読解表現力強化プログラム 第1学年

読解表現力強化プログラム 第1学年

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実社会で生きて働く「読解表現力」の指導方法を提案

本書の「読解表現力強化プログラム」は、これまでの「読解力」の実践研究のみでなく、習得、活用力を育成する観点から各県ごとの月例研究会を通して実践の論理、実践の活動を高め合った人と共に、全6巻にまとめた。新しい課題に答えられる内容構成となった。


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PDF
ISBN:
978-4-18-331324-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 144頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
T 序論 読解表現力強化プログラム
――習得力・活用力を育成する学習指導の開発
一 新学習指導要領の「読解力」の要請課題
二 教育新時代を拓く「読解表現力の開発」
――PISA型読解力の国際化――
三 PISA型読解力の3目標・7能力
四 「読解表現力強化プログラム」の基本的学習計画の立案をする
五 読解にかかわる言語活動の重視
――対話・記録・報告・要約・説明・感想等の能力育成――
U 提言 読解表現力を高める学習指導
[1] 文章を正しく理解し、観点を決めて評価する子を育てる
一 一年生の読解表現力
二 一年生の読解表現力と学習活動
三 一年生の読解表現力の育成を目指すプログラム
[2] 「思考力・判断力・表現力」を身につけさせる文学的文章の指導のあり方
――音読・動作化・ふき出しを通して、場面を読み取る力を育てる――
一 正しく音読する
二 読み取ったことを動作化で表現する
三 場面の様子を想像して、より確かに人物の心情をとらえるためにふき出しに書く
[3] 説明力と物語力で読解表現力を強化する
――低学年は非言語も含め、理解と表現の螺旋的展開を楽しませること――
一 読解表現力は、表現力の育成
二 「読むこと」は、自己内対話の連続の中で成される
三 低学年らしさが生きる親和的読解表現力の強化を
四 文種と表現力の違いを意識して
五 説得力と説明力・物語力
六 低学年の説明力・物語力育成
V 実践 [論説文・説明文]
[1] 文章を理解・評価しながら読み、書き手の工夫を自分の表現に生かす
――「じどう車くらべ」(光村)――
[2] 説明的な文章を読んで学ぶ「内容」「読み方」「表し方
――「いろいろなくちばし」(光村)――
[3] 低学年における習得・活用をめざした学習
――読みを楽しい表現活動につなぐ学習を通して――「いろいろなふね」(東書)
[4] 言葉の働きを理解し、文型や文末表現を活用する力を
――身に付ける指導の工夫――「じどう車くらべ」(光村)
[5] 読書活動を生かして表現力を高める
――「はたらくじどう車」(教出)――
[6] 楽しみながら説明文を「読む」「書く」学習
――「じどう車くらべ」(光村)――
W 実践 [文学・生活文・その他]
[1] 紙芝居発表会を楽しもう
――「けんかした山」(教出)のリライト活動を通して――
[2] 読み取ったことを音読で伝える
――わたしたちも読み聞かせができるよ――「けんかした山」(教出)
[3] 「〜が〜する(になる)話」で離陸した表現をつくる
――「くじらぐも」(光村)の実践を通して――
[4] 登場人物の気持ちを読み深め、読書につなげるための工夫
――「おおきなかぶ」(教出)の指導を通して――
[5] 入門期における表現力育成の工夫
――登場人物の気持ちを想像して読もう――「おおきなかぶ」(学図)
[6] おはなしをたのしもう
――「たぬきの糸車」(光村)の型を生かした、創作物語作り――

まえがき

 今回の学習指導要領の改訂経緯として、PISA調査(読解力)の結果を踏まえた指導の改善が導入されており、教育の国際化時代を迎えたことを強く感じると共に、文部科学省の英断を歓迎するところである。

 文科省は、国立政策研究所の「教育課程実施状況調査」の「根拠を明確にしながら自分の考えや意見を述べる力」や「読んだ内容をもとに自分の考えを明確にして再構成する力」を育てる読解指導について提示し、中央教育審議会の「審議のまとめ」にも「読解力や記述式問題に課題があること」、「PISA調査の読解力の習熟度レベル別の生徒の割合において、前回調査(二〇〇〇年)と比較して、成績中位層が減り、低位層が増加しているなど成績分布の分散が拡大していることなどの低下傾向が見られた。」と記されている。

 なお、「思考力・判断力・表現力」等を問う「読解力や記述式の問題に課題があること」を示し、「読解表現力」の重視について検討されることとなった。この状況は、平成一八年においても続き、より低下していった。

 さらに、「教育内容に関する主な改善事項」として、各教科における「言語活動の充実」が要請され、国語をはじめとする言語は「知的活動(論理や思考)」だけではなく、「コミュニケーションや感性・情緒の基盤」でもあり、国語科では、これからの言語の果たす役割に応じ、的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、互いの立場や考えを尊重し、伝え合う能力を育成することや、我が国の言語文化に触れて感性や情緒をはぐくむことを重視することを要請している。

 これからの読解表現力の育成についてはどのようにすればよいのか、その資料として文部科学省から「読解力向上に関する指導資料〜PISA調査(読解力)の結果分析と改善の方向〜」(平成一七年一二月)が刊行され、読む行為のプロセスとしては、単なる「テキストの中の情報の取り出し」だけではなく、書かれた情報から推論して意味を理解する「テキストの解釈」、書かれた情報を自らの知識や経験に位置づける「熟考・評価」の三つの観点を設定し、問題が構成されている。さらに出題形式は、選択問題のみならず、記述式問題も多く取り入れられており、テキストを単に読むだけではなく、テキストを利用したり、テキストに基づいて自分の意見を論じたりすることが求められている内容である。

 本書『読解表現力強化プログラム』〜習得力・活用力を育成する学習指導の開発〜は、これまでの「読解力」についての研究と実践を通してのみではなく、自らの研究、自らの授業を学び合い、各県ごとの月例会を通して実践研究会を行い、さらには各県持ち廻りによる全国研究大会を通して「これからの新しい国語実践について」討論し、パネルディスカッションしてきたもので、実践の論理・実践の活動を高め合った方々と共に、全六巻にまとめた。

 本書の構成はT序論、U提言、V・W授業実践例とし、「読解表現力強化プログラム」の課題を記述したものである。PISA学習におけるフィンランドの子どもたちの教科書にある五つの課題解決力となる「発想力」・「論理力」・「表現力」・「批判的思考力」・「コミュニケーション能力」を課題とし、自ら考え、自ら活動する学習への研究と実践に懸命に取り組んでいただいた成果を編者として期待するところである。

 小生の序においては、特に「読解表現力強化プログラムの授業」は、「目標・指導事項・言語活動の一体的関連を図ることを強調したこと」を述べておきたい。

 終わりに、本書の企画・編集等について、大変お世話になった明治図書の江部満編集長に感謝いたします。


  二〇〇九年五月   編著者 /須田 実

著者紹介

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1930年生まれ。群馬大学教育学部卒。公立,国立学校の教諭を経て,群馬県教育委員会義務教育課指導主事,前橋市立学校の校長,群馬県教育センターの部長,再び校長となり,退任後は前橋市教育研究所長,群馬女子短期大学講師に当たる。この間,文部省の学習指導要領作成協力者として,その任に当たる。現在は,「新しい国語実践の研究会」代表,「国語科授業方法研究会」主宰などに努め,国語力をつける実践的研究を継続している。2008年叙勲「瑞宝双光章」を受章する。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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