- 監修の言葉
- はじめに
- 第1章 中学校 通級指導教室担当の仕事の心得
- 01 子どもの声を取り入れる
- 02 学級担任と子どもをつなぐ
- 03 保護者と子どもを取り持つ
- 第2章 中学校 通級指導教室担当の指導スキル
- 学校生活サバイバル支援スキル
- 01 4月 入学式に参加するために予行練習をする
- 02 4月 通級ガイダンスで援助の求め方を教える
- 03 4月 全ての生徒が修学旅行を楽しめるようにする
- 04 5月 保護者会&担任者会 生徒のためにみんなで協働する
- 05 5月 個別の指導計画を立案する
- 06 5月 「学びのカルテ」を子どもと作る
- 07 6月 宿泊行事に向けて準備する(1年生)
- 08 6月 定期テストの対策をする
- 09 6月 テストの受け方を一緒に考える
- 10 6月 提出物が出せるように課題の量を調整する
- 11 7月 宿泊行事に向けて準備する(2年生)
- 12 7月 職場体験学習に安心して参加する
- 13 9月 体育祭から不安をなくす
- 14 10月 前期の振り返りをする
- 15 10月 今までの保護者面談の在り方を見直す
- 16 11月 学びのカルテを修正する
- 17 11月 後期の目標を設定する
- 18 11月 音楽会事前学習で見通しが持てるようにする
- 19 12月 受験勉強を計画的に進められるようにする(3年生)
- 20 1月 入試面接ノートを使って面接練習をする(3年生)
- 21 2月 受験書類の作成手順を詳しく提示する(3年生)
- 22 3月 高校進学ガイダンスをする(3年生)
- 各教科のアイディア教材スキル
- 23 国語 自分に合った方法で漢字練習をする
- 24 国語 硬筆で失敗させないようにする
- 25 国語 書き初めで自信を回復する
- 26 数学 正負の数の計算を通級方式で解けるようにする
- 27 数学 一次関数のグラフが書けるようにする
- 28 数学 作図アイテムを準備する
- 29 社会 47都道府県を完全攻略する
- 30 社会 歴史上の人物はイラストで解説する
- 31 理科 実験の予習プリントを作成する
- 32 理科 ガイド付きプリントを作成する
- 33 理科 元素記号の覚え方を工夫する
- 34 英語 ルビ付き教科書でペアワークができるようにする
- 35 英語 自分に合った記憶方法を記録する
- 36 音楽 アルトリコーダーを演奏できるようにする
- 37 音楽 合唱の練習で友達と声を合わせる
- 38 保健体育 長距離走で自分に合ったペースを見つける
- 39 保健体育 ダンスの練習に参加できるようにする
- 40 美術 課題が提出できるようにする
- 41 技術・家庭 調理実習に参加できるようにする
- 42 技術・家庭 ミシンを扱えるようにする
- 自尊感情を高めるスキル
- 43 自分のことを知ろう@ 無理しないやることリストを活用する
- 44 自分のことを知ろうA トリセツを使って行動の意味を説明する
- 45 自分のことを知ろうB 自分のいいところを研究する
- 46 自分のことを知ろうC 感覚過敏について学び共感する
- 47 自分のことを知ろうD 自分に合った学び方を検討する
- 48 気持ちのこと@ ぷるすあるはの教材を使って気持ちを可視化する
- 49 気持ちのことA マイフェイバリットブックで一人時間を楽しむ
- 50 コミュニケーション@ 話し合い場面でSOSを出せるようにする
- 51 コミュニケーションA コミック会話,ソーシャルストーリーを活用する
- 52 コミュニケーションB 会話に入りやすくする
- 53 相談する・助けてもらう@ 忘れ物と上手に付き合う
- 54 相談する・助けてもらうA いじめかもしれない報告書を作成する
- 55 相談する・助けてもらうB ミライノートで自分の未来を切り開く
- 56 相談する・助けてもらうC 子どもの権利条約を学び,自分の権利を守る
- 57 教室レイアウト・備品等 学校の中に安心・安全な居場所を作る
- コラム 個別の教育支援計画・個別の指導計画・学びのカルテ どう関連しているの?
