへの「どうしてこうしないの?」という言葉がけになってしまう。よくないところは小さいうちに修正してあげたいと,こまめに言葉をかけ,「あぁまたガミガミ言ってしまった…」なんて自己嫌悪に陥って。
「子どもを叱らないで,気長に成長を支えましょう」とのアドバイスに,いつまで待つの? どのくらい待てばいいの? と心配になる…。
わかる! わかります!
でも,落ち込んでいても始まりません。そんな時はこうしましょう。
まず,@コーヒーを淹れます(紅茶でも緑茶でもそば茶でもOK)。
そして,A紙に「はなまるマーク」を20個描きます。Bそれを印刷して,Cできたらラミネートをかけて,Dはさみで切ります。E裏にマグネットシートを貼り付けます(そんなに大きくなくてもいいですよ)。
次の日,1日3個を目標に,子どもの行動に「いいね!」と言葉をかけ,はなまるマークをホワイトボードに貼っていってください。
めでたく3個貼れた日は,自分にごほうびです。子どもの下校後に大好きなチョコレートを食べていいことにしましょう(おせんべいでもOK)。
3個なんて簡単,すぐできた! と思ったら,次は5個,10個と増やしていきます。
1日に10個貼れたら,もう,あなたは「ほめ上手な先生」です。
本書は,「子どもをほめることを意識しましょう」というお話をする本ではありません。
先生たちが,子どものことをほめやすくなるちょっとしたヒントと,いつの間にかほめ上手になっていく「しくみ」を紹介する1冊です。
著者 /津 梓
著者は博士課程在籍の研究者でもある。ゆえに、応用行動分析を生かした科学の目を使った記述になっている。なのに、文体が優しく、平易な書き方のため、読みやすい。
ほめる関わりについて悩む人、疑う人、まずは読んでみてください。毎日は、厳しくなくていい、優しい日々が増えれば増えるほど、学校が明るくなる!
どんどん広まって欲しい本です。