- まえがき
- 理論編
- 実践編
- 1年
- 話すこと・聞くこと
- 目指せインタビュー名人
- 教材 聞き上手になろう 質問で話を引き出す
- いろいろな意見を総括しよう
- 教材 発言を結びつけて話し合う
 
- 書くこと
- 意見文で説得―学校HP写真を決めよう
- 教材 根拠を明確にして書こう 「写真」の意見文
- ボランティア集まれ―案内文
- 教材 項目を立てて書こう 案内文を書く
- プロフィール文を作ろう
- 教材 引用
- 「○○から見た私」を書こう!
- 教材 心に残る出来事を表現しよう 日常生活から生まれる随筆
- 言葉を楽しもう
- 教材 詩の創作
 
- 読むこと(説明文)
- 筆者の立場になってみよう
- 教材 ちょっと立ち止まって
- 筆者の説明の工夫に学ぼう
- 教材 「言葉」をもつ鳥、シジュウカラ
- 筆者の論証過程を吟味する―不便の「価値」とは
- 教材 「不便」の価値を見つめ直す
 
- 読むこと(文学)
- 自分の読みを仲間と伝え合おう
- 教材 朝のリレー
- 「心情の変化」に注目して読もう
- 教材 はじまりの風
- 描写に着目して読む
- 教材 空中ブランコ乗りのキキ
- 語りから物語を読み深めよう
- 教材 オツベルと象
- 情景描写を味わおう
- 教材 トロッコ
- 「語り手」を通して作品を味わう
- 教材 少年の日の思い出
 
- 読むこと(古典)
- 発見!現代へ読み継がれる最古の物語の魅力
- 教材 竹取物語
- 故事成語を深く理解しよう
- 教材 今に生きる言葉
 
- 知識及び技能
- 方言劇を行おう
- 教材 方言と共通語
 
 
- 2年
- 話すこと・聞くこと
- インフルエンサーになろう
- 教材 魅力的な提案をしよう 資料を示してプレゼンテーションをする
- 相手の話を上手に引き出そう
- 教材 聞き上手になろう 質問で思いや考えを引き出す
- ベストアンサーを決めよう
- 教材 話し合いで問題を検討しよう リンクマップによる話し合い
 
- 書くこと
- 職場体験先へメール・手紙を送ろう
- 教材 表現を工夫して書こう 手紙や電子メールを書く
- 魅力あふれる街づくりを提案しよう
- 教材 意見文
- 「十四歳の今」を短歌に詠もう―短歌創作
- 教材 短歌の味わい
- 創造主になろう―物語創作
- 教材 描写を工夫して書こう 心の動きが伝わるように物語を書く
 
- 読むこと(説明文)
- 論理展開の妥当性を吟味しよう
- 教材 モアイは語る―地球の未来
- 「正しい」言葉をのりこなそう!
- 教材 「正しい」言葉は信じられるか
- 筆者の考えに対する自分の意見をもとう
- 教材 学ぶ力
 
- 読むこと(文学)
- 作品に込められた筆者の思いを読む
- 教材 字のない葉書
- 「三十歳の六月十日」その意味は?
- 教材 ヒューマノイド
- 「僕」にとっての「ボタン」を色付けよう
- 教材 月夜の浜辺
- 「語り」を読んでみよう
- 教材 走れメロス
 
- 読むこと(古典)
- 清少納言の季節感や表現を捉えよう
- 教材 枕草子
- 登場人物の考え方を捉えよう
- 教材 平家物語
- 徒然新聞―シリーズ「法師」
- 教材 徒然草
- 漢詩をオマージュして自分の世界に詩を書こう
- 教材 漢詩の風景
 
- 知識及び技能
- 敬語マスターになりきろう
- 教材 敬語の意味と種類
 
 
- 3年
- 話すこと・聞くこと
- 心に訴えかけるスピーチを考えよう
- 教材 スピーチ
- 快適な学校生活に向け会議を開こう
- 教材 合意形成に向けて話し合おう 課題解決のために会議を開く
 
- 書くこと
- 俳句を作って句会を開こう
- 教材 俳句の読み方、味わい方
- 情報の信頼性について考えてみよう
- 教材 新聞記事、インターネット情報 等
- 「おすすめ作品ルーム」を作ろう
- 教材 批評文
 
- 読むこと(説明文)
- 哲学対話―「言葉」と向き合う
- 教材 それでも、言葉を
- メディアの意義を見つめ直そう
- 教材 いつものように新聞が届いた―メディアと東日本大震災
 
