「話す・聞く」力がぐんぐん伸びる 対話力アップワーク 高学年

「話す・聞く」力がぐんぐん伸びる 対話力アップワーク 高学年

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話す・聞くスキルが確実に伸びる学習法をワークで具体化。

「対話力アップ」のための@楽しいゲームワーク、A話す・聞く力を高めるワーク、B楽しいスピーチワーク、C話し合いワーク、など具体例で集録。「伝え合う心と技」を磨くためのワークシートを豊富に掲載。資料としてふり返りカード、自己評価カードなども収める。


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ISBN:
4-18-365159-X
ジャンル:
国語
刊行:
6刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 176頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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第T章 「対話力アップ」の楽しいゲームワーク
@ 本物はだれだ? ゲーム
A おとなりさんを紹介します
B みんなで解決! 友達の底力
C わたしは だれでしょう
D 応えんします! あなたの夢
E 一年間をふり返ってハッピーグラフ
F 好き? きらい? ゲーム
G どっちが好き? ゲーム
第U章 「対話力アップ」の話す・聞く力を高めるワーク
@ めざせ! 朗読チャンピオン
A 以心伝心 絵送りゲーム
B あなたもわたしも、聞き方名人
C なかよしペイント ぬり絵ゲーム
D パネルシアターで発表してみよう
E 相手をかえてしゃべりまショウ
F 「読書へのアニマシオン」にチャレンジ!
第V章 「対話力アップ」の楽しいスピーチワーク
@ 好きな本を紹介します
A ちょっと気になる こんなニュース
B サイコロトークゲーム
C ぼくもわたしも三つ☆シェフ
第W章 「対話力アップ」の話し合いワーク
@ 「語り」にチャレンジ
A 教室ディベートに挑戦しよう
B グループで話し合ってみよう
C ポスターセッションをしよう
D カードでどっち?
E パワーアップ! 学級会
第X章 「対話力アップ」資料
・ふり返りカード
・自己評価カード
・上手なスピーチ トラの巻
・上手な聞き方 トラの巻
・話し合いの前に声出しをしよう
・学習計画表

序章

  伝え合う力を高める「対話力」ステップアップワーク開発

   ――「話す・聞く」スキルが確実に伸びる学習法を獲得――

      中京女子大学名誉教授 /瀬川 榮志


 教育の究極のねらいは、一人一人の子どもの可能性や個性・特性を最大限に発揮し「人間として生涯を通して充実した生き方」を開拓し創造する資質や能力を獲得させることであると思います。

 その「生きる力」には、自分の思いや考えを的確に話したり、相手の意見・主張を確実に聞き取ったりする態度や能力が必要です。情報が氾濫し、倫理観が欠如し、価値観が揺れている社会の実情を鑑みると、我が国の将来に危機感・危惧感を抱き、真の教育の重要性を痛感します。

 目的・相手・場面・状況に応じて、ことばを選び心を交流し温かい人間関係を醸成していく「伝え合う力」を獲得する教育はきわめて重要な課題であると考えます。特に「伝え合う心と技」を育てる基盤となる「対話力」は、人間関係力を培うために大切な言語技術です。

 この対話技術は、常に相手の思いや考えを考慮し心温まる思いやりや、協力・協調の言語行動で一貫させることが必須条件です。また、人間が人間として充実した生き方をするにはどうすればよいかを真剣に思索することも忘れてはなりません。最近のテレビ番組には、子どもたちの目に触れさせたくないような軽薄で低俗な内容もあり、人間として生きる力に連動する質的に高い番組を放映して欲しいものだと思います。要は、対話の内容を人間形成に役立つ価値のあるものにしなくてはならないと考えています。

 対話力には次の条件が具備されていることが必要です。

   ◎ 対話している内容が、人間形成に役立つ内容価値である

   ◎ 対話している間は熱心になれる興味・関心のある内容である

   ◎ 楽しく豊かな語彙に富み、駆使できる知識・能力がある

   ◎ 興味や関心のある話題・題材が系統的に配列されている

   ◎ 型にはまらずに、話題や内容を変化させる能力を培うことができる

   ◎ 話す内容を相手・場面・タイミングに合わせて判断する能力がある

   ◎ 会話における相互共通の節度や礼儀を心得ており実行できる

   ◎ 会話しながら価値ある主題に迫り行動することができる

 これらの知識・技能・能力・態度を組織化して対話指導を工夫することが重要です。

 また、対話の場面や状況に応じて正しい発音・発声・間・リズムや声の大小・方角を判断し駆使・運用する技能や要点力・段落力・要約力・要旨力等の能力も必要であると考えます。

