[中学校]通級指導教室担当の仕事スキル
「学びの保健室」となり生徒に自信を育むコツ

[中学校]通級指導教室担当の仕事スキル「学びの保健室」となり生徒に自信を育むコツ

重版出来

好評2刷

「勉強ができなくてもいい」と思っている子は一人もいない!

中学校通級指導のパイオニアでありスペシャリストな著者が行ってきた、苦手さがある思春期・生徒への指導の数々をアイデアいっぱいに紹介した。その子にあった学び方を追求するだけではなく、自尊心を高め、自己理解を促す指導はまさに生き方支援へとつながっていく。


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PDF
ISBN:
978-4-18-321931-2
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2刷
対象:
中学校
仕様:
A5判 144頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年10月8日

CONTENTS

もくじの詳細表示

監修の言葉
はじめに
第1章 中学校 通級指導教室担当の仕事の心得
01 子どもの声を取り入れる
02 学級担任と子どもをつなぐ
03 保護者と子どもを取り持つ
第2章 中学校 通級指導教室担当の指導スキル
学校生活サバイバル支援スキル
01 4月 入学式に参加するために予行練習をする
02 4月 通級ガイダンスで援助の求め方を教える
03 4月 全ての生徒が修学旅行を楽しめるようにする
04 5月 保護者会&担任者会 生徒のためにみんなで協働する
05 5月 個別の指導計画を立案する
06 5月 「学びのカルテ」を子どもと作る
07 6月 宿泊行事に向けて準備する(1年生)
08 6月 定期テストの対策をする
09 6月 テストの受け方を一緒に考える
10 6月 提出物が出せるように課題の量を調整する
11 7月 宿泊行事に向けて準備する(2年生)
12 7月 職場体験学習に安心して参加する
13 9月 体育祭から不安をなくす
14 10月 前期の振り返りをする
15 10月 今までの保護者面談の在り方を見直す
16 11月 学びのカルテを修正する
17 11月 後期の目標を設定する
18 11月 音楽会事前学習で見通しが持てるようにする
19 12月 受験勉強を計画的に進められるようにする(3年生)
20 1月 入試面接ノートを使って面接練習をする(3年生)
21 2月 受験書類の作成手順を詳しく提示する(3年生)
22 3月 高校進学ガイダンスをする(3年生)
各教科のアイディア教材スキル
23 国語 自分に合った方法で漢字練習をする
24 国語 硬筆で失敗させないようにする
25 国語 書き初めで自信を回復する
26 数学 正負の数の計算を通級方式で解けるようにする
27 数学 一次関数のグラフが書けるようにする
28 数学 作図アイテムを準備する
29 社会 47都道府県を完全攻略する
30 社会 歴史上の人物はイラストで解説する
31 理科 実験の予習プリントを作成する
32 理科 ガイド付きプリントを作成する
33 理科 元素記号の覚え方を工夫する
34 英語 ルビ付き教科書でペアワークができるようにする
35 英語 自分に合った記憶方法を記録する
36 音楽 アルトリコーダーを演奏できるようにする
37 音楽 合唱の練習で友達と声を合わせる
38 保健体育 長距離走で自分に合ったペースを見つける
39 保健体育 ダンスの練習に参加できるようにする
40 美術 課題が提出できるようにする
41 技術・家庭 調理実習に参加できるようにする
42 技術・家庭 ミシンを扱えるようにする
自尊感情を高めるスキル
43 自分のことを知ろう@ 無理しないやることリストを活用する
44 自分のことを知ろうA トリセツを使って行動の意味を説明する
45 自分のことを知ろうB 自分のいいところを研究する
46 自分のことを知ろうC 感覚過敏について学び共感する
47 自分のことを知ろうD 自分に合った学び方を検討する
48 気持ちのこと@ ぷるすあるはの教材を使って気持ちを可視化する
49 気持ちのことA マイフェイバリットブックで一人時間を楽しむ
50 コミュニケーション@ 話し合い場面でSOSを出せるようにする
51 コミュニケーションA コミック会話,ソーシャルストーリーを活用する
52 コミュニケーションB 会話に入りやすくする
53 相談する・助けてもらう@ 忘れ物と上手に付き合う
54 相談する・助けてもらうA いじめかもしれない報告書を作成する
55 相談する・助けてもらうB ミライノートで自分の未来を切り開く
56 相談する・助けてもらうC 子どもの権利条約を学び,自分の権利を守る
57 教室レイアウト・備品等 学校の中に安心・安全な居場所を作る
コラム 個別の教育支援計画・個別の指導計画・学びのカルテ どう関連しているの?
参考文献

監修の言葉

 今回,本書の監修を担当させていただきました。「監修」と名前の付くような恐れ多い仕事ではなく,三富先生の歩みを皆様に伝えるためにほんの少し協力させていただいた形です。三富先生は私の尊敬する通級指導教室の(特に中学校では)パイオニアであり,スペシャルな先生であり,通級指導教室の専門性を独自のスタイルで確立された先生です。初めて三富先生とお話しさせていただいた時は「目から鱗」でした。過去を補填するための通級指導ではなく,未来を創造するための通級指導教室とはどうあるべきかを実践し体現されている先生だと確信しました。

