- はじめに
- 序章 2学期はこう進める!学級づくりの流れ
- 1 夏休みから学校生活へのシフトチェンジ
- 2 長い2学期を学び多きものに
- 3 3学期へ、次年度へつなげる
- 第1章 土台をつくる習慣(9月〜10月前半)
- Part1 生活リズムを取り戻すための習慣
- 1 夏休み終盤に家庭でリズムをつくる [学級]
- 2 宿題に生活リズムのことを入れる [授業]・[学級]
- 3 スロースタートをする [授業]・[学級]
- 4 マズローの欲求段階説を知る [授業]・[学級]
- 5 午後に体を動かす機会をつくる [授業]・[学級]
- Part2 クラスの関係性を取り戻す習慣
- 6 遊びながら夏休みのことを紹介する [授業]・[学級]
- 7 コミュニケーション系のレクリエーションに取り組む [授業]・[学級]
- 8 運動会練習で肯定的に認め合いを行う [授業]・[学級]
- 9 くじ引きを多用する [授業]・[学級]
- 10 助けてと言える環境をつくる [授業]・[学級]
- Part3 学習への集中を取り戻す習慣
- 11 授業前にレクリエーションに取り組む [授業]・[学級]
- 12 デジタル疲れのリラックス方法を知る [授業]
- 13 月曜日の朝にレクリエーションに取り組む [授業]・[学級]
- 14 学習ゲームに取り組む [授業]
- 15 朝の会にレクリエーションを取り入れる [学級]
- 第2章 つながりを深め、学びを広げる習慣(10月後半〜11月)
- Part1 協力し合う学級をつくる習慣
- 16 つながるレクリエーションに定期的に取り組む [授業]・[学級]
- 17 感謝の時間を継続的につくる [授業]・[学級]
- 18 イライラの対処法を学ぶ [授業]・[学級]
- 19 席替えの回数を増やす [学級]
- 20 他の人の考えを参考にすることを推奨する [授業]・[学級]
- Part2 授業での発言や対話を活性化する習慣
- 21 デジタルでのマナーを学ぶ [授業]・[学級]
- 22 保護者を巻き込む [授業]・[学級]
- 23 ホワイトボードを活用する [授業]・[学級]
- 24 自由掲示板を活用する [授業]・[学級]
- 25 小さな会議を開催する [授業]・[学級]
- Part3 2学期の中だるみを防ぐ習慣
- 26 子どもがイベントを考える [授業]・[学級]
- 27 外部の人と積極的に関わる [授業]・[学級]
- 28 「〇〇選手権」を開催する [授業]・[学級]
- 29 世界へ目を向ける [授業]・[学級]
- 30 ゆったりとした時間を確保する [授業]・[学級]
- 第3章 子どもが動く学級になる習慣(12月〜3学期につなげる)
- Part1 クラス運営を子どもに任せる習慣
- 31 行事を生かす [授業]・[学級]
- 32 学びの意味を改めて考える [授業]
- 33 自己決定の機会を多くする [授業]・[学級]
- 34 クラスの仕事をデジタル化する [学級]
- 35 子どもが冬休みの宿題を考える [授業]・[学級]
- Part2 失敗を恐れない雰囲気をつくる習慣
- 36 教師の失敗談を聞く [授業]・[学級]
- 37 失敗紹介タイムを設定する [授業]・[学級]
- 38 「先人の失敗」について調べる [授業]・[学級]
- 39 負けるが勝ちゲームに取り組む [授業]・[学級]
- 40 良い笑いを意識する [授業]
- Part3 3学期に向けて準備をする習慣
- 41 多面的に自分を振り返る [授業]・[学級]
- 42 冬休みの敵を探す [授業]・[学級]
- 43 3学期に何をするのかを考える [授業]・[学級]
- 44 休みだからできることを計画する [授業]・[学級]
- 45 0学期だという意識をもつ [授業]・[学級]
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
学校では、年度の始めの数日を「黄金の3日間」と呼び、大切にしています。1年間の学級経営を考えると、その数日の過ごし方はとても大事なものです。しかし、2学期が始まる「夏休み明けの日々」は、年度始めの数日と同様、もしかしたら、それ以上に大切な日々だと私は考えています。
