「読解力」を伸ばす読書活動
カリキュラム作りと授業作り

「読解力」を伸ばす読書活動カリキュラム作りと授業作り

好評12刷

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ただ読むだけでは実践的な読解力は身に付かない。

教育課程実施状況やPISA調査が明らかにした課題について詳細に検討。今後、学校全体でカリキュラム作りや授業作りについてどのように取組んでいったらよいか、具体的な資料や事例を多数例示しながら分かりやすく述べた。


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ISBN:
4-18-365535-8
ジャンル:
国語
刊行:
12刷
対象:
小・中・他
仕様:
B5判 148頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2019年8月26日
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目次

もくじの詳細表示

前書き
T 日本の子どもの「読解力」
―何が問題なのか
一 読書活動の取組と読書意欲
二 PISA調査で求められた「読解力」
三 PISA「読解力」調査の結果から見る課題
四 「読解力」育成のための改善点
五 「読解力」を伸ばすフィンランドの取組
U 学校全体で取組む読書活動
―何から着手するか
一 学校全体での読書活動の状況
二 司書教諭配置後の課題
三 読書活動推進校の取組
V 読書活動の二つのイメージ
―自由読書と課題読書
一 自由読書の九形態
二 目標読書としてのブックウォークの有効性
三 課題読書の五形態
W 読書活動のシステム化と授業改革
一 多彩な人々で支えよう―読書活動に関わる人々のシステム化と授業改革
二 施設を利用しよう―施設のシステム化と授業改革
三 文献や資料を活用しよう―資料のシステム化と授業改革
四 効果的に検索・取材しよう―検索・取材のシステム化と授業改革
五 教育課程を重点化し、授業を改革しよう―教育課程のシステム化と授業改革
六 教育課程全体における読書活動の位置付け
七 学校全体での読書活動の留意点
X 感想・評価のための言葉を身に付けよう
一 感想力の育成と感想・評価語彙の選定
二 感想・評価のための言葉をどのように選んだか
三 感想・評価の基本語彙八〇〇語
四 感想・評価の基本語彙三〇三〇語

前書き

 最近、読書活動の重要性が強く認識されるようになった。学校や教室、さらには、公共図書館等を活用して多くの取組が行われるようになり、一定の成果を上げている。ただ、見過ごせない課題も明確になってきている。それは、読書活動は行われるのに、読書力を高めることに連動しない面があるということである。本を取り上げることそのものや、楽しく読むことの追求にとどまり、それらの読書活動が子ども個々の心の豊かさや考える力、狭くは読むことの力の育成に連動していないという傾向が見られるのである。前著『読書力をつける』上・下巻(明治図書、二〇〇二年一二月)では、そのような傾向を先取りする形で、国語科の単元でいかに読書力を付けるか、評価規準を明確にしながら、一つの作品を精読することと多読する活動をどのように統合的に扱えばよいのか、九〇のアイディア提案とともに実践研究したのであった。しかし、現状を見るとまだまだ活動が国語力や広義の読書力と結び付いていないという傾向は払拭されていないように思えるのである。

 そのような停滞した現状に対し問題提起するかのように、国内や国際比較の調査結果が示され、読むことの力に課題があることを明確にしたのであった。国内での教育課程実施状況調査(二〇〇一年度・二〇〇三年度)の結果や、国際比較調査(OECDによるPISA調査)の結果などがそれである。なかでも、説明文系統のテキストについての読解力が問題となっている。

 これらは、調査として行われるが故に、課題設定や読書計画を立てたりするプロセスは省略され、精読する「読解」のプロセスに焦点が当てられた。特に、PISA調査では、「READING LITERACY 読むことの力」は、「読解力」という日本語訳が与えられたが、これは、日本で行われてきた本文をなぞるような学習とは全く違った広義の概念である。PISA調査における「読解力」は、次のように定義付けられている。


  〈PISA調査における読解力の定義〉

  自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力。


 これらは、「読解力」の概念を広く採り、@多様なテキストに対応する、A読書行為の過程、つまり、「情報の取り出し、テキストの解釈、熟考と評価」といったプロセスに基づいた能力の調査を行っている。熟考・評価では、テキストを十分踏まえ、自分の考えを明確に記述すること、さらには、内容への好き嫌いや賛成・反対などは保留し、その文章や資料の妥当性を評価するというクリティカル・リーディングまでを問うものであった。これらは、前著で述べた「読書力」、すなわち、読書行為力と読書生活力を基軸に読書行為のプロセスに応じて読書様式やまとまった読書活動を組み合わせるという考え方とも合致している。


   ◆


 そこで、多様な読書活動を通して、今述べたような広義の「読解力」をどのように伸ばせばよいのか、理論面及び実践面から研究し、三冊のシリーズとして刊行することにした。理論編として『「読解力」を伸ばす読書活動―カリキュラム作りと授業作り―』、実践編として『「読解力」を伸ばす授業モデル集』上・下巻を刊行した。実践編には、次のような内容を収録している。


