平成29年版
小学校新学習指導要領の展開 家庭編

平成29年版小学校新学習指導要領の展開 家庭編

大改訂された学習指導要領本文の徹底解説と豊富な授業例

改訂に携わった著者等による新学習指導要領の各項目に対応した厚く、深い解説と、新学習指導要領の趣旨に沿った豊富な授業プラン・授業改善例を収録。圧倒的なボリュームで、校内研修から研究授業まで、この1冊で完全サポート。学習指導要領本文を巻末に収録。


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ISBN:
978-4-18-328516-4
ジャンル:
学習指導要領・教育課程技術・家庭
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 160頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年10月16日

Contents

もくじの詳細表示

はじめに
序章 家庭科改訂のキーポイント
1 改訂の経緯と基本方針
2 改訂のポイント解説
1章 「第1 目標」のポイントと解説
1 家庭科で育成を目指す資質・能力
2 家庭科における見方・考え方
2章 「第2 各学年の内容」のポイントと解説
1 内容構成のポイント
A 家族・家庭生活
2 「家族・家庭生活」の内容のポイント
3 「自分の成長と家族・家庭生活」の内容のポイント
4 「家庭生活と仕事」の内容のポイント
5 「家族や地域の人々との関わり」の内容のポイント
6 「家族・家庭生活についての課題と実践」の内容のポイント
B 衣食住の生活
7 「衣食住の生活」の内容のポイント
8 「食事の役割」の内容のポイント
9 「調理の基礎」の内容のポイント
10 「栄養を考えた食事」の内容のポイント
11 「衣服の着用と手入れ」の内容のポイント
12 「生活を豊かにするための布を用いた製作」の内容のポイント
13 「快適な住まい方」の内容のポイント
C 消費生活・環境
14 「消費生活・環境」の内容のポイント
15 「物や金銭の使い方と買物」の内容のポイント
16 「環境に配慮した生活」の内容のポイント
3章 「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」のポイントと解説
1 主体的・対話的で深い学びの実現
2 授業時数の配当及び履修学年
3 題材構成と指導計画
4 障害のある児童への指導の工夫
5 道徳教育との関連
6 言語活動の充実
7 ICT活用とプログラミング教育
8 実践的・体験的な活動の充実
9 個に応じた指導の充実
10 家庭や地域との連携
11 実習の指導における配慮点
4章 家庭科の新授業プラン
A 家族・家庭生活
自分の成長と家族・家庭生活1 家族との生活を見直してみよう!
家庭生活と仕事2 見直そう 家族の仕事と生活時間
家族や地域の人々との関わり3 ありがとう 大好き わたしの家族・わたしたちの地域
家族・家庭生活についての課題と実践4 みんなに届け! 「ありがとう」の気持ち
B 衣食住の生活
食事の役割/調理の基礎/栄養を考えた食事5 見直そう! 毎日の食事
衣服の着用と手入れ6 気持ちよく生活しよう―夏を快適に過ごそう
生活を豊かにするための布を用いた製作7 作ろう 修学旅行で使う便利なマイバッグ
快適な住まい方8 冬でも安心 我が家のあったかエコライフ
C 消費生活・環境
物や金銭の使い方と買物9 目指そう 買物名人
環境に配慮した生活10 実践! 我が家のエコ生活
付録 小学校学習指導要領 第2章 家庭
執筆者紹介

はじめに

 平成20年告示の学習指導要領は,平成18年改正の教育基本法及びそれに伴う平成19年改正の学校教育法を踏まえて改訂されている。改正教育基本法において,義務教育の目的が明確に示されたことから,小学校,中学校の内容の体系化が図られ,家庭科では,小学校,中学校ともにABCDの四つの内容のまとまりで構成され,五年間を通して,基礎的・基本的な知識及び技能の定着を図る考え方が示されている。また,学校教育法における義務教育の目標を受けて,小学校家庭科の目標には,「家庭生活を大切にする心情を育み」の文言が新たに組み込まれ,家庭科教育関係者の間で様々な議論が交わされた。さらに,学校教育法の第30条の2項に学力の3要素が明示されたことから,各教科において課題を解決するために「思考力,判断力,表現力等」の活用する力を育むことが求められることとなった。


 こうした前回改訂によって示された教育課程を検証するために,平成24年度学習指導要領実施状況調査が行われている。その結果によると,小学校家庭科については,「家庭科の学習をすれば,ふだんの生活や社会に出て役立つ」,「家庭科の学習は,調理や製作など生活に必要な力をつけるために役立つ」などの項目において肯定する割合が高く,家庭科の学習への関心や有用感などについては一定の成果が見られている。

 しかしながら,科学技術の発展によって人々の生活は便利で豊かになったものの,少子高齢化の進展や女性の就業率の増加などに伴って,家族のライフスタイルが多様化をきわめていることから,家族の一員として協力することについて児童の関心が低いこと,さらには,家族や地域の人々と関わることや家庭での実践が十分ではないことなどが明らかになっている。加えて,家庭による経済格差が顕在化し,家庭や地域の教育力が著しく低下する状況の中にあって,児童の生活体験の不足や食生活をはじめとする基本的生活習慣の乱れ,サービス化の進展に伴う消費生活の変化など,家庭科の学習と係わって,様々な問題が指摘されている。さらに,前回改訂で注目された,基礎的・基本的な知識及び技能を活用して生活の課題を解決する能力を身に付けることについても,内容のまとまりそれぞれに課題が指摘されている。


 このような状況を踏まえ,平成28年12月の中教審答申では,小学校家庭科について,児童が家族や地域の一員であることを自覚できるように,地域の人材や関係機関等との連携を図りつつ,人と関わる活動を充実すること,食育を一層推進すること,資源や環境に配慮したライフスタイルの基礎を身に付けることなどが示されている。また,生活の科学的な理解を深めて思考の質を高め,基本的な理解を図るとともに,それらに係る技能を定着させ,身に付けた基本的な力を活用して生活の課題を解決する問題解決的な学習を体系的に進め,一層充実させることによって,グローバル化や少子高齢社会の進展,持続可能な社会の構築等,今後の社会の急激な変化に主体的に対応することが求められている。


 新たな家庭科への期待を担う改訂学習指導要領は,移行措置を経て,平成32年4月1日より全面実施となり,新たな教育がスタートする。大改訂と言われる今回の改訂は,教師にとっては,年代を問わず,期待と併せて戸惑いも大きいと予想される。子供たちの新しい学びをいち早く質の高い確かなものにするために,本書のコンパクトかつ易しい解説及び具体的な新授業プランが,小学校教育に関係する方々に,今回の改訂のねらいや目指すべき方向を適切にご理解いただくための一助となれば幸いである。


  平成29年10月   /長澤 由喜子

著者紹介

長澤 由喜子(ながさわ ゆきこ)著書を検索»

江南女子短期大学,桜の聖母短期大学勤務を経て昭和63年4月に岩手大学教育学部に赴任。その後,平成8年より岩手大学教育学部教授,平成28年3月に定年退職,平成28年6月岩手大学名誉教授。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会技術・家庭WG委員,小学校学習指導要領解説 家庭編 作成協力者。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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