 これからの国語教育には、基礎・基本の明確化と定着が解決すべき重要課題となっています。しかし、現時点においては、この事項について諸説があり、現場の教師はその解釈・判断・実践に悩み去就に迷っているといわれています。この課題解決はきわめて難しいと考えられますが、要は「生きて働く国語力」の実態を明確にして螺旋的に系統化することを実践理論の立場から構築しなければなりません。その理由は、戦後半世紀以上にわたって全教科の基礎教科として重要視され研究されてきた国語教育において、いまだに、他教科や総合的な学習および日常生活に「生きて働く国語力」として、波及・応用される指導法が解明されていないからです。

 例えば、ある単元・教材で指導した国語の技能・能力がどのような経路で、理科や社会科の学習や総合的な学習ならびに日常生活に駆使・運用されているかを説明できることは困難ではなかろうかと考えられます。

 国語科で培う基礎・基本を明確にするために、国語能力の螺旋的系統に基づく体系化を確立することが求められます。

 国語科教育の体系は、「基礎的技能」〈基礎学習〉(学習指導要領の言語事項)→「基本的能力」〈基本学習〉(学習指導要領の活動例)→「統合発信力」〈統合学習〉(情報化時代に対応)に秩序化されます。「統合発信力」は、学習指導要領には位置づけられていませんが、文化審議会では、「国語で情報操作能力を育成する」ことの必要性を強調しています。新世紀は情報化時代ですから当然獲得させるべき資質・能力です。

 国語科の学習で価値ある情報を選択収集し構成して双方向的に伝え合うことは、変転極まりなく揺れ動いていく時代に生き抜く日本の子どもたちにぜひ育成しなければならない新国語力であると確信しております。

 この国語科教育の秩序化・体系化に即した最も効果的な学習法は「行動学習法」です。学習は「為すことによって学習の仕方を学ぶ」ことであることは当然の理です。価値ある言語行動を通して「学習法を学習」することが「行動学習法」です。(『言語行動観に立つ国語教育』〈明治図書刊・一九七七年七月出版A5判・一九三ページ〉に「行動学習法」について提示している。「法」とは学習能力の向上的システムを意味している。)

 行動――即ち、ワークを通して技能・能力を身に付けること――は学習者主体・言語行動主体の指導の原理・原則です。しかも、生き生きと言語行動を展開する過程で定着すべき基礎・基本を確実に獲得することは本質的な学習法です。「活動あって指導事項なし」と批判されている国語科指導法が本格的に改善されていない現状においてきわめて重要な解決課題です。

 さらに、現時点においてほとんど改善されていないといわれている「生きて働く国語力」が習得されない国語科授業に画期的な改革をしなければなりません。その具体策としてはステップワークを採用することであると信じております。

 学習者の向上的変革・変容のわかる→かわる→できるプロセスや、変革過程のホップ→ステップ→ジャンプや、レベル@、レベルA、レベルBは、一九七八年三月〜八〇年三月までの二年間、NHK教育テレビ・教師の時間で『わかる・かわる・できる国語』という番組で放映しました。「これからの国語教育」や「よい授業の条件」等々で二十余の番組を企画構成し、出演したことを起点に実践理論を構築して具体的な授業研究に発展させ実践化に漕ぎ着けた経緯があります。

 このような研究過程を経て、価値ある言語行動を獲得する「行動学習法」を基底においたワークシートの開発を推進しているわけです。

 このステップワークを作成するに当たっては、次の条件が必要です。

   ◎ 国語科で身に付ける基礎・基本・統合発信力の実体と系統性を的確に把握し、それに即したワークシートを作成する。(基礎的技能の定着→基本的能力の習得→統合発信力の獲得の螺旋的系統に基づき、易から難へのステップアップを工夫して既習のスキルが階段的向上的に生きて働くようにシステム化する。)

   ◎ 成就感・達成感を満喫し自己変革や向上的変容のできるプロセスを編成し、基礎学習→基本学習→統合学習が成立できるワークシートを作成する。(堂々めぐりの繰り返し学習や、教科書の教材をなぞるような羅列的・平板的なワークシートでなく、連続的・段階的に「アタック→フィードバック」を螺旋的に確実に踏んで「生きて働く国語力」を獲得する。)

   ◎ 「ワーク」と「技能・能力・統合力」が密接不離の有機的関連で連動したワークシートを作成する。(例えば、要点を押さえて対話する基本的能力を習得させるワークシートにおいては、基本話型の教材文の内容からホップの過程で一つの要点キーワード。ステップの過程では二つの要点キーワード。ジャンプ過程では三つの要点キーワード。等を意識して対話するように工夫し、「言語行動」と「技能・能力」とを一体化する。)

