- はじめに
- 1 「社会科×個別最適な学び」 授業づくりの基礎基本
- 1 資質・能力を育成することが目的
- 2 「個別最適な学び」と「協働的な学び」
- 3 「個別最適な学び」を実現する14の勘所
- 2 「社会科×個別最適な学び」自己決定的学習モデル
- 1 自由選択的な学習モデル
- 6学年「室町文化と力をつける人々」
- 1 教材研究と単元デザイン
- 2 授業展開モデル
- 3 「社会科×個別最適な学び」成功のポイント
- @協働的な学び―徹底的に追究する時間の確保が重要
- A個別の学び―支援を子ども同士で
- B子どもが板書する5つのメリット
- C子どものふり返りを見ることで教師自身のリフレクションを
- D問いの分類
- E既習事項や他教科とのつながり
- F教師の出方について
- G子どもの授業分析
- H教師も学ぶ
- 2 事例選択的な学習モデル
- 6学年「全国統一への動き」
- 1 教材研究と単元デザイン
- 2 授業展開モデル
- 3 「社会科×個別最適な学び」成功のポイント
- @オンライン授業―普段の学習の延長として
- A追究する際のグループ分けは意図的に
- 3 課題設定的な学習モデル
- 6学年「江戸の文化と学問」
- 1 教材研究と単元デザイン
- 2 授業展開モデル
- 3 「社会科×個別最適な学び」成功のポイント
- @単元の問い
- A仮説をたてること
- B「問い」の連続性
- C概念等に関わる知識を持って追究していくこと
- D文化単元をつなげて考える
- E自己調整
- F自己評価
- 3 自律的な学習者を育てる手立てと教師の役割
- 1 通常の一斉授業と自由度の高い自己決定的な学習
- 2 自律的な学習者を育てるポイント
- 3 「問題解決的な学習」の中で自律的な学習者を育てる
- @「問い」を自分のものにし,仮説をたてること
- A追究していく中で,目には見えない意味や特色を見出すこと
- B自分の学びの跡を俯瞰し,自己評価すること
- 4 教師の役割
- 5 授業UDとUDL
- 6 一人の子のストーリーを追う
- おわりに
はじめに
そもそも「個別最適な学びとは何か?」という問いからのスタートでした。答申や指導要領,関係書籍を読み漁り,自分なりに解釈し,実践を繰り返しました。実践しては悩み,また考え実践する。それの繰り返しでした。
そういう意味で,本書は「挑戦の書」と言っても過言ではありません。実践したことをまとめていくと,膨大な量となりました。はっきりと分けることは難しいですが,便宜上〈理論編〉と〈実践編〉の2冊に分けました。本書はその〈実践編〉となります。
本書では,6年生の単元まるごと3本を紹介します。実践の具体内容はもちろん,実践して見えたよさや課題もできるだけ具体的に説明します。子どもが学ぶ様子や子どものふり返りも詳細に紹介し,それらを私がどう解釈したのかも記しています。そのあたりをもとに,子どもがどのような学びを進めたのかを読み取っていただけると幸いです。
第1章では,「『社会科×個別最適な学び』授業づくりの基礎基本」として,〈理論編〉をダイジェスト版として紹介します。〈理論編〉からの橋渡し的な章となります。
第2章は,単元まるごとの実践記録です。実践内容は,すべて自己決定的な学習で,次の3つのモデルを提案します。
・自由選択的な学習モデル(6学年「室町文化と力をつける人々」)
・事例選択的な学習モデル(6学年「全国統一への動き」)
・課題設定的な学習モデル(6学年「江戸の文化と学問」)
それぞれ,次のような構成で進めています。
(1)教材研究と単元デザイン
(2)授業展開モデル
(3)「社会科×個別最適な学び」成功のポイント
(1)では,単元における教材研究について説明します。個別最適な学びを進めようと思えば教師の教材研究が欠かせません。単元の目標と留意点について端的に述べます。(2)では,子どもの学習の様子がわかるように写真や子どものふり返りと共にできる限り詳細に記述しています。(3)では,実践をして気づいたこと,新たに考えたことを記しています。例えば,「教師の出方」「子どもの授業分析」「仮説を立てること」などです。これらは,〈理論編〉とも大きく重なる部分が出てくるので,合わせてお読みいただければ幸いです。
第3章では,「自律的な学習者を育てる手立てと教師の役割」と題して,3つの実践を通して考えたことを説明します。社会科という学習の中で,自律的な学習を進めるポイントと,その際の教師の役割,教材論の大切さについて説明します。
本書の実践は,別冊の〈理論編〉で論じたことをベースに,指導の個別化,学習の個性化を意識した実践です。「個別最適な学び」の学習イメージの一端をつかんでいただけると思い,この3つの実践を取りあげました。ただ,ここで紹介する実践が必ずしも「よい」実践とは考えていません。あくまでも1つの参考資料です。実践記録を読むことで感じること,見えてくること,話したくなることがあるはずです。
「この考えは自分の考えと合っているな」
「この方法は真似してもいいな」
「ここをもう少し議論したい」
くらいの感覚でお読みください。
本書が読者の皆様の実践のヒントやアイデアのもとになり,「個別最適な学び」を考える上での議論や対話のきっかけとなれば幸いです。
/宗實 直樹
コメント一覧へ