- まえがき
- 1章 AI時代の子どもたちに育てたいソーシャルスキルとは?
- 1 ソーシャルスキルとは?
- 2 現代の小学生の課題と必要なソーシャルスキル
- 3 SSTを現場のカリキュラムにどのように導入するか
- 4 家庭・学校・地域との連携
- 2章 これだけは,徹底したいターゲットスキル
- 1 あいさつのスキル
- 相手や場面に合わせて考えよう
- 2 自己紹介のスキル
- 自分を知って,伝えよう
- 3 コミュニケーション:話すスキル
- 自分の伝えたいことを相手にわかるように伝えよう
- 4 コミュニケーション:聴く・質問するスキル
- 相手が話しやすい聞き方をしよう
- 5 あたたかい言葉をかけるスキル
- 気持ちを伝えて,つながる心
- 6 上手に断るスキル
- 自分の気持ちも相手の気持ちも大切にしながら伝えよう
- 7 やさしく頼むスキル
- 適切な言葉で伝えよう
- 8 ストレスに対処するスキル
- 自分に合った対処方法をたくさん見つけよう
- 9 感情を理解するスキル
- 相手の気持ちに気づくために
- 10 感情を表現するスキル
- 気持ちを適切に表そう
- 11 感情に対処するスキル
- 気持ちを深く理解し,調整しよう
- 12 謝るスキル
- 気持ちの伝わる「ごめんね」を言おう
- 13 仲間とつながるスキル
- あたらしいナカマ,ゲットしよう
- 14 自分を大切にするスキル
- 強みを知って自分に自信を持とう
- 15 助けを求めるスキル
- 「手伝ってほしい!」から「相談したいことがあるんだけど…」まで
- 16 感謝を伝えるスキル
- より良い伝え方を身につけよう
- 17 SNSによるコミュニケーションスキル
- 「チャット名人」になる
- 18 計画を実行するスキル
- やる気のスイッチを入れよう
- 19 問題解決スキル
- 自分の考え方と気持ちに気づいて,トラブルを解決しよう
- 20 相手を尊重するスキル
- ちがっていても,大切な友達
まえがき
AIの知能が人間の知能を超える転換点は,「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼ばれています。その先の世界がどうなるのか,誰にも正確には予測できません。しかし,それは決して不安な未来だけを意味するものではありません。むしろ,この時代だからこそ「人間らしさとは何か」が,これまで以上に鮮明になってくるのではないかと考えています。
AIは膨大な情報を瞬時に処理し,正確な答えを導き出すことが得意です。感情があるかのような応答もしてくれます。しかし,人間のように友達の変化に気づいて「どうしたの?」と声をかけたり,元気のない人のそばに寄り添ったりすることはできません。
言葉にならない気持ちを感じ取り,怒りの奥にある悲しみや葛藤を想像しながら相手を思いやることも,人間ならではの営みです。人は感情を通してつながります。喜びを分かち合い,悲しみに寄り添い,ときにはすれ違いながらも理解し合おうとします。その積み重ねが信頼を育み,社会を支えています。だからこそAI時代において,ソーシャルスキルの価値はますます高まっていくでしょう。
世界中で注目されている教育に「ソーシャル・エモーショナル・ラーニング(SEL)」があります。人との関わり方だけでなく,自分の感情を理解し,よりよい判断を行い,困難を乗り越える力を育てようとする考え方です。その中でも特に関心を寄せられているのが「感情リテラシー」です。自分や相手の気持ちに気づき,理解し,伝え,調整する力を指します。この力は,日々の人との関わりや経験の積み重ねの中で少しずつ育まれていくものです。
しかし今,子どもたちは膨大な情報に囲まれ,慌ただしい日々を送っています。便利さが増す一方で,人とじっくり関わり,気持ちを理解し合う時間や空間は少なくなりつつあります。だからこそ,互いを信頼し,確かな心のつながりを育むソーシャルスキルが,これまで以上に求められているのではないでしょうか。
本書には,学校や家庭,地域で活用できるソーシャルスキルの実践例やアイデアを数多く盛り込みました。また,従来のSSTを「導入―展開―終末」の授業構造に合わせて活用しやすい形に工夫しています。子どもたち一人ひとりが,自分らしさを大切にしながら人とつながり,変化の大きな時代をしなやかに,たくましく歩んでいけるように。この本が,そのための道標となれば幸いです。
ぜひ明日の授業から,取り入れやすいものを一つでも試してみてください。日々の小さな実践は,やがて子どもたちの大きな成長へとつながっていくはずです。本書が,子どもたちの笑顔あふれる学びと豊かな人間関係を育む一助となることを心より願っています。
/渡辺 弥生
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明治図書

















