新学習指導要領に沿ったPISA型読解力が必ず育つ10の鉄則

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PISAテスト作成に関わった著者だから教えられる10の鉄則!

PISA型読解力テストの準備段階から問題作成、実施、分析のすべてにかかわってきた著者の問題提起。@PISA型読解力テストの得点が向上しない理由、APISA型読解力への10の誤解に答える、B楽しい授業で必ずPISA型読解力が育つ等々、鋭く斬り込む。


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ISBN:
978-4-18-339313-5
ジャンル:
国語
刊行:
5刷
対象:
小・中
仕様:
A5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
1 PISA読解力テストの得点が向上しない12の理由
2 PISA型読解力への10の誤解に答える
3 楽しい授業でPISA型読解力が必ず育つ10の鉄則
1 PISA型の興味深く刺激的な発問を工夫する
2 校内で発問づくりの自己研修を行う
3 子どもたちに発言させる前に,PISA型の発問について子どもたちにワークシートに書かせる
4 ワークシートを書いているときに机間巡視でPISA型の答え方を徹底して指導する
5 人の意見を聞く訓練を徹底する
6 グループ討論の時間をたっぷりとり,課題解決型の討論を行わせる
7 PISA型のテストを自作し評価する
8 課外読書を単元ごとに行い,読んだ後に意見交流を行う
9 ティーチャー・ブック・トークを行う
10 自分の授業をPISA型の観点で評価する
4 どうすれば活用力を育て,国語B問題に対応できるか?
1 PISAとB問題
2 従来行われてきた国語テストとPISA読解力テストの違い
3 小・中学校B問題(国語)とPISA読解力調査
4 日本独自の,学力調査の第三のモデルをつくるために
5 なぜ「読解表現力」が必要か?
1 入試があるからPISA型はできないという人に
2 欧米ではなぜ読解表現力が重視されるか?
6 PISAの本当の敗因はどこにあるのか?
1 PISAの本当の敗因
2 「伝え合い」のコミュニケーションに欠けていたこと
3 国語教師が教えてこなかったコミュニケーション
4 教育目標に,なぜ「自分の意見」が取り上げられないか
5 国際的なコミュニケーションができないとどうなるか
6 「読解」と「伝え合い」を両立した授業
7 「伝え合い」から「国際的なコミュニケーション」へ
8 読んだことについて発信させる授業
7 アメリカ人は「読解表現力」をどう教えているか?
1 アメリカのナショナル・スタンダーズは読解と表現を区別しない
2 「表現と理解」でなくコミュニケーションを教える
3 「書くこと」も「読むこと」もコミュニケーションとして教える
4 リサーチで読解とコミュニケーションが融合する
5 「総合的な学習の時間」と「プロジェクト学習」の違い
6 欧米型のプロジェクト学習ができない理由
7 読解とコミュニケーションを融合したナショナル・スタンダーズの授業
8 文学教材でPISA型読解力を育てよう
1 文学教材も,論理的に書かなければならない
2 すべての文章を論理的にプランし論理的に評価する
3 文学教材を読むときも,論理的に読む
4 クリティカル・リーディングに必要な論理的な討議
5 クリティカル・リーディングにはどんな討議が必要か
9 なぜクリティカル・リーディングが必要か?
1 PISAと国際的なコミュニケーション
2 なぜPISAの得点を上げる必要があるのか
3 どうしたら国際的な討論ができるか
4 本文を疑うクリティカル・リーディング
5 欧米人はなぜクリティカルな問を発するのか
6 クリティカル・リーディングの採点基準
7 クリティカル・リーディングをさせるために
10 どうすればスイミーで楽しくPISA型読解力が育つか?
1 多くの教師の本音には「なぜ国際的なコミュニケーションを学ばなければならないか」という疑念があるはずだ
2 質問ができない,質問に答えられない,理由が言えない,主語が書けない日本人
3 国際的なコミュニケーションとは個性と個性がぶつかり合うコミュニケーションである
4 個性を認めず論理的な課題解決のないスイミーの授業
5 個性を尊重し論理的に課題を解決するスイミーの授業
11 どうすれば子どもの心を揺さぶるクリティカル・リーディングの授業ができるか?
1 子どもの身の丈にあった教材
2 なぜ「ウサギ」で国際的なコミュニケーションか?
3 国際的な発問の特徴─フィンランドの教科書に学ぶ
4 「ウサギ」で国際的な発問
12 どうすればPISA型の課題解決の授業ができるか?
1 PISA型の授業は型にはめるからつまらないのか?
2 PISA型という呼称は国内でしか通用しない
3 国際的なコミュニケーションを育てるPISA型の授業とは何か?
4 こんなに楽しいPISA型の授業
5 どうしたら自分の意見が言える子どもを育てられるか?
6 なぜ自分の意見が言える子どもを育てなければならないか?
13 なぜPISA型は日本型より優れているか?
1 香西論文の功績
2 PISAはグローバルスタンダードか?
3 なぜG8はPISAで低得点か?
4 では,日本の生徒のどこに課題があるのか?
5 PISA型が日本型よりも優れている二つの根拠
6 では,日本型の授業やテストに意味がないのか?
7 日本型の国語がよくできてもPISAには対応できない
8 楽しいPISA型の授業を創り上げるために
14 PISA型読解力と新学習指導要領の内容との関連
1 PISA型読解力と中教審国語専門部会の審議との関連
2 PISA型読解力と言語力育成協力者会議の審議との関連
3 国語専門部会の方針とPISA型読解力
4 中教審答申とPISA型読解力
5 新学習指導要領とPISA型読解力
15 PISA型読解力とOECDキー・コンピタンシーとの関連
1 PISAとキー・コンピタンシーの定義
2 概 要
3 キー・コンピタンシーの基盤
4 キー・コンピタンシー1:〈道具を効果的に使う能力〉
5 キー・コンピタンシー2:〈異質な人々とかかわり合う能力〉
6 キー・コンピタンシー3:〈自立して行動する能力〉

