- はじめに
- 第1章 部活動をアップデートする5つの視点
- 視点1 部活動顧問は一人で抱え込んではいけない
- 視点2 活動時間の最適を探る
- 視点3 部活動をやらされている生徒は育たない
- 視点4 短い練習時間で最大のパフォーマンスを
- 視点5 顧問の先生の適材適所を考える
- 第2章 令和時代の部活動顧問としての在り方
- 1 自分自身が、何ができるのかを自覚する
- 2 教員主体ではなく、生徒主体の部活動にする
- 3 ICT機器を積極的に活用する
- 4 目標設定は生徒と一緒にする
- 5 学校外の指導者と協力する
- 6 教員自らが挑戦するところを見せる
- 第3章 部活動に参加する生徒のニーズ
- 1 生徒は、学校の部活動に何を求めているのか認識する
- 2 多種多様なニーズに対してのアプローチを考える
- 3 多様性を認め、部活動出席至上主義にならないようにする
- 4 経済的事情を鑑みて部活動の運営をする
- 5 純粋に教育の一環としての部活動運営を目指す
- 6 生徒が直面する問題や障壁
- 第4章 顧問も生徒もチームの一員
- 1 チームの一員として同じ目線で考え発言する
- 2 上からではなく、横で伴走する
- 3 初志貫徹ではなく、臨機応変を意識する
- 4 約束事の改善・変更はチーム全員で行う
- 5 自分自身の発言と行動は一致させる
- 6 何をするにも人対人である
- 第5章 Z世代とつくる部活動 ポイントまとめ
- 1 部活動は「人と人との関係性」である
- 2 部員一人ひとりが今どういう状況なのか把握する
- 3 日程調整もチーム全体で行う
- 4 できるところとできないところをはっきりさせる
- 5 常に生徒の味方であることを伝える
- 6 今も昔も変わらないもの
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
現在の中学生・高校生は、激しい時代の変化の中で、やることも多く、何をするにも選択をしなくてはならなくなってきました。
それは、時代が多様性を認め、メディアが進化していくにつれ、コンテンツが溢れてきたからというべきでしょうか。
世の中は変化してきたのに対し、1日24時間という時間は、過去も現在も変わっていません。
昔は、可処分時間(自身が生活に必要な時間を差し引いた自由な時間)の使い方が、良くも悪くも画一化していたように思います。
つまり、放課後になれば部活動に参加し、その後に家に帰ってテレビを見たり習い事をしたりして、また次の朝は朝練に行って…のような形が多かったように思います。
しかしながら、現在は、可処分時間をどのように生み出し、その時間をどのように消費するのかが、多種多様になってきています。
それが、放課後の部活動なのか、好きなアイドルに対しての推し活なのか、ファミレスでのゲームなのか、YouTube等での動画配信なのか。
学校の授業が終われば、生徒は、手元の端末で様々な活動を行えるようになりました。メディアの進化によって、自分たちが好きな時間に好きな場所で、好きなことが行える時代になってきたのです。
つまり、部活動をやらなくてもよい(やる必要がない)という状態です。
現在の中学生・高校生はZ世代と呼ばれるようです。そもそもZ世代とはどういう世代なのでしょうか。
一般的にミレニアム世代の後に生まれた子どもたちを指し、1997年から2012年までの間に生まれた世代を指すと言われています。
その特徴としては、デジタルネイティブと呼ばれ、スマートフォン、ソーシャルメディア、インターネットなどのテクノロジーに精通しており、これらのツールを自然に活用することができるという点や多様性やインクルーシブについて非常に関心があり、社会的な平等を重視するといったことも言われています。
そういった特徴の中でも私が一番感じているのが、短期的な情報処理能力です。
Z世代は情報を高速で処理し、要点を抽出する能力に優れているという点です。
その真偽についてはどうあれ、情報があふれる現代社会において、彼らは迅速に情報を吸収し、必要な情報を選択するスキルをもっていると感じています。
そして、その時間の使い方も非常にシビアで、動画や映画すら二倍速で見るといったことは普通に行われています。
もちろん、よいところだけではないということも理解しておりますが、このようなZ世代のよい特徴を理解し、この特徴にあった部活動の指導ができれば、お互いによりよく部活動に励めるのではないかと思います。
その一端を本書で示すことができ、読者様の参考になれば幸いです。
2023年8月 /浅見 和寿
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- 明治図書
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