- まえがき
- 理論編
- 実践編
- 1年
- 話すこと・聞くこと
- 「がっこうのひみつ」を伝え合おう
- 教材 こんなものみつけたよ
- 小学校のことを紹介しよう
- 教材 小学校のことをしょうかいしよう
- 書くこと
- 説明する文章を書こう
- 教材 じどう車ずかんをつくろう
- 手紙を書こう
- 教材 てがみでしらせよう
- 読むこと(説明文)
- お気に入りのつぼみを紹介しよう
- 教材 つぼみ
- どうぶつの赤ちゃんはかせになろう
- 教材 どうぶつの赤ちゃん
- 読むこと(文学)
- 「おおきなかぶ」を読んで音読劇をしよう
- 教材 おおきなかぶ
- お話を楽しもう
- 教材 やくそく
- お話の好きなところを見つけよう
- 教材 たぬきの糸車
- 声に出して読もう
- 教材 おとうとねずみチロ
- 読んで感じたことを話そう
- 教材 ずうっと、ずっと、大すきだよ
- 知識及び技能
- 大好きな本を見つけよう
- 教材 としょかんとなかよし
- かん字かるたをしよう
- 教材 かん字のはなし
- かん字名づけ名人になろう
- 教材 にているかん字
- 2年
- 話すこと・聞くこと
- みらいデパート「あったらいいな、こんなもの」
- 教材 あったらいいな、こんなもの
- つながるように話してみよう
- 教材 そうだんにのってください
- 書くこと
- 私の野菜を紹介するよ
- 教材 かんさつ発見カード
- 詩を作って、読み合おう
- 教材 見たこと、かんじたこと
- 読むこと(説明文)
- 草花のすごいちえを見つけよう
- 教材 たんぽぽのちえ
- じゅういの仕事をしょうかいしよう
- 教材 どうぶつ園のじゅうい
- もし、穴がなかったら?
- 教材 あなのやくわり
- 読むこと(文学)
- 演じて、感じて スイミー
- 教材 スイミー
- 声や動きであらわそう
- 教材 名前を見てちょうだい
- どうして二人は変わったの?
- 教材 お手紙
- お気に入りのかさこじぞうを紹介しよう
- 教材 かさこじぞう
- 読んで、感じたことを伝え合おう
- 教材 スーホの白い馬
- お話を紹介しよう
- 教材 アレクサンダとぜんまいねずみ
- 知識及び技能
- 昔話を楽しもう
- 教材 いなばの白うさぎ
- 3年
- 話すこと・聞くこと
- 聞き上手になろう
- 教材 もっと知りたい、友だちのこと
- 司会の進行にそって話し合おう
- 教材 グループの合い言葉を決めよう
- 書くこと
- 組み立てを考えて、報告文を書こう
- 教材 仕事のくふう、見つけたよ
- 組み立てにそって、物語を書こう
- 教材 たから島のぼうけん
- まとめよう「言葉の力」の道具箱
- 教材 三年生をふり返って
- 読むこと(説明文)
- 遊んでみたいこまはどれかな?
- 教材 文様/こまを楽しむ
- 説明の「工夫」を見つけよう
- 教材 すがたをかえる大豆
- 読むこと(文学)
- 物語の不思議を見つけよう
- 教材 まいごのかぎ
- 詩人の思いを読もう
- 教材 わたしと小鳥とすずと
- 場面を比べながら読み、感想を書こう
- 教材 ちいちゃんのかげおくり
- 語り手が語る豆太とは?
- 教材 モチモチの木
- 物語のしかけの面白さを伝え合おう
- 教材 ゆうすげ村の小さな旅館―ウサギのダイコン
- 登場人物の気持ちの変化を読もう
- 教材 おにたのぼうし
- 知識及び技能
- 俳句を完成させよう
- 教材 俳句に親しもう
- 4年
- 話すこと・聞くこと
- 役割を意識しながら話し合おう
- 教材 クラスみんなで決めるには
- 調べて分かったことを話そう
- 教材 調べて話そう、生活調査隊
- 書くこと
- マイ新聞で報告しよう
- 教材 新聞を作ろう
- 理由や例を挙げて、考えを伝えよう
- 教材 もしものときにそなえよう
- 読むこと(説明文)
- 自分の考えをアップとルーズで伝えよう
- 教材 アップとルーズで伝える
- 表し方の工夫を考えよう
- 教材 広告を読みくらべよう
- 読むこと(文学)
- 物語の不思議を解き明かそう
- 教材 白いぼうし
- みんなの〈問い〉で読みを深めよう
- 教材 一つの花
- 二人の物語を読もう
- 教材 ごんぎつね
- 額縁構造のしかけに迫ろう
- 教材 スワンレイクのほとりで
- 語りの「声」を手がかりに読もう
- 教材 世界一美しいぼくの村
- 脚本を読んで自分らしく演じよう
- 教材 人形げき 木竜うるし
- 知識及び技能
- 短歌の読み方名人になろう
- 教材 短歌の世界
- 作詞を楽しもう(言語感覚を養う)
- 教材 百人一首に親しもう
- 5年
- 話すこと・聞くこと
- 話の意図を考えてきき合おう
- 教材 きいて、きいて、きいてみよう
- たがいの立場を明確にして、話し合おう
- 教材 よりよい学校生活のために
- 書くこと
- 構成を考えながら意見文を書こう
- 教材 あなたは、どう考える
- 物語の「もしも」の世界を考えよう
- 教材 もう一つの物語
- 読むこと(説明文)
- 要旨を捉え、考えを発表しよう
- 教材 見立てる/言葉の意味が分かること
- 読んだことを基に考えをまとめよう
- 教材 想像力のスイッチを入れよう
- 手塚のターニングポイント
- 教材 手塚治虫
- 「詩人の目」でのぞいてみよう
- 教材 みすゞさがしの旅―みんなちがって、みんないい
- 読むこと(文学)
- 「語り手」に着目して読みを広げよう
- 教材 世界でいちばんやかましい音