夏休み明けの8月後半から9月上旬の時期は、学校にとって非常に重要な時期と考えるべきです。文科省などの調査によると、子どもが学校を「休みがちになる」傾向が非常に高く、さらに「自殺が多い」時期です。子どもの人生に大きな影響を与える可能性があります。コロナ禍以降、子どもの自殺数は高止まりの状態です。表面に表れず潜在的に悩みを抱えた子どももたくさんいると考えられます。
教員は子どもに対して様々な影響をもたらします。しっかりと準備をして、プラスの影響を与えられる状況をつくりたいところです。夏休みは研修がありますが、教員が自分でコントロールできる時間が多い時期でもあります。そういった時間を上手に使い、2学期に向けて適切な準備をしておくことが、子どもにとってプラスになります。
ところで、新型コロナウイルスは世の中に多大なる影響を及ぼしましたが、社会においては働き方などに大きな変容をもたらしました。それまで一般的とは言えなかった、オンライン会議や在宅勤務が多くの企業で実施されるようになりました。社会の一部である学校においても、多くの影響が見られました。学び方などへの影響も大きかったのですが、特にコミュニケーションに関しては負の影響が大きかったと私は考えています。密を避けることが推奨された時期もありました。また、マスクの弊害も少なくありません。表情が見えにくいことは、子どもが他の人との関わり方を学ぶ場においてマイナスの要素です。そういった環境が、子どもの育ちに深い影を落としています。
一方、ICT端末の導入は、個に応じた学びを促進し、それまでは難しかった取り組みを可能にしつつあります。タブレットやスマホなどが社会の中で一般的に使われる状況では、学校でも適切な使い方を学んでいくことが重要でしょう。ただ、タブレットなどの使用が増えることによって、「視力の低下」をはじめとする新たな問題も発生しています。原因としては、従来とは異なった体の使い方をすることが考えられます。
そういったことに対応して、レクリエーションが考えられています。前著『リラックス学級レク75』では、目を休めるレクリエーションとして「ブラインド・タイムアタック」を紹介しています。視力の低下と同様に、肩凝り、腰痛が増加していますが、これもICT端末との関連がうかがえます。教室で簡単に取り組むことのできる肩凝り、腰痛対策のレクリエーションも考えられています。
状況の変化や新しい知見によって、学校での取り組み方に変化が生まれています。例えば、医療技術の進歩により脳の状態を測定することが簡単になったことで、子どもの行動が脳にどのように影響を及ぼしているのかがわかってきています。レクリエーションに関するものでは、あやとりなどの手指を使った昔遊びをしたところ、脳の覚醒状態が高まったことから、手指を使った遊びが脳に良い影響を与えることを明らかにした研究もあります。ニュースポーツであるスポーツスタッキングでも同様の結果が出たという情報もあります。
このように、技術の進歩が学校での取り組みの変化を促していきます。ただ、学校という場所は、社会における最新の情報などが入りにくい場だと感じています。そういった状況では、教師が積極的に情報を収集していくことが大切です。今回の書籍でも、可能な限り最新の理論やデータを取り入れるようにしています。また、忙しい中でも取り組みやすいように「時系列」でまとめました。まずは、非常に重要である学校再開のタイミングに向けて、しかるべき準備をしていきましょう。中だるみをケアしながら、3学期、そして次の学年へとスムーズにつなげていくことに注力できると良いです。今回紹介したものは、あくまでモデルのようなものにすぎません。それぞれの学校や教員のキャラクター、子どもの人数、タイプなどによってアレンジしていくとより良いでしょう。
本書を通して、子どもの笑顔が増えることにつながれば嬉しいです。子どもの笑顔が、保護者の笑顔、教師の笑顔にもつながります。子どもとの素敵な日々となるよう心から願っています。
/鈴木 邦明
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