- 読むこと(文学)
- 「わたし」にとっての「ルロイ修道士」を読もう
- 教材 握手
- あなたが考える「形」とは
- 教材 形
- あなたにとってこの詩とは?
- 教材 挨拶―原爆の写真によせて
- 「故郷」を語る「私」の物語を読もう
- 教材 故郷
- 初恋は林檎味!?考えを交流しよう
- 教材 初恋
- 語り手の言葉を味わおう「坊っちゃん」
- 教材 坊っちゃん
- 描写を基に作品を読み深めよう
- 教材 バースデイ・ガール
 
- 読むこと(古典)
- 「論語」の背景を読もう
- 教材 学びて時に之を習ふ―「論語」から
- 言語感覚を磨く―歌物語をつくろう
- 教材 君待つと―万葉・古今・新古今
- 俳句を通して紀行文を読み味わう
- 教材 おくのほそ道
 
- 知識及び技能
- 卒業記念の句会をしよう
- 教材 文法のまとめ
- 言葉の使い分けマスターを目指そう
- 教材 和語・漢語・外来語
 
 
 
- あとがき
- 執筆者一覧
 
まえがき
二〇二三年八月に行われた国語科学習デザイン学会第一回ワークショップ(松本大学)でのことである。「研究を進めていく上での動機、エネルギーは何ですか?」という質問に、私は「怒りです。」と答えた。
たとえば、名の知られた実践家の公開授業を見て、「どうやら教材の読みが浅いのではないか、間違っているのではないか」と思われる事態にでくわしたとき、「これは教材の読みの可能性をもうすこしきちんと論じておく必要がある。でないと勘違いの授業が広がってしまう。この人でさえこんな読み違いをしてしまうのだ。」と考えるし、国語科の授業や学習用語の解説のような文章の中に看過できない誤解を見つけたりしてしまった場合、「きちんとした理解を促すものを書かねばならないな。」と考えるわけである。国語教育に身を置く者として、国語の授業実践と研究が少しでも学習者にとって楽しいものになっていくためには、そうせざるを得ないという思いがある。直接授業づくりを手伝っている場合ならその場で話し合えばよいが、ある程度影響力のある場面やメディアで誤解や勘違いが広がっていくことには、メディアを通じた「対応」が必要になる。私の研究の三分の一くらいは、そうした対応に費やされてきた。
「言語活動」という用語の位置づけが大きく変わっていく局面で、「言語による活動」などという曖昧な理解ではすまないだろう、という判断から、授業づくりに繋がる積極的な定義を行ったのもそうであった。その「言語活動」の一つの典型である「読みの交流」という活動について、用語としての定義を与え、その活動のための「読みの交流を促す問いの要件」を示したのも、そういう意図の下でのことだった。
本書における「言語活動」と「話し合い」についても、いまだに学びの楽しさに繋がるものとしての理解は浸透しているとは言いがたい。だからこそ、そこに理論と実践の両面から、もう一歩前へ出るためのきっかけを提示する必要があるわけだ。
「言語活動」も「話し合い」も、ともすれば単なる「活動」と捉えられがちである。極端な話、「言語による活動が何かあれば言語活動」、「学習者が互いに話をしていれば話し合い」というように捉えられてしまう。しかし、それでは、そうした活動がいったい学習者にとってどのような意味があり、どのような必然性を伴ってどのような学びが成立しているのか、ということを正面から問うた場合、答えに窮することになるであろう。授業づくりに参加しているときに、「何がしたいの?」「何が面白いの?」という問いを発してしまうことがあるが、それは、学習というものの意味をもう少し真面目に考えてほしいと思うからである。本書における「定義」や学習の中における「活動」の位置づけをすこし深読みしてもらいたい。理論編は実践に繋がるものとして書かれているし、実践編の提案には、背景となる理論がある。
本書は、二〇二四年四月から二〇二五年三月にかけて明治図書の『教育科学国語教育』に連載された「今月の言語活動&話し合いガイド」を基に編まれたものである。連載時のコメンテーターとして、佐藤多佳子さん、西田太郎さん、桃原千英子さん、井上功太郎さんに編集も含めてお世話になった。そして、このたびの単行本化にあたっては、橋本祐樹さん、井上功太郎さんに増補も含めてお世話になった。実践編の執筆陣の皆さんにも苦労をかけた。「大全」と名を打つほどのボリュームではないし、実践編の二ページという窮屈さでどの程度伝わるかについては心許ないが、至らぬところがあるとすれば、編者のひとりである私が責を負うものである。読者にあっては、批判的に読み、自分なりの実践研究に繋げていただきたい。
二〇二五年六月 /松本 修
- 
 明治図書 明治図書
 

