- 語り手に注目して椋鳩十作品を読もう
- 教材 作家で広げるわたしたちの読書「犬太郎物語」
- 作者のしかけを考え、共有しよう
- 教材 注文の多い料理店
- 綾と一緒に「アヤ」探しの旅に出かけよう
- 教材 たずねびと
- 描写を基に人物の心情の変化を想像しよう
- 教材 大造じいさんとガン
- 知識及び技能
- 言葉の使い分けについて考えよう
- 教材 和語・漢語・外来語
- 6年
- 話すこと・聞くこと
- みんなが楽しめるイベントにしよう
- 教材 みんなで楽しく過ごすために
- 今の私、これからの私
- 教材 今、私は、ぼくは
- 書くこと
- 推薦する文章を書こう
- 教材 おすすめパンフレットを作ろう
- 卒業するみなさんへ
- 教材 中学校へつなげよう/生きる/人間は他の生物と何がちがうのか
- 読むこと(説明文)
- 主張と事例の関係を捉えよう
- 教材 笑うから楽しい/時計の時間と心の時間
- 「文スタグラム」を投稿しよう
- 教材 インターネットの投稿を読み比べよう
- 表現の魅力を生かして書こう
- 教材 『鳥獣戯画』を読む/発見、日本文化のみりょく
- 「考える」ことについて考えよう
- 教材 「考える」とは
- 読むこと(文学)
- 二つの視点を比べながら読もう
- 教材 帰り道
- 語り手になって登場人物の思いを語り合おう
- 教材 川とノリオ
- 語り手が伝えたいこととは
- 教材 きつねの窓
- 宮沢賢治の世界を味わって伝えよう
- 教材 やまなし/イーハトーヴの夢
- 太一の成長から生き方を考えよう
- 教材 海の命
- 知識及び技能
- 声で演じてみよう
- 教材 狂言「柿山伏」を楽しもう
- あとがき
- 執筆者一覧
まえがき
二〇二三年八月に行われた国語科学習デザイン学会第一回ワークショップ(松本大学)でのことである。「研究を進めていく上での動機、エネルギーは何ですか?」という質問に、私は「怒りです。」と答えた。
たとえば、名の知られた実践家の公開授業を見て、「どうやら教材の読みが浅いのではないか、間違っているのではないか」と思われる事態にでくわしたとき、「これは教材の読みの可能性をもうすこしきちんと論じておく必要がある。でないと勘違いの授業が広がってしまう。この人でさえこんな読み違いをしてしまうのだ。」と考えるし、国語科の授業や学習用語の解説のような文章の中に看過できない誤解を見つけたりしてしまった場合、「きちんとした理解を促すものを書かねばならないな。」と考えるわけである。国語教育に身を置く者として、国語の授業実践と研究が少しでも学習者にとって楽しいものになっていくためには、そうせざるを得ないという思いがある。直接授業づくりを手伝っている場合ならその場で話し合えばよいが、ある程度影響力のある場面やメディアで誤解や勘違いが広がっていくことには、メディアを通じた「対応」が必要になる。私の研究の三分の一くらいは、そうした対応に費やされてきた。
「言語活動」という用語の位置づけが大きく変わっていく局面で、「言語による活動」などという曖昧な理解ではすまないだろう、という判断から、授業づくりに繋がる積極的な定義を行ったのもそうであった。その「言語活動」の一つの典型である「読みの交流」という活動について、用語としての定義を与え、その活動のための「読みの交流を促す問いの要件」を示したのも、そういう意図の下でのことだった。
本書における「言語活動」と「話し合い」についても、いまだに学びの楽しさに繋がるものとしての理解は浸透しているとは言いがたい。だからこそ、そこに理論と実践の両面から、もう一歩前へ出るためのきっかけを提示する必要があるわけだ。
「言語活動」も「話し合い」も、ともすれば単なる「活動」と捉えられがちである。極端な話、「言語による活動が何かあれば言語活動」、「学習者が互いに話をしていれば話し合い」というように捉えられてしまう。しかし、それでは、そうした活動がいったい学習者にとってどのような意味があり、どのような必然性を伴ってどのような学びが成立しているのか、ということを正面から問うた場合、答えに窮することになるであろう。授業づくりに参加しているときに、「何がしたいの?」「何が面白いの?」という問いを発してしまうことがあるが、それは、学習というものの意味をもう少し真面目に考えてほしいと思うからである。本書における「定義」や学習の中における「活動」の位置づけをすこし深読みしてもらいたい。理論編は実践に繋がるものとして書かれているし、実践編の提案には、背景となる理論がある。
本書は、二〇二四年四月から二〇二五年三月にかけて明治図書の『教育科学国語教育』に連載された「今月の言語活動&話し合いガイド」を基に編まれたものである。連載時のコメンテーターとして、佐藤多佳子さん、西田太郎さん、桃原千英子さん、井上功太郎さんに編集も含めてお世話になった。そして、このたびの単行本化にあたっては、橋本祐樹さん、井上功太郎さんに増補も含めてお世話になった。実践編の執筆陣の皆さんにも苦労をかけた。「大全」と名を打つほどのボリュームではないし、実践編の二ページという窮屈さでどの程度伝わるかについては心許ないが、至らぬところがあるとすれば、編者のひとりである私が責を負うものである。読者にあっては、批判的に読み、自分なりの実践研究に繋げていただきたい。
二〇二五年六月 /松本 修
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- 明治図書