はじめに

 PISA型読解力は,非常に困難な道を歩んでいる。

 熱心に取り組む人々も少なくない一方,反発を感じる人も少なくないからだ。批判の多くは,「つまらない」「型にはめる」「上からの押しつけだ」などであるが,どういう授業を見て批判しているかは定かでない。

 もともとPISA型の授業など,わが国で確立されたものではないので,たまたまPISA型と称して公開した授業がつまらないからそう言っているのかもしれない。

 では,PISA型に取り組む人々は何を根拠に授業を組み立てているのであろう。

 PISA型に取り組むための情報は極めて乏しく,唯一の具体的な資料は,2000年調査報告書で公開された11の問題である。

 しかし,これはそもそもテスト問題である。テスト問題から逆算して授業を組み立てるのはたいへん無理がある。しかも,この問題は高校1年生のために開発されたものであるから,これをもとに小学校の授業を組み立てることは二重の無理が伴う。

 したがって,本書で詳しく述べたように,現在行われているPISA型と呼ばれる授業は,PISAの基本的な考えから言っても,欧米で行われている授業と比べてもかなり隔たりのあるものをよく見かける。

 私は,第1回PISA読解力テストの準備段階から問題作成,実施,分析のすべてのプロセスにかかわり,PISAの基本的な考え方をできる限り理解しようとしてきた。

 また,欧米人の授業を見たり指導法の研修を受けたり文献を読む中でどういう授業をすれば,こういうテストに対応できるかを考え続けてきた。

 その結果,多くの教師の協力を得て,PISA型読解力を育てる授業を設計し実施してきた。

 現在数十の授業実践を見てきてその結果を私のウェブサイトに実践事例として掲載している。決して満足のいくものではないが,はっきりしていることは,多くの学級でPISA型の授業を受けた子どもたちが,楽しいと言い,ある場合には熱狂的に盛り上がる授業が実現している。

 子どもが楽しいと思えば教師も楽しい。PISA型読解力を導入する最大の理由は授業をやって子どもも教師も楽しいと思うことだと信じている。

 この本には,PISA型の得点が向上しない理由を明らかにし,PISA型に対する多くの方々の誤解に答えた上で,どうすれば楽しいPISA型の授業ができるかを考えて具体的に「10の鉄則」として提案した。

 そのほかに,2007年度に明治図書の「月刊国語教育」に連載した原稿を一部修正して収録した。全国一斉学力テストで活用力を測定した国語B問題とPISAの関連も述べた。

 また,アメリカのカリキュラム,授業実践などの紹介から,日本での授業実践事例まで,小・中・高校の教師が授業をなさるのに必ず役立つ情報を精選した。

 さらに,新しい学習指導要領がPISA型読解力と深くかかわることを明らかにし,OECDキー・コンピタンシーとPISA型読解力の関連についても解説した。

 この本がきっかけになって,日本の国語の授業が国際化され,国際社会に通用する,しかも日本人としての独自性を発揮する子どもたちが育ってくれることを念願している。


  2008年10月   /有元 秀文

著者紹介

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国立教育政策研究所 教育課程研究センター 総括研究官

〈略歴〉

昭和42年3月  山口県立岩国高等学校卒業

昭和46年3月  早稲田大学教育学部国語国文学科卒業

昭和46年    都立新宿高校国語科教諭

昭和61年    文化庁国語調査官

平成3年〜現在 国立教育政策研究所総括研究官

平成13年〜19年 国際基督教大学非常勤講師

平成16年〜20年 東京大学非常勤講師

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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