   ◎ 自己評価できるように過程毎に評価事項や評価法を工夫設定したワークシートを作成する。(指導と評価の一体化ではなく「学習と評価の一体化」でありたい。つまり、自力で「対話学習法」を他の介入を要せずに自己学習力で培うことがワークシートによる国語学習の原点である。したがって、レベル@、レベルA、レベルBの各過程で確実に「生きて働く国語力」が定着→習得→獲得されたかを評価する。)

   ◎ 国語力(対話力)の発達段階や一人一人の技能・能力の習熟度に応じてワークシートの学習量を調整する。(ワークシートは一般的に学習者に記述させるスペースが多い傾向にある。余白部分が多いワークシートは、作成に工夫が足りないのである。指導する教師はもちろん、学習者も負担が重いので使用を敬遠するようになる。生き生きと楽しくワークさせるためには、興味・関心・志気を高揚させる内容構成を吟味する必要がある。)

 「伝え合う心と技」の定着→習得→獲得が順調的確に進行すると、人間と人間との関係が深まっていくことになります。つまり、対話力が高まれば「生きる力を育む人間関係力」が身に付くことになり教育の究極の目標に連動します。

 人間関係力を育てる対話の原点は双方の相互理解によって醸成されます。話し合うという形態は多様にありますが、対話は最も基本的な形です。この基本形態が基盤となって一対多の話し合い、伝え合い活動に発展していくものと考えられます。

 対話は人間形成に寄与する価値ある知識や情報を伝達交流したり、相手に価値ある行動を起こしたり、契機をつくり具体化する機能を備えているものです。対話の過程で共感・感動する話題を精選する習慣を普段から培っておくことも大切であると思います。価値ある話題を中心に対話しながら、真実を語り事実を正確に伝え、誠心・誠意で聴き取り、互いに心和む心情や雰囲気を共有する習慣形成も必要です。

 対話は、学級生活・学校生活および家庭生活・社会生活で日常的に行われています。先生と子どもとの対話・子ども同士の対話・親子の対話……等々その機会は多く話題も多岐多様です。教師への信頼が深まり、友情が厚くなり、親子関係や家族関係の親密の度が高まって望ましい家庭を築いている好ましい実情に接し、心和むことも多々あります。

 しかし、心と心を結ぶ双方的な対話になっていない場面に接することもあります。授業中教師が一方的に発問を連発したり、蛇足や説明が多すぎたりして、双方的な対話活動が展開されていないこともあります。また、子ども同士の対話も語彙不足やルール違反で勝手なことを言い合って喧嘩別れになる場面もあります。家庭における対話不足はトラブルを誘発し、家庭不和となり教育力が減退していく傾向にあります。

 言語形成期にある小学校教育において、対話重視の授業開発は真剣に取り組まなければならない実践的課題です。教科書中心の授業だけでは完全な対話力が定着しなかった原因を究明することも必要ですし、教師の指導法を反省・吟味することは忘れてはならないことです。

 具体的な解決策として、学習者が自力で対話力を獲得する学習法を開拓することが最も重要な課題だと考えます。それは、冒頭に強調した、「為すことによって学ぶ『行動学習法』の適用」であると確信しています。

 「行動学習法」の原理に基づくワークシートは、メールやパソコン・テレビゲーム等の倫理・価値観を無視した異常な流行により対面・対話の機会が減少した現代の児童・生徒には必要欠くべからざる学習法なのです。

 行動学習法的ワークシートは、単純な内容構成ではなく、いろいろ楽しく面白い手法を駆使します。ワンパターンのページが続くと子どもたちは飽きてしまうし、学習の形も固定化してしまいます。多様な「行動学習法」としては、「サイドライン法・抜粋法・吹き出し法・絵筋法・要約法・絵画法・連結法・視写法・関係把握法・続き話法・円グラフ法・心情曲線法・囲み法・交換法・書き込み法・会話挿入法・キーワード法・キーセンテンス法・キーパラグラフ法・分類法・比較法・結合法・イメージ化法・短作文法・小見出し法・文章構想図法……」等々があります。

