- はじめに
- 段落指導用(リライト)教材とは何か
- 1 現在求められている「国語科教育で育てるべき力」とは何か
- 2 論理的な文章とは
- 3 現行の教科書教材の問題点
- 4 現行の教科書教材の問題点を是正する方法
- 5 本書の使い方
- 6 段落指導用(リライト)教材Q&A
- 7 段落指導用(リライト)教材を使用した授業例
- T 記録・報告型 段落指導用教材
- ○小学一・二年
- ○小学三・四年
- ○小学五・六年
- ○中学・高校
- U 論説型 段落指導用教材
- ○小学五・六年
- ○中学・高校初級
- ○中学・高校中級
- ○中学・高校上級
- ○応用編
- あとがき
はじめに
子どもにとって、実物の自動車は大きくて恐ろしいものに見える。しかしミニカーや自動車のプラモデル、交通公園のゴーカートは大好きである。子どもは家の中でミニカーを走らせることによって自動車の種類とその役割を知り、ゴーカートに乗ることで交通ルールを学んでいく。このように、子どもをミニチュアに親しませることは、より大きな概念に慣れさせることに非常に有効である。
この原理は文章を読むこと・書くことにもあてはまる。低学年の児童にとって、教科書に載せられている文章は長く、語彙が難しく、一通り読むのが精一杯で、文章の構成や展開を理解することには頭が回らない。高校生の段階でも同じで、教科書に載せられているような論説文は長く、語彙が難しいため、一通り読み通すだけで疲れてしまい、文章構成の検討などする気にもならないのが現状である。この問題を解決するためには、児童・生徒にとって内容が平易で構成が理解しやすい、本格的な文章の「ミニチュア」に親しませることが必要である。
この、本格的な文章の「ミニチュア」というのが、段落指導用(リライト)教材である。一見、児童・生徒の発達段階に比べて易しすぎるように思える段落指導用(リライト)教材は、児童・生徒にとっては親しみやすい。ただ易しいだけではなく構成が整っている文章なので、低学年でも構成の整った文章を読み、書く指導ができる。習熟段階が上がるに従って、長く、語句の抽象度が高まる段落指導用(リライト)教材に親しませる。こうして、中学校や高等学校の生徒は難解な論説文も文章構成意識を持って読み、構成の整った作文・小論文を書くことができるようになる。
本書は、構成の整った本格的な文章の「ミニチュア」である段落指導用(リライト)教材の文集である。
/大貫 眞弘
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- 明治図書