- まえがき
- 第1章 子どもの意欲を高める!「ほめ方」の極意
- 1 私たちは子どもに何を伝えたいのか? 子どもに何が伝わったのか?
- @吃音のある子ども
- Aスラスラ読めることをほめるかほめないか
- 2 ほめ方の極意「ほめない」
- @ほめることほど危険なことはない
- A教師の仕事は主体性を育てること
- B代替案としての勇気づけ
- 1 感謝を示す
- 2 感動する,喜ぶ
- 3 できていることを指摘する
- Cバランス
- 3 その子の自信につながるように接する
- @どんなほめ方をしたいか
- A感謝する
- B喜びを伝える(喜びを分かち合う)
- CI(アイ)メッセージで語る
- D子どもの心に火を灯す
- 4 「えっ?」は最高のほめ言葉
- @ほめるは簡単?
- Aいつほめるのか
- B結果評価にも二種類
- C何をほめるのか?
- D『ほめるな』
- E最高のほめるは?
- 5 「ほめること」の影響に想像力を働かせよう
- @大人の役割は限られている
- Aほめることは猫なで声を出すことである?
- B中学校では本当にほめられた時だけ少し照れる
- C子ども同士がほめ合うことに価値がある
- 6 ほんの些細な積み重ねが大きな違いを生んでいく
- @はじめに
- A声かけ一つが,子どもを伸ばす,潰す!
- Bスキンシップが子どもとの距離を縮める
- C具体的にほめることが信頼を得る
- 7 子どもを育てる最重要技術
- @ほめるとは評価である
- A経過の立ち会いと評価のインフレーション
- B酒井式鑑賞法の極意
- 8 本音で・作為的に・方便で
- @本音でほめる
- A作為的にほめる
- B嘘でもほめる
- C番外編
- 9 ただ,ほめればいいってもんじゃない!
- @ほめて喜ばれる教師になる
- A具体的な事実をほめる
- B友達をほめた子をほめる
- C子どものタイプによってほめ方を変える
- 10 「ほめ方」に,マニュアルはない
- @子どもをほめることは簡単なことではない
- A子どもにはほめてほしいポイントがある
- Bみんなの前でほめない方がよいときもある
- C最高のほめ言葉
- 11 「ほめ方」は「哲学」ある指導法の1つである
- @「哲学」ある指導とは
- A「ほめ方」の基本的な考え方
- B「ほめ方」の実際
- 1 進んで学級の仕事をしてくれる子
- 2 自分から気づいて動ける子
- 12 ほめ点は,いくらでもある
- 13 ほめるべきときにだけほめる
- @“ほめる”の自己目的化
- Aマニュアル型ほめ言葉の時代
- Bコンテクストとタイミング
- 14 ほめることを意識するだけで教師力アップ!〜そのポイントと留意点〜
- @ほめることを意識するだけで変わる
- Aほめる際の原則
- Bもちろん留意点もある
- 15 ほめ方上達論
- @まずほめること
- A「たくさんほめる」のデメリット
- B価値を認めること
- C「価値」を見つける「もしも思考」
- 16 相手が喜ぶことを喜びとする子どもを育てる
- @出し惜しみせずにほめる
- A大袈裟な表現は避け,心からほめる
- Bエピソードを語り,ほめる
- CIメッセージでほめる
- 第2章 子どもを受けとめ伸ばす!「叱り方」の極意
- 1 子どもの感情を受けとめてから,子どもの捉え方を探って叱ること
- @絶対に謝らない子ども
- A「本人論理」を読む
- B「本人論理」とやりとりする
- 2 叱り方の極意「叱らない」
- @「ほめて育てよ」の意味
- A不快感の意味
- B叱ることをやめる
- 3 「納得して人は変わる」という考え方で接する
- @叱ってどうしたいのか
- A正論をぶつけても心に不満が蓄積されるだけ
- B受容的に聞き,気持ちを確かめ,今後のことを尋ねる
- 4 叱るのゴールは,ほめるである
- @叱るのゴール
- A叱れない若者
- B叱り方の原則
- 1 叱る前に確認する
- 2 その場で一回目から平等に逃げ道を残して叱る
- 3 フォローとセットで叱る
- 5 「叱ること」の影響に想像力を働かせよう
- @大人の役割は限られている
- A叱ることは大声を出すことである?
- B叱ることは説明し説得することである
- C包帯でぐるぐる巻きの生徒に感じた…
- 6 『叱る』で終わらない叱り方が大切!