 『「読解力」を伸ばす授業モデル集』上巻

  序

  基本図書を選ぼう

  月間の目標を決めて読もう

  家族で読書を楽しむ

  なりたい時に読む本

  本のオリエンテーリング


 『「読解力」を伸ばす授業モデル集』下巻

  序

  オノマトペを集めよう

  書店に愛読者カードを送ろう

  本の三つ星レストラン

  自分の詩歌集を作ろう

  読書絵巻物の世界へようこそ

  キャラクターカードを作って遊ぼう


 本書は、『「読解力」を伸ばす読書活動』の理論編として、教育課程実施状況調査やPISA調査が明らかにした課題について、その本質は何であったのか、日本の子どもたちはどのような課題を持っているのか、二〇〇〇年・二〇〇三年のPISA調査で第一位となり世界から注目を集めているフィンランドのカリキュラムや授業はどのようであるのか、学校全体で取組む読書活動のあり方、読書活動のシステム化と授業改革など、カリキュラムや授業改善の面から述べた。

 また、前著で指摘しておいた感想・評価語彙の選定も行っている。テキストに基づいて自分の立場や考えを明確に記述したり、文章や資料を評価するクリティカル・リーディングが求められたのにも応えるために、「傑作・力作・佳作」といった感想・評価語彙を定着しなければならないと考えられるからである。自分の考えや評価を求められても、それを記述する表現が見つからなければ書きようがないのであり、そのような指導が従来顧みられることもなく、感想や評価を求めてきたことへの問題提起としたかったのである。私は、種々の感想文や作文のコンクールの審査委員をしている。そこで、中央審査に上がってきた優れた子どもの感想文を対象に、小学校から高校までの系統を調べたが、感想・評価語彙は、残念ながらそれほど広がらなかった。小学校高学年ぐらいまでは広がるが、だんだん停滞するようになるのである。

 選定に当たっては、類語辞典や国語辞典などを参考に選定した三〇三〇語を基盤に、実際の子どもの感想語彙を調べたり、作品などに付いている帯の評価語彙を調べたりした。それらについて、教師による専門家判定法を用いて選定した。低学年・中学年・高学年・中学校の四段階に分けて系統化し、合計八〇〇語を選定した。教室で実際に使用できるように「学年別配当漢字」に配慮した感想・評価語彙のワークシートも作成している。従来、このようなことに応える研究は、全くなかったと言ってよい。感想・評価語彙の研究は、解釈や熟考・評価を行う「読解力」を飛躍的に伸ばすことに貢献するものと期待される。

 『「読解力」を伸ばす授業モデル集』上・下巻は、実践編として、読書生活を豊かにする方法や、目的を持って読んだり編集したりする方法、感想力を高める方法、多様なテキストを生かす方法、など多岐にわたる読書活動の方法を提唱した。


 本シリーズは、北九州国語教育カンファランスの会員とともに行った共同研究の成果である。子どもたちの喜ぶ姿を見るのを楽しみに、実践者以上のことを望まず教師生活を送ろうとする会員を見るにつけ、本当に尊いことだと思う。特に、長年私が念願にしていた感想・評価語彙の選定作業については、研究会会員の献身的な活動なしには実現しなかったことである。多忙な教師生活から学問研究に時間を割いて下さったことについて、ただ感謝するばかりである。とりわけ、常田望美先生には、事務局として感想・評価語彙選定の中心になっていただいた。

 最後になったが、本書刊行に当たっては、明治図書の石塚嘉典氏、松本幸子氏にお世話になった。表現は簡潔だが、深い謝意とともにここに記しておきたい。


  二〇〇五年九月   文部科学省教科調査官 /井上 一郎

著者紹介

井上 一郎(いのうえ いちろう)著書を検索»

文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官。国語教育学者。随筆家(ペンネーム・高橋信一)。奈良教育大学助教授・神戸大学教授を経て,2001年から現職。子どもの視座を拠点とする国語教育学研究を継続する。文章表現力の構造と発達の調査研究を発展させ,学習基本語彙を中心に据えた語彙指導論及び言語事項の可能性を模索する。その後,読者論を基盤に,文学・説明文・表現の教材の実践的な理論研究や,実践的試行を重ねた新しい指導法の体系を提唱する。現在は,自己表現力の育成を基軸に教科を貫く総合的な視野に立った言語能力の体系化を目指す。各種の作文・読書感想文コンクールの審査委員を務める。研究会「国語教育カンファランス」や自主的な公開講座を各地で主宰。文学や絵画の原風景の探訪のために,イギリス・フランス・イタリア・ベルギー・スイスなど欧米を歴訪。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
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