 まず,本書を通じて通級指導教室の仕事がいかに素晴らしいものであるか,ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。ついで,「中学校時代」というライフステージの一つの中で通級指導教室がどのように位置付いているのかを考えていただけると幸いです。一つ重要な点は三富先生のやり方・方法をそのまま模倣しても(当たり前ですが)よい結果は得られないということです。通級指導教室も学校における子どもの幸せを実現するためのリソース(資源)の一つであり,それぞれの地域,また一人一人の児童・生徒によって求められるものは異なるからです。学校は医療や療育の現場ではありません。ぜひ,この本を通じて(特に通級指導の先生におかれましては)方法の前提として存在する「コンセプト」に目を向けていただき,まず,その地域その場所に応じた通級指導の在り方を考える材料にされることをおすすめします。


 通級指導教室にはそれこそ地域性や学校の事情も含めて様々な役割が求められますが,「教育の現場」であることが大前提にあることは言うまでもありません。方法論だけをなぞるのではなく,実際にその場で三富先生が発揮されてきた「思想」「思考」「実践力」を読み取っていただき,読まれた方が抱える教育現場とその現状に照らし合わせて活用されることを願っています。

 通級指導教室は,日々刻々と変わりうる教育課題に即応できる重要な教育リソースの一つであると確信しています。換言すれば「その学校の通級指導教室の在り方を見れば,学校の(特に管理職の)特別支援教育やインクルーシブ教育の考え方が分かる(その考えが反映される)」と言っても過言ではありません。残念ながら,その大事なリソースを特別支援学校あるいは特別支援学級と通常の学級の間の安全弁かのような位置付けにしてしまっているところもあります。通級指導教室の神髄は明日の教育に資するところにあって,うまくいかない教育制度を補完する,過去を補填するものではありません。一人でも多くの方にその点に気付いていただければと願っています。

 三富先生の歩まれた足跡が「三富先生独自のスタイル」から「(中学校通級指導の在り方として)一般化された一つのスタイル」となることを願ってやみません。きっと三富先生自身も「○○先生だからできる」はお好きではないと思います。当たり前のこととして子どもの権利が守られ,通級指導教室が学校全体の特別支援教育やインクルーシブ教育を示す指針となり,学校全体の見本となりうる,教育資源であろうとされた結果である,と私はこの本を読んで感じました。


 最後に,学習面の躓きはライフステージが上がるにつれてその原因は多様化し,一人一人の困り感とその背景に応じてオーダーメイドな取り組みが必要となります。「学習の困り感」だけでなく学習への自信の喪失が学校生活全般に及ぼす二次的影響を念頭に置いておく必要があります。中学校,また高校通級が真に子どもたちにとって資する教育資源としてより一層発展することを願ってやみません。


   監修者 /川ア 聡大

著者紹介

川ア 聡大(かわさき あきひろ)著書を検索»

立命館大学産業社会学部 人間福祉専攻 教授

三富 貴子(みとみ たかこ)著書を検索»

埼玉県熊谷市立富士見中学校発達障害・情緒障害通級指導教室担当

特別支援教育士,公認心理師

平成27年度 埼玉県優秀な教職員(はつらつ先生)表彰

平成28年度 文部科学大臣優秀教職員表彰

平成19年度から21年度まで,文部科学省指定研究開発学校(特別支援教育)の研究に携わる

平成19年度から埼玉県公立中学校で初めて設置された発達障害・情緒障害通級指導教室の担当者となる

通級開設以来「自分らしい学び方を追求する通級」を目指し,学ぶことを諦めさせない指導を続けている

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • 三富先生をTwitterでフォローしているので、その教えが冊子になって手元に置ける!と思い購入しました。通級から要望しても学年から受け入れてもらいにくいこと(課題の量の調整など)も、書籍で例として載っていることで、受け入れてもらえる一助となると思います。生活面、学習面共にすぐに役立つ情報満載です。
      2024/3/2950代・中学校教員
    • 公立中学校、特別支援学級に入学予定の母です。
      著者のX(旧Twitter)をいつも拝見していました。具体的にどんな支援をされているのか気になっていました。
      できない事を子どものせいにせず、どうすればできるようになるのかを一緒に考える、支援者にできる事を考えていく、という著者の姿勢に改めて感銘を受けました。
      また、中学校に入ったら、どんな生活が待っているのか、親として見通しを持つことができました。
      すぐに息子の支援に実践できそうな内容がたくさんあります。入学する学校の先生のルールとお考え、息子の希望を聴いて、焦らずに貴著を活用していこうと思います。
      ありがとうございました。
      2024/3/2640代 保護者
    • 発達障害を持つ中学生の母です。対人トラブル、SOSを出しにくいなどの問題点が出ており、不登校になりかけていました。
      「この子はこういう点が苦手ですが、得意な点は〇〇です」といったように、先生方と面談する際に役立つことがたくさん記載されており、ありがたく思いました。こどもは普通級に在籍しておりますが、先生方と協働してこどもが安心して過ごせるように頑張って行きます。
      2024/3/2340代・女性
    • 著者のX(旧Twitter)にいつも感銘を受けています。自分は小学校の通級指導教室担当ですが、今後ニーズはますます増えていくであろう中で、指南書となる本を探していました。かつて似たような本も購入し、読んだことがありますが、形式的な気がしていました。血の通った言葉に納得と尊敬を感じました。
      2024/3/1740代・小学校教員
読者アンケート回答でもれなく300円分のクーポンプレゼント!

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