- @はじめに
- A『叱る』と『怒る』の違い
- B子どもたちに叱られ方を教える
- C叱り方で大切なこと
- 7 「叱る姿勢」こそ大切
- @「叱る」は指導だということの自覚
- ATPOによる使い分け
- B「叱る」立ち位置
- 8 相手に合わせて本気で叱る〜上から目線・下から目線・同じ目線〜
- @上から目線で叱る
- A下から目線で叱る
- B横から目線で叱る
- C根底にあるのは
- D誰が叱るか
- 9 子どもが納得できる叱り方を
- @言い分を必ず聞く
- A負の感情を否定しない
- B論理的な説明に肯定的な見方も入れる
- Cこれからどうするか,を問う
- D感情的に怒ることも必要
- 10 子どもは叱られて育つ
- @叱らないで教育できるのか?
- A叱るときは,本気で叱る
- B叱りっぱなしはダメ
- C人格否定となる言葉
- 11 「叱り方」は「哲学」ある指導法の1つである
- @「哲学」ある指導とは
- A「叱り方」の実際
- 1 「自分を磨く」ことを怠った場合
- 2 「他を思いやる」ことをしなかった場合
- 12 「おかしい」「やり直し」「おしい」〜よく「叱る」時に使う言葉〜
- 13 叱るとはメタ認知させること
- 14 心から感謝される「叱り」のありかた〜教師の想いを「叱り」に込め,伝える技術〜
- @感謝されるような叱り方ができるように
- A感謝まで導くことができる「叱る際の原則」
- B道徳授業で扱いたい「叱ること,ほめること」
- 15 叱る目的は教えること
- @叱る目的を意識する
- A傾聴する
- B尋ねる
- 16 叱ることで人生の基準を教える
- @だめなものはだめと,はっきりと叱る
- A信頼関係を築いてから叱る
- Bすぐに戻るつもりで叱る
- CIメッセージで叱る
- あとがき
まえがき
ほめることと叱ること─教師の言葉がけにおいて,この二つは双璧です。時宜をはずさずにほめること,正面からしっかりと叱ること,この二つのバランスがとれていないと,教師の言葉がけは子どもたちに機能しません。教師による的確なほめ言葉と適切な叱り言葉は,子どもたちがまっすぐに成長するために欠かせません。その意味で,「ほめ方」と「叱り方」は教師の指導力の根幹をなすスキルといっても過言ではないでしょう。
そこで「THE 教師力」シリーズにおいて,「ほめ方」と「叱り方」の双方について,ベテラン教師16人にその極意を語っていただくことにしました。経験に裏打ちされた「ほめ方」と「叱り方」のスキルを集めてみようというわけです。執筆者をご覧いただければおわかりかと思いますが,これ以上ないという布陣で構成されています。このラインナップが実現したことに,編者としてこれ以上ないという歓びを感じています。
本書は2部構成になっています。
第1章は「ほめ方」です。ほめることが子どもたちの意欲の喚起にどれだけの力を発揮するか,教師であればだれもが知っています。しかし,なかなか時宜をはずさずに適切にほめることがどれほど難しいことかも,教師であればだれもが知っているところです。本書の16人の執筆陣はそうしたほめるべき場面,ほめるべきタイミングに自覚的なベテラン教師ばかりです。きっと,みなさんの「ほめ言葉観」ともいえるものに変化をもたらしてくれるに違いありません。そして,それはまた,みなさんの日常的な子どもたちとの接し方にもさまざまな示唆を与えてくれるはずです。
第2章は「叱り方」です。言うまでもなく,時代の変化とともに「叱り方」は難しくなる一方です。叱り方を誤ったために,或いはその子に合わない叱り方をしてしまったがために,子どもとの関係が修復不可能なところに陥ってしまう,最近そんな事例が多々見られます。かといって,優しく説諭していれば事足りるというほど,子どもたちの現状は甘くはありません。教師には,手を変え品を変えての叱り方の工夫が求められる時代になりました。
16人のベテラン執筆陣はこのことにも自覚的です。正しいことは正しい,悪いことは悪いという原則は貫きながらも,随所にその場その場に応じた機転や工夫が垣間見られます。また,「叱る」という行為が,他ならぬ教師自身の日常的な「在り方」と大きく関連していることにも多くの論考によって触れられています。
本書が,ほめ方・叱り方を中心とした「子どもたちへの言葉がけ」に悩む読者のみなさんに,少しでも参考になるなら,それは編著者として望外の幸甚です。
では,これ以上のないというラインナップによる「ほめ方の極意」と「叱り方の極意」をどうぞ心ゆくまで味わっていただきたく思います。
/堀 裕嗣
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- 明治図書
- 具体的で明快で、経験年数の若い人でもわかりやすい。どの年代の実践者にも、他の方や他の書物等から学んだことと重ね合わせることにより、自己の実践を客観的にとらえるのに使いやすい。自らの現場での実践に生かすには工夫が必要であるが、その哲学に裏打ちされた指導の根拠は自らの教育を見直すのに極めて有効である。2015/8/2気がつけば定年まであと10年
- 若手教職員への指導に活かすつもりで購入。大変分かりやすく参考になりました。2015/7/2650代 中学校管理職