- 参考文献
監修の言葉
今回,本書の監修を担当させていただきました。「監修」と名前の付くような恐れ多い仕事ではなく,三富先生の歩みを皆様に伝えるためにほんの少し協力させていただいた形です。三富先生は私の尊敬する通級指導教室の(特に中学校では)パイオニアであり,スペシャルな先生であり,通級指導教室の専門性を独自のスタイルで確立された先生です。初めて三富先生とお話しさせていただいた時は「目から鱗」でした。過去を補填するための通級指導ではなく,未来を創造するための通級指導教室とはどうあるべきかを実践し体現されている先生だと確信しました。
まず,本書を通じて通級指導教室の仕事がいかに素晴らしいものであるか,ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。ついで,「中学校時代」というライフステージの一つの中で通級指導教室がどのように位置付いているのかを考えていただけると幸いです。一つ重要な点は三富先生のやり方・方法をそのまま模倣しても(当たり前ですが)よい結果は得られないということです。通級指導教室も学校における子どもの幸せを実現するためのリソース(資源)の一つであり,それぞれの地域,また一人一人の児童・生徒によって求められるものは異なるからです。学校は医療や療育の現場ではありません。ぜひ,この本を通じて(特に通級指導の先生におかれましては)方法の前提として存在する「コンセプト」に目を向けていただき,まず,その地域その場所に応じた通級指導の在り方を考える材料にされることをおすすめします。
通級指導教室にはそれこそ地域性や学校の事情も含めて様々な役割が求められますが,「教育の現場」であることが大前提にあることは言うまでもありません。方法論だけをなぞるのではなく,実際にその場で三富先生が発揮されてきた「思想」「思考」「実践力」を読み取っていただき,読まれた方が抱える教育現場とその現状に照らし合わせて活用されることを願っています。
通級指導教室は,日々刻々と変わりうる教育課題に即応できる重要な教育リソースの一つであると確信しています。換言すれば「その学校の通級指導教室の在り方を見れば,学校の(特に管理職の)特別支援教育やインクルーシブ教育の考え方が分かる(その考えが反映される)」と言っても過言ではありません。残念ながら,その大事なリソースを特別支援学校あるいは特別支援学級と通常の学級の間の安全弁かのような位置付けにしてしまっているところもあります。通級指導教室の神髄は明日の教育に資するところにあって,うまくいかない教育制度を補完する,過去を補填するものではありません。一人でも多くの方にその点に気付いていただければと願っています。
三富先生の歩まれた足跡が「三富先生独自のスタイル」から「(中学校通級指導の在り方として)一般化された一つのスタイル」となることを願ってやみません。きっと三富先生自身も「○○先生だからできる」はお好きではないと思います。当たり前のこととして子どもの権利が守られ,通級指導教室が学校全体の特別支援教育やインクルーシブ教育を示す指針となり,学校全体の見本となりうる,教育資源であろうとされた結果である,と私はこの本を読んで感じました。
最後に,学習面の躓きはライフステージが上がるにつれてその原因は多様化し,一人一人の困り感とその背景に応じてオーダーメイドな取り組みが必要となります。「学習の困り感」だけでなく学習への自信の喪失が学校生活全般に及ぼす二次的影響を念頭に置いておく必要があります。中学校,また高校通級が真に子どもたちにとって資する教育資源としてより一層発展することを願ってやみません。
監修者 /川ア 聡大
著者のX(旧Twitter)をいつも拝見していました。具体的にどんな支援をされているのか気になっていました。
できない事を子どものせいにせず、どうすればできるようになるのかを一緒に考える、支援者にできる事を考えていく、という著者の姿勢に改めて感銘を受けました。
また、中学校に入ったら、どんな生活が待っているのか、親として見通しを持つことができました。
すぐに息子の支援に実践できそうな内容がたくさんあります。入学する学校の先生のルールとお考え、息子の希望を聴いて、焦らずに貴著を活用していこうと思います。
ありがとうございました。
「この子はこういう点が苦手ですが、得意な点は〇〇です」といったように、先生方と面談する際に役立つことがたくさん記載されており、ありがたく思いました。こどもは普通級に在籍しておりますが、先生方と協働してこどもが安心して過ごせるように頑張って行きます。