中学校新国語科の展開1
活用型の国語科授業づくり 中学校編

中学校新国語科の展開1活用型の国語科授業づくり 中学校編

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「活用型の国語科授業づくり」のための実践現場からの提案

活用型の学びの授業をどう創るか、PISA調査の示唆を生かし、活用型の国語教室経営を進める。活用型の学びと思考力、判断力、表現力の育成を図り、活用型の学びの評価をどう工夫するか実践で解明。さらに活用型国語科授業の展開例を多様な実践事例で解明。


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ISBN:
978-4-18-321124-8
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 132頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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序 /巳野 欣一
まえがき
T 活用型の学びを創る
一 今求められる活用型の学び
1 今、求められる「活用」と「活用型」の学び
2 「活用」という用語
3 活用の場をどこに求めるか
二 PISA調査の示唆するもの
1 PISA調査の結果
2 OECDのキーコンピテンシー
三 活用型の国語教室を創る
1 これまでの国語教室経営を見直す
2 教師主導型・受容型の国語科授業の改善
3 活用型の国語教室経営を進める
四 実の場と結び活用を図る
1 活用の場を求めて
2 総合的な学習での活用
3 国語科からの発信
五 活用型の学びと思考力・判断力・表現力の育成
1 思考力・判断力・表現力
2 思考力の育成
3 判断力、表現力の育成
六 活用型の学びの評価
1 活用型の学びの評価
2 自己評価・相互評価の重視
3 診断的評価・形成的評価の位置づけ
4 多様な評価方法の工夫
5 継続的・長期的評価の位置づけ
6 定期テストの内容改善
七 基礎・基本の着実な習得と自在な活用
1 基礎・基本を着実に
2 習得―活用―探究のつながりを生かして
3 着実な習得と自在な活用
U 活用型国語科授業の展開
一 学習ノートを核にした活用型授業
―各学年でのノート指導―
1 学びをつくるノート
2 入門期からの継続的なノート指導
3 ノートの駆使と学習者の成長
二 活用を位置づけ主体的な読み手を育てる
―「自然の小さな診断役」(一年)―
1 活用を重視した説明的文章の授業
2 各段階の学習指導のねらいと指導の概要
3 学習指導の実際
4 初任者にもできる活用型授業
三 小説風に書く
―「盆土産」・「父のようにはなりたくない」(二年)―
1 単元設定のねらい
2 単元の概要
3 学習指導の実際
4 活用を通して読みを深める
四 地域単元での読み書き関連学習で活用型学力を育てる
―「世界遺産を考える」(三年)―
1 地域単元編成の意図
2 学校行事と結んだ自主編成単元
3 自主編成単元「世界遺産を考える」の概要
4 学習指導の実際
5 社会参加のある学習を
五 発表を位置づけた活用型古典学習
―「平家物語・敦盛の最期」(二年)・「枕草子・春はあけぼの」(三年)―
1 古典学習にこそ活用の場を
2 実践1「平家物語・敦盛の最期」
3 実践2「枕草子・春はあけぼの」
六 実の場で活用させるインタビュー学習
―「漁家訪問」(二年)―
1 実の場での活用
2 インタビューに関わる聴く力(試案)
3 実践の概要
4 学習指導の実際
5 人そのものからの学びを支える活用力
七 基礎・基本の習得とその活用
―「よりよい話し合いをするために」(一年)―
1 話す力・聴く力を育てるための教科外活動との連携
2 生徒会活動と結んだ話すこと・聴くことの指導
3 活用の場を見据えた基礎・基本の学習
4 活用の場での学習者の成長と、学びの継続
八 辞典づくりを出口にした活用型語彙指導
―「類義語辞典」をつくろう(二年)―
1 実践のねらい
2 学習目標と学習計画および評価
3 学習指導の実際
九 「卒業論文」と結んだ表現指導
―各学年での書くことの指導―
1 「卒業論文」を出口にした重点的指導計画
2 記述力の基盤としてのノート指導
3 基礎・基本としての説明文の指導
4 説得力を育成する意見文の指導
5 論文作成に向けてのレポートの指導
6 学びの総決算としての「卒業論文」の作成
主要参考文献
あとがき

