読解表現力強化プログラム 第6学年

読解表現力強化プログラム 第6学年

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実社会で生きて働く「読解表現力」の指導方法を提案

国語科の授業が「生きてはたらく国語の力」になって身についているかが強く求められている。端的に言えば「より良く読書する力」を育てる授業が「実生活に生きてはたらく読解力の授業」と言える。そのための「読解の授業」を創るためのさまざまな提案、授業を収録した。


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ISBN:
978-4-18-331819-0
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 152頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 序論 読解表現力強化プログラム
――習得力・活用力を育成する学習指導の開発
一 新学習指導要領の「読解力」の要請課題
二 教育新時代を拓く「読解表現力の開発」
――PISA型読解力の国際化――
三 PISA型読解力の3目標・7能力
四 「読解表現力強化プログラム」の基本的学習計画の立案をする
五 読解にかかわる言語活動の重視
――対話・記録・報告・要約・説明・感想等の能力育成――
U 提言 読解表現力を高める学習指導
[1] 読みの授業の本質を見失わないように
一 前置きとして
二 「読解表現力」の現状と課題
三 「読解表現力」の具体的展開
[2] 「正円」的な学びから「楕円」的な学びへ
――自分を意識させる学び――
一 「自分」を意識することで読解と表現が深まる
二 自分を意識する学びは「正円」的な学びから生まれない
三 「正円」的な学びから「楕円」的な学びへ
四 「楕円」的学びは、言葉の意味や機能の付加による理解である
五 言葉を付加し合う共通の場は黒板だ
[3] 読書力を高める読解表現力の指導
一 生活に生きてはたらく読解表現力とは
二 「実生活に生きてはたらく読解の授業」を創るために
三 「生きる力」を培う読解表現力
V 実践 [論説文・説明文]
[1] 比べ読みを通して読みを確かにする授業
――「イースター島にはなぜ森林がないのか」の「比べ読み」の実践――
[2] 基本的な知識・技術の習得を徹底し、読解表現力を育てる
[3] 評価しながら読み、書く力を育てる学習指導
[4] 確かな読みを実現し、生き生きと考えを表現する国語科の授業
[5] 文章に「?」をつけながら、思考して読む
[6] 自分の言葉で語ることができる読みをめざして
W 実践 [文学・生活文・その他]
[1] 読解の観点と、音読のバリエーションが鍵になる
――『海の命』の指導法から追究する――
[2] 人物相関図で物語の「作られ方」に目を向けさせる
[3] 「海の命」〜生きるとは、命とは〜
[4] 優れた叙述を味わう力を高めるために
――「川とノリオ」の素晴らしさを推薦文を書いてお家の人に伝えよう――
[5] 作品に、作者を重ねて読む
――「やまなし」への挑戦――
[6] リライトしながら物語を読む
――「ヒロシマのうた」――

まえがき

 今回の学習指導要領の改訂経緯として、PISA調査(読解力)の結果を踏まえた指導の改善が導入されており、教育の国際化時代を迎えたことを強く感じると共に、文部科学省の英断を歓迎するところである。

 文科省は、国立政策研究所の「教育課程実施状況調査」の「根拠を明確にしながら自分の考えや意見を述べる力」や「読んだ内容をもとに自分の考えを明確にして再構成する力」を育てる読解指導について提示し、中央教育審議会の「審議のまとめ」にも「読解力や記述式問題に課題があること」、「PISA調査の読解力の習熟度レベル別の生徒の割合において、前回調査(二〇〇〇年)と比較して、成績中位層が減り、低位層が増加しているなど成績分布の分散が拡大していることなどの低下傾向が見られた。」と記されている。

 なお、「思考力・判断力・表現力」等を問う「読解力や記述式の問題に課題があること」を示し、「読解表現力」の重視について検討されることとなった。この状況は、平成一八年においても続き、より低下していった。

 さらに、「教育内容に関する主な改善事項」として、各教科における「言語活動の充実」が要請され、国語をはじめとする言語は「知的活動(論理や思考)」だけではなく、「コミュニケーションや感性・情緒の基盤」でもあり、国語科では、これからの言語の果たす役割に応じ、的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、互いの立場や考えを尊重し、伝え合う能力を育成することや、我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむことを重視することを要請している。

 これからの読解表現力の育成についてはどのようにすればよいのか、その資料として文部科学省から「読解力向上に関する指導資料〜PISA調査(読解力)の結果分析と改善の方向〜」(平成一七年一二月)が刊行され、読む行為のプロセスとしては、単なる「テキストの中の情報の取り出し」だけではなく、書かれた情報から推論して意味を理解する「テキストの解釈」、書かれた情報を自らの知識や経験に位置づける「熟考・評価」の三つの観点を設定し、問題が構成されている。さらに出題形式は、選択問題のみならず、記述式問題も多く取り入れられており、テキストを単に読むだけではなく、テキストを利用したり、テキストに基づいて自分の意見を論じたりすることが求められている内容である。

 本書『読解表現力強化プログラム』〜習得力・活用力を育成する学習指導の開発〜は、これまでの「読解力」についての研究と実践を通してのみではなく、自らの研究、自らの授業を学び合い、各県ごとの月例会を通して実践研究会を行い、さらには各県持ち廻りによる全国研究大会を通して「これからの新しい国語実践について」討論し、パネルディスカッションしてきたもので、実践の論理・実践の活動を高め合った方々と共に、全六巻にまとめた。

 本書の構成はT序論、U提言、V・W授業実践例とし、「読解表現力強化プログラム」の課題を記述したものである。PISA学習におけるフィンランドの子どもたちの教科書にある五つの課題解決力となる「発想力」・「論理力」・「表現力」・「批判的思考力」・「コミュニケーション能力」を課題とし、自ら考え、自ら活動する学習への研究と実践に懸命に取り組んでいただいた成果を編者として期待するところである。

 小生の序においては、特に「読解表現力強化プログラムの授業」は、「目標・指導事項・言語活動の一体的関連を図ることを強調したこと」を述べておきたい。

 終わりに、本書の企画・編集等について、大変お世話になった明治図書の江部満編集長に感謝いたします。


  二〇〇九年五月   編著者 /須田 実

著者紹介

須田 実(すだ みのる)著書を検索»

1930年生まれ。群馬大学教育学部卒。公立,国立学校の教諭を経て,群馬県教育委員会義務教育課指導主事,前橋市立学校の校長,群馬県教育センターの部長,再び校長となり,退任後は前橋市教育研究所長,群馬女子短期大学講師に当たる。この間,文部省の学習指導要領作成協力者として,その任に当たる。現在は,「新しい国語実践の研究会」代表,「国語科授業方法研究会」主宰などに努め,国語力をつける実践的研究を継続している。2008年叙勲「瑞宝双光章」を受章する。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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