- はじめに
- 1章 新学習指導要領を実現する!授業づくりのポイント
- 学習指導要領解説
- 本書の題材モデルと学習指導要領との関連
- 中学校3年間の美術のまとめポイント
- 評価シート
- 2章 指導から評価まですべてが分かる!領域別題材モデル32
- 絵画
- 1 オリジナルの枕草子 〜日本の季節の風情を感じて〜
- 2 立版古
- 3 そうだ!造パラへ行こう 〜造パラ60周年ポスターを制作しよう〜
- 4 日本の美しさを世界へ!!思いを届ける私たちの浮世絵 〜一版多色刷り木版画〜
- 5 名所章南百景 〜スクラッチ画で校区の魅力的なスポットを紹介しよう!〜
- 6 新鮮な視点で捉えよう 〜表現につながる鑑賞活動を通して〜
- 7 心で捉えたイメージ 〜印象や感情を形や色彩で表そう〜
- 8 友人とつくる喜びを感じられる題材との出会い
- 9 私との対話 〜世界に1人しかいない私を表現しよう〜
- 10 色ガラスによるモザイク画 〜My Favorite(私のお気に入り)〜
- デザイン
- 11 マイ・小風呂敷
- 12 常磐・菓子
- 13 Attentionプリーズ!構図とレイアウト
- 14 私のオリジナル〇〇シリーズ切手 〜自分の好きなひと・もの・こと〜
- 15 学校生活向上ピクトグラムをつくろう 〜前芝っていいな!〜
- 16 俺字・私字……俺紋・私紋 〜ランプシェイドに自分らしさを〜
- 17 オリジナル文様づくり 〜無限のつながり〜
- 18 生活に役立つピクトグラム制作 〜めざせ!世界基準!〜
- 19 視覚的に想いを伝える 〜コマーシャルボード〜
- 20 パッケージデザイン 〜みんなだいすきおかし〜
- 工芸
- 21 ぼくの私の鳥獣花木図 〜タイルの絵付けと枡目がきの技法を用いて〜
- 22 アートグラス 〜心に美々っとくるもの〜
- 23 季節感を演出する工芸品 木目込みまり 〜自然の形体や材料を生かして〜
- 立体
- 24 心の中の世界 〜マトリョーシカで表現〜
- 25 里中乱舞 〜一瞬の動きを捉えて〜
- 26 イメージを形で表現しよう
- 彫刻
- 27 いさとトリエンナーレを開催して地域に思いを伝えよう
- 鑑賞
- 28 伝える 聞き取る 〜印象派の画家たちを通して〜
- 29 問題解決のデザイン 〜デザインで世界を変えることはできるのか〜
- 30 互いに個性を尊重し合い,認め合う授業 〜ポスターの鑑賞を通して〜
- 31 情報を正しく伝えよう 〜ピクトグラムのデザイン〜
- 32 日本を見よう! 〜琳派の鑑賞〜
- おわりに
- 執筆者一覧
はじめに
今回の学習指導要領改訂では,図画工作科で身に付けた資質・能力をもとに,中学校美術科における「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つの資質・能力の観点から整理されました。その中では,表現活動や鑑賞活動を通じ,造形的な見方や考え方を働かせながら,子どもたちを取り巻く生活や社会にある様々な美術や美術文化と豊かに関わることが目指されました。
ところで,ここで言う造形的な見方や考え方を実現するには,感性や想像力を働かせながら対象や事象を造形的な視点で捉え,自分なりの意味や価値をいかにつくり出すことができるかが実践上のねらいとされます。では,ここで言う「感性」とは,どのような力を言うのでしょうか。「感性」とは一般的に言って「感じる力」と,どちらかというと受け身の力として捉えられがちです。しかし,これまでの研究から,それは,五感を通じて自らにとって大切な情報を取捨選択し,かけがえのない自分らしさを創り上げていく「能力」であり,実は受け身ではなく,主体的,積極的で教育可能な力と言うことができます。また「感性」を働かせるプロセスで生きた「知性」が育成されるという意味で,「感性」とは子どもたちの「確かな知性を支える土台」であると言うこともできます。豊かな美術の学習は,混沌とした多様な価値観の中を自らの視点をもち,確かな足取りで生き抜くための原動力になると考えることができます。
本シリーズは,新学習指導要領に準拠しつつ,実践研究を進めてきた愛知県造形教育研究会の実践研究の成果を中学版「テッパン題材」としてまとめたものです。定番の教科書題材をもとに等身大の中学生の現状に向かい合いながら,いかに造形的な見方や感じ方を育てていくことができるかについて,実践者の様々な工夫や手立てが生かされた実践集となりました。各項目には,授業の環境づくり,進め方,言葉かけのアドバイス,評価等の観点が具体的に示されました。また,本文中の「評価」に関しては,授業者のねらいに合うように自由に書き込める「評価シート」も掲載しましたので必要に応じてご活用ください。
本題材集が,新学習指導要領を背景とした授業の実現に悩む先生方の参考になり,美術科の授業を着実に進めていく際のヒントになればこれに勝る喜びはありません。
最後になりましたが,本書の企画段階から出版に至るまで,本当に粘り強く支えていただきました明治図書出版編集部の木村悠さまはじめ労をとっていただいた編集部の皆様に心より御礼を申し上げます。
2021年5月 監修者
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- 明治図書