- はじめに
- 第1章 なぜその授業動画は学力を向上させ得るのか
- 1 授業動画だけで東大合格
- 2 一方向の動画配信でも学力は向上する
- 3 核心は「授業の質」
- 4 ALは一方向授業でも実現できる
- 第2章 教師は俳優になれ! 算数授業スキルニューノーマル基礎編
- 1 授業は「台本」で決まる
- 2 台本=セリフ集ではない
- 3 文字の大きさを強く意識する
- 4 モナリザから学ぶ教師の視線
- 5 オーバーなリアクションで一体感を生み出す
- 6 書くために十分な時間を確保する
- 7 間のない授業は間抜けな授業
- 8 動的スキルで子どもを引き込む
- 9 子どもの目,集中力をケアする
- 10 とにかく,羞恥心を捨てろ!
- 第3章 授業の前後,細部にもこだわれ! 算数授業スキルニューノーマル応用編
- 1 子どもの声で「深い学び」を具現化する
- 2 自主学習につながるエンディング
- 3 台本は「8割暗記」で授業に臨む
- 4 イメトレでレベルアップを図る
- 5 「先生,見えない」と言わせない
- 6 不要な場面を削除する
- 第4章 ビジュアルに解説! 算数授業スキルニューノーマル実践編
- 2年「たしざん」単元の1時間のオンライン授業動画(キャプチャ画像)を通して,第2,3章で取り上げた授業スキルの実際を見ていきます
- 第5章 オンライン授業の先に待ち受ける世界
- 1 オンライン授業が救う子どもたち
- 2 消える大型予備校の校舎
- 3 授業動画が保護者の意識を変える!?
- 4 先生の仕事はチューターに!?
- 5 生き残る教師の条件
- おわりに
はじめに
「日本の学校現場のICT環境整備は遅れている」
昨年のコロナ禍で全国の学校が3か月に渡って休校せざるを得なくなった際に,何度も耳にした言葉です。
では,ICT環境が整備されれば,教室と同じ授業がオンラインで再現され,コロナ禍で叫ばれた様々な問題は解決するのでしょうか。
確かに,ICT環境が整備されることで,ある程度の問題は解決するかもしれません。
一方,私は新たな問題が露呈したと考えています。
それは,「授業の質」の問題です。
これまでの授業は,教室という閉じられた空間で行われていました。ところが,ICT環境が整備され,オンラインで授業が動画配信されるようになることで,その授業を保護者も目にすることができるようになりました。つまり,「オンライン授業=参観日」とでも言うべき図式ができ上がったのです。
平時の参観日は1か月に1回程度なので,多少のごまかしはきくかもしれませんが,毎日,毎時間配信されるオンライン授業ではごまかしはきかず,「授業の質」が否応なく問われることになったのです。
コロナ禍の休校期間中に,多くの教育委員会で,著者が小学講座・算数の講師を務めている「スタディサプリ」(リクルート)のオンライン学習サービスが取り入れられました。
その理由は明確で,オンライン学習サービスで提供される授業の質が高いからです。実際,「私のクラスの先生よりも,スタディサプリの先生の授業の方がわかりやすかった」という声を,多数耳にしました。
本書では,以上のようなことを踏まえ,一方向の動画配信によるオンライン授業作成で蓄積したノウハウを紹介します。
ただし,この本で紹介するのは,「オンライン授業のつくり方」ではありません。教室で行われるリアルの授業でも,一方向の動画配信で行われるオンライン授業でも通用する,“ニューノーマル(新常態)”とも言える授業スキルを紹介する本とお考えください。
「授業の質」が改めて問われている今,あなたの教室の授業,あるいはオンライン授業の質を高める一助としてご活用いただければ幸いです。
2021年3月 /尾ア 正彦
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