 平成二〇年三月公示の新学習指導要領への対応として、新学年度の四月から移行期間に入る段階を迎えている。この度の改訂で新たに提唱された事項の中の一つに「活用」の重視、「活用型授業」の開発がある。この提起を受け止めて理解し、具体的な教育活動を実践し、学習者に生きて働く言語運用能力を育成するためにはいくつかの解明すべき課題の検討が必要と考えられる。

 戦後の新しい教育の発足以来既に六〇有余年を経過している。この間に取り組んできた中学校国語科教育の足跡と成果を踏まえ、将来を見通し、望ましいあり方を志向し、率直な反省に基づく問題点の改善のための実践的方途を検討提示する意義は大きい。とはいえ、物事の変革の過渡期における言説の傾向として、課題に対する意識、関心の強弱、受け止め方の差異、示される考察、解決策の提示の異なりも認められる現状である。たゆまぬ探究心と豊かな実践力を備える著者の提起する報告に接してみよう。

 本書は、「T 活用型の学びを創る」、「U 活用型国語科授業の展開」の二部に構成されている。

 Tは主として指導理論を展開する。「まえがき」によると、本書で扱う「活用」「活用型授業」の意味についてまず次の第三期教育課程部会の審議による「教育内容の改善」(平成一九年一月)、改正学校教育法(平成一九年六月)および今回の改訂学習指導要領総則「教育課程編成の一般方針」(平成二〇年三月)の文言を引用し、諸説を検討の結果、「活用」を「言語活動」であるとともに「能力」ととらえ、従来の学力観を改め、学びのあり方を変革することの意義を強調する。次いで国語教室での活用型の学びの内容、方途に関わる論点をPISA調査の結果の示唆も視野に入れ、二節以下にていねいに解説を進めている。

 Uは著者が生徒と共に築いた実践事例九編を提示している。教科国語の基礎・基本の着実な習得の学習と、教科内はもとより教科外の多様な目的の達成に資する活用の実の場での自在な活動の報告である。その内容と言語活動は、生徒の学校生活の必要、目的、相手、場に応ずるための適切な知識、態度、技能の習得と運用力の習熟育成であるから当然多岐にわたる。教科国語の話す・聞く、書く、読む、伝統的な言語文化・国語の特質の事項の言語活動、他教科、道徳、総合的な学習、特別教育活動などの内容、学習活動とも連携している。また、必要により調べる活動で図書館の利用、地域の探訪活動にも及んでいる。

 ところで、ここに示された事例の原形は「あとがき」によればかなり以前に行われ報告されている。今回の集録にあたり「活用・活用型授業」への意識を高め、読者の理解の便宜を考慮し、追実践を経たり、強調点を明らかにしたりして大幅に手を加えたうえ提示されている。つまり、著者はPISA調査の結果声高に不足や低下を指摘された理解力や表現力の育成指導、コミュニケーション能力の育成指導を既に国語科の共同研究課題として地道に継続実践を重ね、成果を国語力向上モデル事業報告書(二〇〇五年)にまとめ公刊してきた。また、勤務校の学校研究の「特別教育活動」や「総合的な学習」に寄与する多様な言語活動の指導の成果も『学力がつく総合的な学習の構築』(二〇〇四年・明治図書)に明らかである。

 今後の活用型授業の開発には、各学校の実態に即して理解、表現の「年間指導計画」を吟味点検し、育成する活用能力を明確にとらえた単元を構成し、適切な学年段階に位置づけ、実践を強化されたい。

 結びにあたり「中学校新国語科の展開」に本書を収め著者の積み上げてきた実践的研究の成果を広く世に問う機会を与えてくださった江部満氏のご高配に心から御礼申し上げる次第である。


  二〇〇九年六月   /巳野 欣一

著者紹介

植西 浩一(うえにし こういち)著書を検索»

1955年,大阪府生まれ。

奈良教育大学大学院修士課程修了。

奈良県生駒市立生駒北中学校教諭を経て,現在,奈良教育大学附属中学校教諭。2008年4月より奈良教育大学教職大学院講師を併任。

全国大学国語教育学会,日本国語教育学会,日本国際理解教育学会,国語教育実践理論研究会会員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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