読解表現力強化プログラム 第3学年

読解表現力強化プログラム 第3学年

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実社会で生きて働く「読解表現力」の指導方法を提案

「読解表現力」という用語をめぐって新しい解釈を示し、「書かれた内容」についての自分の知識や経験をくぐらせて解釈し、他者との交流によって解釈がさらに深まり、広がりが期待できる学習活動であるとし、全国学力・学習状況調査の結果をふまえて実践を公表。


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ISBN:
978-4-18-331522-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 148頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 序論 読解表現力強化プログラム
――習得力・活用力を育成する学習指導の開発
一 新学習指導要領の「読解力」の要請課題
二 教育新時代を拓く「読解表現力の開発」
――PISA型読解力の国際化――
三 PISA型読解力の3目標・7能力
四 「読解表現力強化プログラム」の基本的学習計画の立案をする
五 読解にかかわる言語活動の重視
――対話・記録・報告・要約・説明・感想等の能力育成――
U 提言 読解表現力を高める学習指導
[1] 「読むこと」は「自己を表現すること」
一 「読解表現力」という用語
二 小学校第三学年における「読解表現力」の育成
[2] 説明文における読解表現力強化プログラム
――全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた指導のあり方――
一 全国学力・学習状況調査の質問紙調査からわかること
二 基本的プログラムを踏まえた授業の構想
三 学習したことを生活に関連づけて表現する
[3] 文学的な文章の「読み」を、「話し合い」と「書くこと」によって深める学習プログラム
はじめに
一 主体的な読み、追究的な読みを保証するための基礎的学習【習得学習】
二 主体的な読み、追究的な読みを保証するための学習【活用学習・熟考する能力を培う学習】
三 主体的な読み、追究的な読みのための学習手順
四 主体的な、追究的な読みを保証する指導の実際
五 主体的な、追究的な読みを保証するための評価の観点
六 主体的な、追究的な読みを行うことによって培われる能力
おわりに
V 実践 [論説文・説明文]
[1] 聞き手を意識してわかりやすく伝えようとする力を育む
――わたしたちよりすごい こん虫の知恵 『自然のかくし絵』の学習を通して――
[2] 絵地図を分かりやすく説明しよう
――上牧第三小学校の音楽室から見えるもの――
[3] 説明の仕方を学ぶ
――「すがたをかえる大豆」(光村)の実践――
[4] 子どもの問いを大切にした説明文の授業づくり
――子どもが説明内容や説明方法に対する自分なりの読みを深めるための支援の工夫――
[5] 「思考力を高める説明的な文章の授業モデル」を用いて、意見文をまとめよう
――説明的な文章「くらしと絵文字」(教出)を例にして――
[6] 読解表現力を育てる国語科の授業
――表現を意識した読解指導――
W 実践 [文学・生活文・その他]
[1] 「読む」と「書く」を融合させることで、子どもたちの考えを深める授業づくり
――「サーカスのライオン」(東書)の実践を通して――
[2] 確かな読みの力を育てる
――物語の組み立てに気をつけて読む――
[3] テキストを評価し読む活動により、自分の考えを相互に伝え合う力を高めるための学習プログラム
――「わにのおじいさんのたから物」(学図)の読みを通して――
[4] 想像したことを表現する力を高めるために
――文学的文章の読解から感想文を書く活動へ 「わすれられないおくりもの」(教出)――
[5] 絵と吹き出し・続き物語の創作で読む読解表現力プログラム
――「三年とうげ」(光村)の実践――
[6] 読解表現力の向上を目指した授業作り
――「話し合い活動」に重点を置いて――

まえがき

 今回の学習指導要領の改訂経緯として、PISA調査(読解力)の結果を踏まえた指導の改善が導入されており、教育の国際化時代を迎えたことを強く感じると共に、文部科学省の英断を歓迎するところである。

 文科省は、国立政策研究所の「教育課程実施状況調査」の「根拠を明確にしながら自分の考えや意見を述べる力」や「読んだ内容をもとに自分の考えを明確にして再構成する力」を育てる読解指導について提示し、中央教育審議会の「審議のまとめ」にも「読解力や記述式問題に課題があること」、「PISA調査の読解力の習熟度レベル別の生徒の割合において、前回調査(二〇〇〇年)と比較して、成績中位層が減り、低位層が増加しているなど成績分布の分散が拡大していることなどの低下傾向が見られた。」と記されている。

 なお、「思考力・判断力・表現力」等を問う「読解力や記述式の問題に課題があること」を示し、「読解表現力」の重視について検討されることとなった。この状況は、平成一八年においても続き、より低下していった。

 さらに、「教育内容に関する主な改善事項」として、各教科における「言語活動の充実」が要請され、国語をはじめとする言語は「知的活動(論理や思考)」だけではなく、「コミュニケーションや感性・情緒の基盤」でもあり、国語科では、これからの言語の果たす役割に応じ、的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、互いの立場や考えを尊重し、伝え合う能力を育成することや、我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむことを重視することを要請している。

 これからの読解表現力の育成についてはどのようにすればよいのか、その資料として文部科学省から「読解力向上に関する指導資料〜PISA調査(読解力)の結果分析と改善の方向〜」(平成一七年一二月)が刊行され、読む行為のプロセスとしては、単なる「テキストの中の情報の取り出し」だけではなく、書かれた情報から推論して意味を理解する「テキストの解釈」、書かれた情報を自らの知識や経験に位置づける「熟考・評価」の三つの観点を設定し、問題が構成されている。さらに出題形式は、選択問題のみならず、記述式問題も多く取り入れられており、テキストを単に読むだけではなく、テキストを利用したり、テキストに基づいて自分の意見を論じたりすることが求められている内容である。

 本書『読解表現力強化プログラム』〜習得力・活用力を育成する学習指導の開発〜は、これまでの「読解力」についての研究と実践を通してのみではなく、自らの研究、自らの授業を学び合い、各県ごとの月例会を通して実践研究会を行い、さらには各県持ち廻りによる全国研究大会を通して「これからの新しい国語実践について」討論し、パネルディスカッションしてきたもので、実践の論理・実践の活動を高め合った方々と共に、全六巻にまとめた。

 本書の構成はT序論、U提言、V・W授業実践例とし、「読解表現力強化プログラム」の課題を記述したものである。PISA学習におけるフィンランドの子どもたちの教科書にある五つの課題解決力となる「発想力」・「論理力」・「表現力」・「批判的思考力」・「コミュニケーション能力」を課題とし、自ら考え、自ら活動する学習への研究と実践に懸命に取り組んでいただいた成果を編者として期待するところである。

 小生の序においては、特に「読解表現力強化プログラムの授業」は、「目標・指導事項・言語活動の一体的関連を図ることを強調したこと」を述べておきたい。

 終わりに、本書の企画・編集等について、大変お世話になった明治図書の江部満編集長に感謝いたします。


  二〇〇九年五月   編著者 /須田 実

著者紹介

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1930年生まれ。群馬大学教育学部卒。公立,国立学校の教諭を経て,群馬県教育委員会義務教育課指導主事,前橋市立学校の校長,群馬県教育センターの部長,再び校長となり,退任後は前橋市教育研究所長,群馬女子短期大学講師に当たる。この間,文部省の学習指導要領作成協力者として,その任に当たる。現在は,「新しい国語実践の研究会」代表,「国語科授業方法研究会」主宰などに努め,国語力をつける実践的研究を継続している。2008年叙勲「瑞宝双光章」を受章する。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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