- はじめに
- 解説編
- 1 文学を読む授業におけるコミュニケーション関係図
- 2 『文学授業のやくそく』の見取り図
- 3 語り手の視点
- 4 タイトル
- 5 設定
- 6 表現
- 実践編
- 1年
- おおきなかぶ
- 語り手の視点を生かして劇をしよう
- くじらぐも
- 設定を生かして音読を楽しもう
- たぬきの糸車
- 好きな表現を見つけて音読劇を作ろう
- 2年
- スイミー
- 物語を再創造しよう
- お手紙
- 自分と比べて読み、登場人物に手紙を書こう
- みきのたからもの
- 主人公と行動を共にして読もう
- 3年
- まいごのかぎ
- オリジナル・タイトルを付けよう
- ちいちゃんのかげおくり
- 自分なりに設定を想像しながら読もう
- 三年とうげ
- 語り手になって音読しよう
- モチモチの木
- 「わたしの豆太」を基に人物像を語り合おう
- 4年
- 白いぼうし
- 描写の特徴を音読に生かそう
- 一つの花
- サブタイトルを更新しながら読もう
- ごんぎつね
- ごんぎつね法廷
- スワンレイクのほとりで
- 「わたし」になって手紙を書こう
- 5年
- 銀色の裏地
- サブタイトルを付けよう
- たずねびと
- 私の心に留まった一文
- 大造じいさんとガン
- 後語りを書こう
- 6年
- 帰り道
- 二人の異なる語り手による視点から読む面白さを味わおう
- やまなし
- 私の一文を選ぼう
- 海の命
- サブタイトルを付けよう
- おわりに
- 執筆者一覧
はじめに
本書は、『教育科学国語教育』(明治図書、二〇二三年四月〜二〇二四年三月)に連載された「国語教師のための『テクスト論』超入門」(上谷順三郎)を、文学教材を使った授業に具体化し、文学を読む楽しさを実体験する授業を提案するものです。連載では、四つの「やくそく」事(タイトル・語り手の視点・設定・表現)を共有しながら文学を読む楽しさを実体験する授業のイメージを示しています。
文学を教室でみんなで読むことは、個人的な営みである読書と違って、みんなで一つのテクストを読み、みんなでその解釈を行うといった社会的な活動です。例えば、「やくそく」の中の設定を考えてみます。「ちいちゃんのかげおくり」では、お父さんの出征の前の日、先祖の墓まいりの帰り道で、家族みんなでかげおくりをする場面があります。この場面で、作者が設定しているのは、「お父さんが出征する前日」(時)、「先祖の墓まいりの帰り道」(所)、家族みんな(お父さん、お母さん、お兄ちゃん、ちいちゃん)(人)です。作者は、それがどんな場所で行われているかは具体的に書いていません。そこで、読者である子供たちは、自分なりに想像を広げながら場面設定を行うことになります。ある子供には映像として川沿いの道が浮かんでいるかもしれません。ある子供には、海が見える丘の風景が広がっているかもしれません。つまり、一人一人が異なる設定をしながらこの場面を読んでいることになります。この想像の違いを楽しめるのが、教室で文学を読む時間だと思います。自分一人で読んでいる時よりも、広く深く文学を楽しむことができるのではないでしょうか。自分と友達との想像の違いを共有することは、違いを価値あるものとして受け入れ、豊かな人間性を培う上でもとても大切なことだと思います。
本書では、小学校国語教科書に取り上げられている一年生から六年生までの文学教材について、四つの「やくそく」の視点から特徴を取り出し、授業アイデアとして示しました。
(表省略)
学習指導要領は、時代の動向を踏まえて変遷しますが、文学を読む楽しさは普遍的なものです。本書が、文学を読む楽しさを味わえる授業をしたいと願う先生方のお役に立つことができればと念じています。
鹿児島実践国語教育研究会会長 /中屋 友厚
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明治図書

