 『生き生き授業の秘密』(八重岳書房・一九八八年七月二三日〈A5判二〇六ページ〉「NHKラジオ放送・対談討論『瀬川榮志の国語教育』二十一世紀の国語教育を拓く」)は【社会の急速な変動のなかで、子どもたちは正しい日本語と豊かな心を失いかけている。本書は「言語行動観に立つ国語教育」を基礎理論にした国語科授業の実践理論書である。子どもを甦らせる「行動学習法」を開拓することが使命である】という趣旨で企画出版し、六八種類の方法を提示し実践を展開しています。「生きて働く国語学力」を高めるステップワークの開発は一貫した研究の歴史的推移があり、新世紀に生き抜く心豊かに逞しく言語行動していく人間形成に重要な課題であると確信しています。


 本書は、以上のように、これから我が国が希求すべき高い教育理念や、二十一世紀を拓く新しい国語教育の実践理論の構築を目指し、一人一人の子どもに「向上的に変容過程で生きて働く基礎→基本→統合発信力」が、定着→習得→獲得される「行動学習法」に拠るワークシートを「対話力」に焦点を当てて企画しました。

 編著者の山本直子先生は、『「対話的人間」を育てる』(明治図書・二〇〇四年二月刊〈A5判一五〇ページ〉)を単著として出版しています。人間関係が希薄になったといわれる現在の小・中学校の教師に必読の理論と具体的事例を巧みに構成した単行本です。この本は大学のプレゼンテーションのテキストにも最適で、プレゼンテーションの講義に活用しましたが学生の反応もきわめて的確で素晴らしい雰囲気が醸成され学習効果が高まりました。編集執筆の草村久美子先生、武市幸子先生、藤田恵子先生は四人で協力して編集出版した『基礎学力を高める音読・朗読・暗唱ステップワーク』を活用して、第三九回と第四〇回の「全国国語科教育研究大会」でTTによるモデル授業を二度にわたって公開しました。ステップワークの機能を最大限に生かした名授業で大好評でした。四人の先生方の授業も「学力向上の国語教育」の「現場訪問」(明治図書月刊雑誌『教育科学・国語教育』に連載)として、それぞれの学級における授業も見せてもらいました。生き生きと言語行動を展開する過程で確実に生きて働く国語力が付く授業に感激感動でした。

 完璧なワークシートは理論だけでは作成できません。これは、よい授業がいつでも、どこでも自信を持ってできないと、子ども一人一人に生きる力に連動する「生きて働く人間関係力」は育成できないということの実証ではないでしょうか。

 また、この授業力・研究力を備えた四人の先生方は、ワークシートを企画編集するに当たって必ず事前に実践し効果を確かめてから本原稿を作成します。日々子どもに接し、よりよい授業を創る教育者としての高い見識と誠意があるからだと思います。したがって、これまで出版した『伝え合う力を育てる「対話」「対話集団」ワーク』〈小学校高学年用〉、『楽しく学ぶ「話し方・聞き方」ワーク』〈小学校一年〜六年・全六巻〉や、『学び方技能が育つ「総合的な学習」ワーク』〈小学校三〜四年と五〜六年用・全二巻〉、『言葉をみがく「語彙力」アップワーク』〈小学校低・中学年用、高学年用・全二巻〉……等々いずれも版を重ねています。

 「国語教育立国論」の理論構築と実践的展開に向けての研究を積み重ね、「埼玉二十一世紀の国語教育を創る会」のさらなる活躍と発展を期待しています。

 明治図書出版企画開発室代表の江部満様には常に本会の進展にご高配を賜っております。本書の企画から発行にも、終始心温まるご支援ご指導をいただきました。深く感謝し厚くお礼を申し上げます。

著者紹介

瀬川 榮志(せがわ えいし)著書を検索»

現在 中京女子大学名誉教授 全国小学校国語教育研究会名誉顧問

   日本子ども文化学会名誉会長 21世紀の国語教育を創る会代表

   全創国研名誉会長

1928年鹿児島県に生まれる。東洋大学国文学科卒業。鹿児島県・埼玉県・東京都の公立学校教諭,東京都教育委員会指導主事,東京都墨田区立立花小学校,中野区立上鷺宮小学校,同鷺宮小学校長を歴任。その間,文部省教育課程教科等特別委員・教育課程調査研究協力者並びに副委員長。学習指導要領指導書作成委員,NHK学校放送教育番組企画委員。現在も全国規模で授業理論の確立に活躍中。

山本 直子(やまもと なおこ)著書を検索»

現在 シンガポール日本人学校クレメンティ校教諭

1958年 兵庫県西宮市に生まれる。

1976年 福岡県立修猶館高校卒業

1980年 お茶の水女子大学理学部数学科卒業

2000年 埼玉大学大学院教育学研究科教科教育専攻修了

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書

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